教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

8/29 BSプレミアム 偉人たちの健康診断「健康を制する者が天下を制す 戦国武将の健康法SP」

 今回は戦国武将たちの健康法の総集編。

糖尿病だった上杉謙信

 戦国最強と言えば上杉謙信か武田信玄の名前が挙がるところ。では彼らの健康はと見ると、上杉謙信についてはあまりよい話がない。彼は体重が減少し、吐いたり、足に腫れ物が出来たなどという記録が残っているとか。これは症状としては糖尿病が考えられる。そして彼がそれを発症した原因は明らかに飲酒。謙信の飲酒量は度を超しており、夜通し飲んだり、馬に乗ったまま飲むための盃まであり、合戦中も矢が飛び交う中で飲酒していたとか。こうして聞いていると、先頭を切って敵陣に突っ込んでいく謙信の勇猛さは、実はアル中でラリってただけかもという気さえしてくる。

武田信玄を支えた温泉の効果

 さて武田信玄の方だが、彼はとかく合戦で怪我をした記録が多いらしい。しかしそれにも関わらず2ヶ月後くらいには次の合戦の指揮をとっている。彼のこの回復力を支えたのは甲斐のあちこちにあると言われている信玄の隠し湯こと温泉。温泉で血行を良くすることは傷の回復に効果があるのだとのこと。また温泉には水の浮力によるリラックス効果、水圧による疲労回復効果なども期待できるという。また信玄には内臓疾患もあったようだが、それに対してはラドン泉なども使用していたらしい。ラドンは空気中から吸引することでその微弱な放射線によって免疫系を活性化するなどの効果がある(放射線ホルミシス効果)。

 

戦国一の健康オタク家康

 この信玄に三方原でケチョンケチョンにされてクソをちびりながら逃走したのが家康であるが、その家康は健康マニアとして有名である。とにかく長生きすることで天下を狙おうと考えたのだと思われる。美食は避けて、食中毒を防ぐためにも常に火を通したものを食べ、季節外れの食べ物や珍しいものは避けるという徹底ぶりで、また医薬品に対する知識に長けており、自身で薬を調合して飲んでいたという。そんな家康の晩年の健康を支えたと思われるものの一つが乗馬であるとのこと。彼は70を過ぎても乗馬を欠かさなかったという。乗馬することによってバランスを取るために自然に体幹が鍛えられるため、最近は足腰が弱った老人のためのホースセラピーなどもあるという(馬がいない場合にはジョーバでも良いんだろうか?)。

 なお家康はその薬に対する知識を活かして、加藤清正などの豊臣恩顧の大名を毒殺したとの疑いももたれている。実際に彼らは家康に招かれて会食に参加してから、しばらく経ってバタバタとなくなっている。加藤清正は2ヶ月後に帰りの船上で高熱で倒れ、呂律が回らなくなり、体が黒くなるという症状が出ているとのこと。この症状と言えば明らかにヒ素を盛られた場合に合致する。ただヒ素は少量ずつ長期に服用させるもの。家康は加藤清正に土産として渡した饅頭の中にヒ素を含ませたのではないかと考えられるとのこと。真偽のほどは不明だが、戦国一の陰険男・家康ならそのぐらいのことはしただろう。

パワハラに耐えた秀吉のストレス解消法

 家康よりも先に天下を握った豊臣秀吉は、パワハラ上司そのものであった織田信長の元でかなり高ストレスな生活を送っていたはずである。その秀吉のストレスをいやしたものは茶の湯であったと考えられる。抹茶に含まれるテアニンには人をリラックスさせる効果があるとの研究結果が出ている。また狭くて薄暗い茶室のような空間はこれもリラックス効果があったのだという。しかし権力を握ってからの秀吉は嗜好が変わり、ついには黄金の茶室を作るようにまでなってしまう。それと共に秀吉の暴走も始まっていく。茶の湯によるリラックス効果を失ったことも一因ではと言いたいようだが、さすがにそれは言い過ぎ。まあ秀吉の晩年の暴走は明らかに認知症だろう。


 以上、戦国武将の健康面について。やっぱり戦国一の健康マニアの家康のが群を抜いているのは間違いない。しかしそこまでやって天下を狙ったのだから、これはかなりの執念と言える。さすがに陰険さでも戦国一なだけのことはある(笑)。

 


忙しい方のための今回の要点

・上杉謙信は、長年の多量の飲酒が祟って糖尿病になっていたようである。
・怪我の非常に多かった武田信玄の快復力を支えたのは温泉。温泉に入浴することで血行が良くなると、傷の回復が早くなることが分かっている。
・健康マニア家康は、自ら薬を調合するぐらいであった。なお晩年の彼の健康を支えたのは乗馬であると考えられる。乗馬でバランスを取ることは体幹のトレーニングになり、足腰の弱った高齢者に効果的である。
・パワハラ信長の元で日夜ストレスにさらされていた秀吉のストレス解消法は茶の湯だった。抹茶に含まれるテアニンにストレス解消効果があることが分かっており、また茶室のような薄暗くて狭い空間は人をリラックスさせる効果がある。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・上杉謙信は糖尿病だけでなく高血圧もあったようです。実際に最後はトイレの中で脳溢血を起こして亡くなってます。アル中でラリった高血圧が先頭切って突っ込んで来るのが上杉軍団なんだから、相手側にしたら戦いにくかったろうな・・・。実はこれが上杉謙信の強さの秘密か?(笑)

 

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