教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

4/10 NHK ガッテン「激あま!シャキシャキ!魅惑のたけのこ新世界」

 今回のテーマは今が旬のタケノコ。まず番組ではタケノコがいかなる植物かを示すために、産地の八女で竹林を根から丸ごと掘り出すという大作業をやっている。竹は地下茎を張って縦横に広がるため、掘り出しには10人以上で2日かかったらしい。タケノコはこの地下茎から生えるのだが、実際に竹になるのはその内の0.5%とのこと。地上に生えている竹はエリート中のエリートなのである。

 なお番組では言っていませんが、竹林はこれだけびっしりと根を張り巡らすことから、昔から地震になれば竹林に逃げろという話もあります。つまりは地割れなどが起こりにくいということ。

 番組ではこの後、新鮮なタケノコの天ぷらの試食をしたり、山で掘ったばかりのタケノコをそのままその場で蒸し焼きにする「大名焼き」なるものを披露したりなど、しばしは完全にグルメ番組と化している。しかし残念ながらこのような新鮮なタケノコに出会えるのは旬の1ヶ月ほど。後はやはり水煮ということになってしまう。そこで水煮工場を訪問して水煮の製造過程を見学しているが、タケノコを蒸気で蒸した後、流水で2日間あく抜きをしてから缶に入れて保存するという大変な作業。どうしてもここまでやらないとエグミが抜けないのだとか。

 ただそれだけやってエグミを抜いても悩み事はある。エグミを抜く際にどうしても旨味も抜けてしまう。そこでここの社長は釜を山まで持っていって、掘ったばかりのタケノコをそこで茹でるなんてこともしてるらしい。これだとエグミが少ないから水にさらすのが1~2時間で済み、かなり新鮮なタケノコに近い風味になるとのこと。もっともこれだと生産性が低いので全国出荷できるようなレベルにはならない。

 

 ちなみに我々が普通にスーパーなどで入手できる生タケノコは大体3日は経っているとのこと。タケノコのエグミは時間と共に増えているので、もうエグエグである。これを食べようと思うとあく抜きが不可欠なのだが、その一般的な方法はぬかで1時間ぐらい茹でてから、そのまま1日つけておくというものでとにかく手間がかかる。で、そんな面倒なことしてられないというのが一般人。だからここでお手軽ガッテン流の提案となる。

 で、ガッテン流あく抜き法になるが、これは和食の達人・野崎洋光氏が編み出した方法らしい。その方法とは大根おろしの汁につけるというもの。これだと1~2時間程度であく抜きが出来るので甘味などの風味が抜けないとのこと。何かの酵素が働くのではとのことなのだが、説明をぼやかしたところを見るとハッキリと理由が分からなかったか。どうやらタケノコのあく抜きを研究している科学者とかはいなかったのだろう(笑)。本来なら「酵素君」とかが出てきてそのメカニズムを説明してくれるはずなんだが。

 以上、タケノコの紹介から最後はガッテン流まで綺麗に決めてというこの番組の黄金パターンでした。ただ今回の一番肝になる情報は一番最後だけなんですが、そこにたどり着くまでが無駄に長いこと。どうもこの番組は特にリニューアル後は中身の密度が下がっているのを感じてしまう。

 それにしても野崎さんも、この番組に初めて出てきた頃から比べると老けたな・・・。まあ、志の輔さんも小野アナも・・・ですから。

 

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