トンカツなどの揚げ物は人気料理だが、家庭では上手く出来ないとか後始末が大変だとか主婦の評判はイマイチ。そこで家庭でもプロに負けないような揚げ物をつくる方法を紹介。
油は2センチ入れて対流させる
まずはトンカツだが、やはり家庭で揚げるとベッタリするという。昭和までのタップリ油を使っていた時代に比べると、平成になると油の処理が大変とか、油が少ない方がヘルシーだろうと言うことで使用する油の量は減っている。実際にある主婦にトンカツを揚げてもらったところ、使っている油は1センチちょっと。理由はやはりヘルシーということらしい。しかし実験によると、油にドブンと漬けても、少ない油にしても、フライが吸収する油の量は同じだという(考えれば分かりそうなものだが)。だから油についてはフライパンに2センチは入れる方が良いとのこと。
さらにポイントは、油の中でカツを動かして油を対流させること。こうすると油の温度が均一になる上に、カツが高温の油を被るので早く揚がる上に均一な揚がり具合になる。油は粘度が高いので温度のムラが出来やすいので、事前に混ぜておいた方が良いらしい。
揚げ温度の見極めには粗塩を使う
また揚げる温度もポイント。油の温度は180度。この温度だとパン粉の中の水分が激しく蒸発することで穴が開き、さっくりとした衣になる。この180度の見極め方だが、パン粉で見極める場合はパン粉がすぐにさっと広がること。しかし最近はパン粉を使わない例(冷凍フライなどを揚げる場合など)もあるので、その時は粗塩を入れてみると良いという。粗塩の水分が蒸発する音がするが、塩を入れた途端に高い心地よい音がすれば適温、これが入れてしばらくしてから低い鈍い音がする時はまだ温度が低すぎるのだという。
さらに最近は温度センサーを使用する場合が多い思うが、これにもとんだ落とし穴がある。温度センサーは鍋底の温度を測定しているので、鍋の材質によっては油の温度が180度になっていない場合があるという。今の温度センサーは鉄製のてんぷら鍋を想定しているとのこと。違う材質の鍋の場合やはり上の方法で180度を確認するべきである。
サクッとした衣のためのバッター液
また衣には卵と小麦粉を先に混ぜたバッター液を作成してこれを具につけてから、大量のパン粉で包むようにするのが良いとのこと。バッター液は凸凹のある具にも付きやすく、バッター液を使用することでパン粉が厚めに付くので、これがサクサクとした衣になる。また中まで温度が上がるのに時間がかかるから、これを余熱で調理すると具は柔らかくなる。さらにバッター液で覆っているので、具の水分が衣に移行しにくく、置いておいても衣がベッタリしないと良いこと尽くし。
番組ではこの方法で作成したトンカツを少年野球チームの子どもたちに食べてもらったところ、「いつもよりも美味しい」と大評判、お母さんも面目を保って目出度し目出度しである。
以上、今や家庭料理の定番でもあるトンカツなどの料理方法。温度センサーの落とし穴は私も常々気になっているところであり、明らかに温度が低すぎるのに勝手に火が落ちたりして困っております。どうも最近の調理器具や家電は余計なお世話が多すぎるような気がしてならない。
なお揚げ物は衣が厚くない方が良いという感覚を持っていたので、パン粉をタップリ付けて厚めの衣にするというのは意外でした。衣をタップリ付けるのは、安い店が具を大きく見せるための細工だけでもないと言うことか。
忙しい方のための今回の要点
・家庭でトンカツを揚げる場合は、油の深さは2センチ、カツを動かして油の温度を均一にしながら揚げるのが正解。油は粘度が高いので温度が不均一になりやすく、混ぜて対流させる必要がある。
・揚げ温度の180度を見極めるには、粗塩を鍋に入れ、すぐに高い心地よい音がするかを確認する。なか温度センサーは鍋底の温度を見ているため、鍋の材質によっては油の温度はもっと低い場合があるので注意。
・衣は卵と小麦粉を混ぜたバッター液を作成して、これに付けた後にパン粉を厚めに付ける。さらに具は最後は余熱で仕上げる。こうするとサクッとして具の柔らかいフライになる上に、具の水分が衣に移行しにくい。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・トンカツは私も好きなのですが、家庭で揚げたものは置いておくと衣がベタベタになってはがれてしまったりするんですよね。これが改善されればかなりメリットあり。なおもう一つ教えて欲しいのは、冷えたトンカツを温める場合の温め方。これを電子レンジなどでやると具から水分が出てきてベチャベチャになってしまいます。私はいつも、最初に軽くレンジにかけてから、トースターで焼いて仕上げてるんですが、もっと良い方法があるでしょうか?
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