中国広東省の開平にはのどかな田園風景の中に高層建築である楼閣が1833塔も建つという奇妙な風景が広がっている。しかもこの楼閣のほとんどが19世紀初頭の建設だとか。
そもそもこの地で楼閣が建設されたのはこの地が低地で洪水が多かったからだという。洪水の際に建物の2階や3階に避難したのだという。しかし19世紀になると事情が変わってくる。この時代の中国は列強の進出などで中央政府が弱体化、事実上の無政府状態となって治安は悪化、この地域でも盗賊団などが横行するようになり、それに対する防御が必要となったのだという。楼閣は盗賊団などを監視すると共に、いざという時には立て籠もる砦となったという。また村全体をとげの生える頑丈な竹林で囲い、入口は楼門として鉄壁の防御にしている。
一方、これらとは性格の違う楼閣もある。これらは富豪の屋敷であり、彼らはアメリカなどに渡って事業に成功して一財産をなした者達だという。彼らは西洋の暮らしに対する憧れから、西洋風と中華風がミックスされたような独特の楼閣を建設している。このような華僑の文化を物語る風景として世界遺産に登録されたとか。
防御のための砦云々はともかくとして、富豪達の御屋敷の方は成金趣味全開というか、なんか凄まじいという印象を受ける建物。日本の成金の悪趣味豪邸もどこかの地域に固まって建っていたら世界遺産になるのでしょうか?
忙しい方のための今回の要点
・中国、広東省開平には楼閣が1833塔もある。
・これらの楼閣は洪水時の避難場所、盗賊の襲撃に備えるための砦としての機能を有している。
・またアメリカに渡って成功した者達の豪邸である楼閣もあり、これらは西洋風と中華風を折衷した独特のスタイルである。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・中国の成金趣味はまた日本とは感覚が違うようです。ただどちらもとにかく舶来をありがたがる辺りは共通項でしょうか。
・それにしてもラーメン鉢でよく見かける「喜」の字の入った教会風の建物って…正直なところ、あまりに凄いセンスに圧倒されましたね。まあここまで行くと逆にオリジナリティと言えるかもしれない。