乱世の姦雄こと三国志の中心人物である魏の曹操。その死因については歴史書には記されていないのだが、2006年になって曹操の墓が見つかったことによってその死因が推測されることになったとのこと。曹操のものと考えられる頭蓋骨と上あごの骨が見つかったのだが、そこに特徴的だったのはひどい虫歯を患っていたこと。実はこれが死因に関わってくるのだが、それは後ほど。
まず曹操の体の不調といえば、彼は頭痛持ちであったことが記されている。その症状から彼の頭痛は群発頭痛だと推測できる。偏頭痛が脳の細い血管が炎症を起こすのに対し、群発頭痛は脳の奥の脳幹の太い血管が炎症を起こすために極めて激しい頭痛を発症するという。火箸でえぐられるようなと表現されるぐらいの激痛で、そのせいで錯乱状態になる事例もあるとのこと。曹操も寵姫を棒で殴り殺したなどの常軌を逸しているような行為の記録が残っているとか。
曹操がこの頭痛を和らげるのに使用していたのが石枕。これで首の後ろを冷やしつつ圧迫することで頭痛を和らげる効果があったという。また彼は当時のスーパードクターである華佗を雇っていた。華佗は曹操の頭痛を針で和らげていたらしい。ただし華佗が針を打っていたツボは一つ間違うと肺に穴を開けてしまう危険がある危険なツボであるので、スーパードクター華佗でないと使えないようだ。なお華佗は後に妻が病気と嘘をついて曹操の元から去ったので、それを怒った曹操によって処刑されている。しかし皮肉なことにそのせいで曹操の頭痛を抑えることが出来る者がいなくなったことになる。この後の曹操は赤壁の大敗など判断ミスを何度か起こすのだが、それもそのせいではとの分析。
群発頭痛は男性に多く、行動的で女性好きなタイプに多いとか。まさに曹操。またいわゆる獅子顔タイプに多いといっていたが、頭蓋骨の形が何か関係するのだろうか? なお現在では群発頭痛については即効性の注射薬があるので、患者自身がそれを打つことで抑えることが出来るという。
さて曹操の死因なのであるが、これは最初の「虫歯」が絡んでくる。虫歯菌であるミュータンス菌はかつては血管内に入っても増殖できないと言われていたのだが、最近の研究で血管壁に取り付いて増殖できるタイプのミュータンス菌がいることが明らかになった。ミュータンス菌の増殖によって脳梗塞、心筋梗塞、腎盂腎炎などの命に関わる病気を発症する危険が知られている。曹操も虫歯から血管内に入り込んだミュータンス菌によって腎臓障害などを起こして死亡したのではというのがこの番組の分析である。
非常に身近な病気である虫歯のとんだ恐ろしい話である。なお番組では食事直後の歯磨きは歯が酸性になって柔らかくなっている時なので歯に傷をつける可能性があるので辞めた方がよいとしている。歯磨きをしてよいのは食後20分経ってからとのこと。そんなに待てない場合は、緑茶や水で口をゆすいでから10分後ぐらいに歯磨きをとのこと。
以上、曹操の死因と虫歯対策について。曹操が頭痛持ちというのは非常に有名で、三国志ファンなら大抵は知っていることだが、死因が虫歯から来ているという分析には驚いた。私も虫歯が多いタイプなのでやや心配はある。
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