今回のテーマは特に関西人には不可欠の粉もの。小麦粉を使い方次第で自由自在という内容。特に関西人は必見(笑)。
ふわふわのお好み焼きの作り方
お好み焼きの聖地大阪(と言ってしまえば広島人が怒りそうだが)でアンケートを取ると、美味しいお好み焼きの食感は90%が「ふわふわ」と答えたそうな。ではこのふわふわのお好み焼きを作るにはどうするかということで、その技を大阪の某お好み焼き屋の店主の田中晶行氏に教えてもらう。なおNHKはCMをしてはいけないということで店の名前は伏せてますが、実際には画面には田中氏のシャツの「でん」という店名がしっかり映ってます。これはいかにもNHKらしい裏技的な宣伝の仕方(取材協力の謝礼代わりでしょう)。
田中氏が焼いたお好み焼きをMRIで調べたところ、素人が焼いたものの倍以上の空気を含んでいる。これがふわふわ食感の秘密になる。で、このための方法は「小麦粉をよくかき混ぜること」だそうな。これによって小麦粉からグルテンを生成するのである。
生地の粘りを左右するグルテン
で、ここからグルテンの説明になるのだが、グルテンとは小麦や大麦から生成するタンパク質で、水を加えて混ぜることでグルテンの元になる成分が三次元状の網目を作る。これがグルテンだそうな。なお番組の説明はこれだけだが、もっと専門的に言うとグルテニンとグリアジンが吸水してジスルフィド結合(S-S結合)生成の反応をするらしい。
番組ではグルテンの実験をするのだが、ここで唐突に登場するのが粉もののPRのためのローカルアイドル・たこやきレインボー。さすがにスタッフにオタの多いNHKはこういうアイドルが大好きです。この手の連中が嫌いな私はいささか目眩がしそうになりますが、仕方ないので番組につきあうことにします。
まず彼女たちは小麦からグルテンを作っているのだが、その方法は簡単で小麦粉に水を加えて練ってから、水が濁らなくなるまで洗う(デンプンなどを洗い流す)だけ。夏休みの実験などにも最適なので自由研究にいかがでしょうか。こうして出来上がったグルテンがどれだけの粘りがあるかということを、番組では空気を入れてボール状に膨らまし、セパタクローの選手に蹴ってもらったり、プロボクサーに殴ってもらっても割れないということで示しています。要するにこのグルテンが小麦粉の粘りの元。このグルテンを使って麺類などの腰を出しているわけである。
ふわふわ生地の作り方
で、ここでお好み焼きに戻るのですが、田中氏によるとまず粉を水でよく練ってグルテンを生成させると共に、これを具材と混ぜる場合の混ぜ方も重要なのだとか。普通にグルグル混ぜると空気の少ないもっちりとした生地になる。空気を含ませてふわふわにするには、田中氏は炒飯を混ぜるような独自の混ぜ方を使用している。ただこの混ぜ方、不器用なものにはツラそう。と言うわけで「誰でも出来る方法を提案するガッテン」が紹介するのはサクサクグルリの方法。上からサクサクとスプーンを入れてから、下から縦方向に生地全体をひっくり返すように10回ほど混ぜるという方法。こうすると生地が空気を含んでふわふわになるとのこと。
グルテンを減らした方が良い料理
さてここまではグルテンを増やす方でしたが、料理によっては逆にグルテンが少ない方が良いものもある。それが後半。グルテンが少ない方がよいのはどんな料理かというのをゲストにクイズとして出しているが、ここで榊原郁恵が「てんぷら」と書いていた裏に「カステラ」と書き直して正解。しかし実はこの「てんぷら」も正解なのは後で分かるんですよね・・・。ちなみに私が思いついたのも「てんぷら」でした。
で、カステラであるが、カステラの場合はお好み焼きと違って、焼いた時に内部の水分が蒸発して空洞が出来るので、この時にグルテンが弱い方がよく膨れるということらしい。ではどうやってグルテンを減らすがだが、これは粉を寝かせること。かつては小麦粉を一年倉庫に寝かしていたらしい(今は一年も寝かせない)。するとグルテンの元になる物質(つまりはグルテニンとグリアジンだが)の結合する部分が酸化(要するにチオール基が酸化するということだが)して結合が生成しなくなるのでグルテンが減るということになるのだとか。
実際に寝かせた粉で素麺を作ってみると、新しい粉のものと違って伸ばした時にブチブチと切れるという実験を行っている。グルテンが減ることでそれだけ生地の粘りがなくなるということである。
手早くグルテンを減らす方法
なお先ほど、今は一年も寝かせないと説明が入っていたが、それは期間短縮法が見つかったからとのことで、それは加熱するという方法。確かに科学的に考えると、酸化反応を促進するのなら加熱するというのは理の当然。ちなみに小麦粉を加熱するとカステラがふわふわになるという研究論文まで出ているそうな。本当に日本にもいろいろことを研究している人がいるもんだ・・・。
で、番組では小麦粉を加熱すればよいだろうと言うことでその最適時間を実験で見つけている。それによるとフライパン強火で2分半から煎りすると良いそうな。こうして処理した粉をふるいで2回ふるい、この粉を使ってホットケーキを焼けば見事にふわふわの分厚いホットケーキが焼き上がるという次第。ちなみに市販のホットケーキミックスは小麦粉以外の成分も加わっているのでから煎りしないでくれという注釈が画面に入っているのに注意。
この効果は時間が経つと弱まるので、なるべくすぐに使うのが良いとのこと。この粉をてんぷらに使うとからっとした衣に、ホワイトソースに使うとダマになりにくいので滑らかなソースになるということ。
そして最後は再び粉ものアイドル再登場。彼女たちのライブに参加した観客は全員ポリ袋を持っているが、その中には薄力粉200グラムに水90ミリリットルを加えたものを入れている。で、これをみんなでノリノリで10分振り回すとうどん生地が出来ますよという、役に立つようなどうでも良いような・・・。まあこの番組のスタッフがアイドルが大好きだということだけはよく分かりました。それでなくてもリニューアルしてからのレギュラーゲストの一人は指原だし・・・。
以上、実用情報とスタッフの趣味が炸裂した今回の内容でした。要はグルテンの量をコントロールすることで小麦粉料理を自由自在にコントロールするということなので、意外と応用範囲は広いでしょう。ちなみに私はグルテンを増やす方法は知ってましたが、減らす方法は知りませんでした。参考に出来そう。なお番組では触れてませんが、粉を煎る時にあまり激しく混ぜると粉に火が付いたり、甚だしきは粉じん爆発の可能性も考えられますので、その辺りは若干慎重にした方が良いと思います。また番組では粉をフライパンを加熱する前に入れないと、飛び散る危険があるので注意と説明してしてましたが、このシチュエーションが一番危ないと思います。もしこの辺りで事故でも起こったら、数週間後に小野アナが謝罪する羽目になりそう・・・。何もないことを祈ります。
忙しい方のための今回の要点
・ふわふわのお好み焼きを作るには小麦粉のグルテンを増やす方が良い。その方法は水で粉をよく練ること。そうして作った生地を具と混ぜる時に、空気を大量に含むように混ぜて焼くとふわふわのお好み焼きが出来る。
・カステラなどのケーキ類はグルテンが少ない方がよく膨らむ。グルテンを減らす方法は粉を寝かせておくこと。昔はカステラ用の粉は一年寝かせたが、今は加熱をすることでその期間を短縮出ることが分かった。
・番組お勧めはフライパン強火で2分半から煎りする方法。この粉を使ってホットケーキを作るとふわふわのホットケーキが出来る。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・グルテンのことは知ってましたが、ああやって蹴ったり殴ったりしたら、くだらないことですがインパクトはあります。この辺りはテレビ特有の面白さという奴です。今回の内容はかなり見せ方の工夫があったように感じましたが、ただ全体的にはしゃぎすぎの感もありますので、この辺りは好き嫌いが分かれそう。またあの微妙なローカルアイドルも評価が分かれそう(笑)。
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