砂漠のオアシス都市
アルジェリアのムザブの谷には城壁に囲まれたオアシス都市がある。モスクを中心に始まったというこの都市に住むのはペルシアを異端として追われたイスラム教徒たちで、今でも1000年前からの信仰を守って暮らしている。そのために観光客が見学に入るというのは不可能で、取材なども非常に制約されるらしい。番組では現地ガイドの案内(兼監視だろう)で都市の中を取材している。
この都市を支えるのは多数の井戸。これらの井戸はかなり深く掘っているのだが、その井戸掘りの技術はペルシャで発達していたという。彼らはその井戸掘りの技術を持ってサハラを越えてここにやって来たのである。
厳格な信仰を守る人々
また厳格にイスラムの戒律が守られているために、女性は外出する時には常に白い布を羽織って家族以外には顔を見せてはいけないことになっている。また住民は家具のないシンプルな住宅の中で質素な暮らしをしている。なお男性が屋上のバルコニーに出る時は、屋上で布をはずしてくつろいでいる女性たちに出くわさないように「これから男が屋上に上ります」と大声で近所に伝えるらしい。それが聞こえたら近くの女性たちは家の中に避難するという次第。そう言えば宝塚では男が裏方などに入る時は「男、入ります」と大声で叫ぶというのを聞いたことがあるな。
町を支えるナツメヤシ
都市の中には枯れた川筋が見られるが、この川は雨期にだけ水が流れるのだという。この水は貯水池に蓄えられ、水路で町中に分配される。この町の人々を支える作物はナツメヤシであり、ナツメヤシの実は生でも干して保存食としても食べられている。これは砂漠を渡る人たちの重要な栄養源だという。水路の水は各家庭の椰子の木の本数に応じて分配されるようになっているという。
あの大建築家との関わり
また町にある小さなモスクは実はル・コルビジェにインスピレーションを与えたことで知られているという。このモスクに開けられた独特の明かり取り窓などのイメージなどが、彼の建てたロンシャン礼拝堂に応用されているとか。
以上、珍しい都市の紹介。都市内が取材制限があって題材が少なかったのか、所々で他の場所の話を挟んで水増ししていたような印象があります。後、余所者は立ち入り禁止で取材はガイド付きの制約ありという割には、やけにガイドが取材慣れしているような印象を受けました。しかもル・コルビジェが異教徒の礼拝堂を作るのにここのモスクを参考にしたことを妙に誇らしげに語っていたのも違和感が。なんかいろいろと奇妙な印象を受けた回です。もしかして、ちょっと演出入ってない?
忙しい方のための今回の要点
・アルジェリアのムザブの谷には、1000年前にペルシャを追われた人々がイスラムの信仰を守って暮らす城塞都市がある。
・この都市を支えるのは多くの井戸で、井戸掘りの技術はペルシャから持ち込んだもの。・またナツメヤシの栽培が貴重な食料源となっており、そのための水は雨期のものを水路で分配するようになっている。
・この都市にある小さなモスクがル・コルビュジェにインスピレーションを与え、ロンシャン礼拝堂の設計につながった。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・1000年も前から井戸水で暮らしているようですが、それでもまだ井戸が涸れてはいないんですかね。地下水の水源はどこから来るんでしょうか?
・一つ違和感があったのは、外の人間は立ち入り禁止と行っているのに、ル・コルビジェはどうやってここのモスクを知ったんでしょうか? どうもこの辺りがしっくりこない。