教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

7/14 NHKスペシャル「恐竜超世界 第2集 「史上最強!海のモンスター」」

恐竜とは異なる存在・海の王者海竜

 地上で恐竜たちが闊歩していた時代、海の中では彼らとは別の進化を遂げた巨大生物が棲息していた。彼らは恐竜に対して海竜と呼ばれる。

 この時代の海の中を悠々と泳ぐのは全長8メートルのプレシオザウルスの仲間の海竜や、全長5メートルの巨大肉食魚。しかしこれらをも遥かに凌ぐ存在がある。それが全長13メートルもの巨体の海竜モササウルス。巨大な口で何でも飲み込み、これにかかると先ほどの巨大魚なんかも単なる餌に過ぎない。

なんとティラノサウルスも餌にされていた

 それどころかモササウルスは恐竜をも餌にしていたらしいことが分かっている。胃の中から恐竜の鱗が発見されたのだという。恐らく海辺にやって来た恐竜に襲いかかって餌にしていたのだろうとのこと。彼らにかかると陸上最強のティラノサウルスとてかなわない。海の中に引きずり込んで餌にしてしまっていたのだという。

 しかしモササウルスは最初からこんなに最強だったわけではない。恐竜の先祖が鰐と共通なのに対し、モササウルスの先祖はトカゲと共通。1万年前には闊歩する恐竜の間を逃げ回る1メートルほどの弱いトカゲに過ぎなかったという。

 だが彼らは新天地である海にたどり着いた。海は魚など餌が豊富で彼らにとっては楽園だった。また蛇の仲間でもあるので非常に大きく開く口を持っており、これが餌を捕らえる上でも非常に有利に働いた。こうして彼らは段々と巨大化すると共にその生息域を拡大し、ついには海の王者として君臨することとなった。

 

彼らの繁栄を支えた重要な身体的特性

 また彼らの繁栄を支えるもう一つの重要な要素が彼らにはあった。なんと彼らはは虫類では非常に珍しいことに胎生だったのだという。これは卵の産卵に危険な陸上に上がる必要がなく、陸から完全に決別した生活をおくれることを意味した。また彼らは胎盤を有していたと推測され、かなり成長した状態の子供を出産していたことから、これは生存に有利な条件であった。

 また大きな成長した子供を産むことは、母親が子供を育児することにもつながった。子供は母親に保護されると共に、母親から餌の捕り方などの指導を受け、より繁栄につながったいったのである。

 しかし海の王者の彼らも、巨大隕石落下による生態系の大異変からは逃れることは出来なかった。結局は陸上の恐竜と共に彼らも滅亡することになってしまった。


 前回はまるでディズニー映画でしたが、今回はしっかりと科学番組してました。お子様にはどうかは分かりませんが、私としては今回のような作りの方が安心してみてられますね。それにしてもティラノサウルスに食いつく図はかなり衝撃的でした。ただあんな浅瀬で戦闘して打ち上げられないのかと思いましたが、よく見てると彼らはクジラなどとは違って、ひれになっているとは言え4本の手足が残ってるんですよね。ということはある程度浅瀬ぐらいなら歩けたということか。すぐに打ち上げられて自滅する鯨類よりもその点は強そうだ。

 


忙しい方のための今回の要点

・地上で恐竜が闊歩している時代、海では巨大海竜モササウルスが最強生物して君臨していた。
・モササウルスは海辺にやって来た恐竜をも食料としていた。
・モササウルスの先祖は小さなトカゲ類だったが、海に適応することによって巨大化して最強生物となった。
・また彼らの繁栄を支える要素として、彼らが胎生であり、育児をしていたということも大きいと思われる。

 

忙しくない方のためのどうでも良い点

・隕石落下による気候変動の影響は、海中は地上ほどは劇的ではなかったと思われるのですが、絶滅したということはやはり餌が不足したんでしょうね。あれだけの巨大な体だけに、それを支えるには大量の餌が必要になったでしょうし。
・それとどうやら彼らは共食いもしていたようですから、いよいよ餌が不足してきたら互いに食い合うというようなことも起こったと思われます。
・結局はこの変動で巨大生物は絶滅して、より小回りの利く小型生物のみが生き残ったのですよね。現在存在する巨大生物は、その小型生物がさらなる進化の過程で巨大化したものです。