教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

9/15 TBS系 健康カプセル!元気の時間「~手洗い・加熱でも危険!?~常識を疑え!食中毒」

 この番組は先々週の旅行中に見かけたのだが、製薬メーカーが提供で比較的正しい病気予防知識を放送しているようであるので今回チェックしてみた。

9月に増加する食中毒の危険ポイントをチェック

 さて今回の内容であるが食中毒予防。食中毒と言えば夏場に多いというイメージであるが、案に反して実は増加するのは9月なのだという。それは暑さが緩んで油断しやすくなるのと、夏バテで体力が低下して抵抗力が落ちているせいだという。

 番組ではある主婦の家庭の台所を訪問して、専門家が危険ポイントをチェックしている。まずは冷蔵庫。やはりよくあることだが、この家でも冷蔵庫に食品を詰めすぎ。冷蔵庫の内部は7割程度に収めるべきとのこと。食品を詰めすぎると冷気が回らないので庫内の温度が上がりがちになる。この家庭の冷蔵庫内の温度も理想的と言われる10度以下を超えて13.2度であった。なお細菌が増殖を開始するのは15度以上、20度以上になると危険領域とのこと。だと13度だとギリギリセーフに思えるがさにあらず。冷蔵庫はどうして開け閉めするのでその度に温度が上がってしまう。この家庭の冷蔵庫も調理の時の開け閉めで内部の温度が17度にまで上がってしまってアウト。なお庫内の場所によっても温度が上がりやすい場所があり、ここの冷蔵庫でもドアなどは常に15度越えをしていたとのこと。よく玉子ケースがドアの最上部にあるが、実はあそこは一番温度が上がりやすい場所なので、玉子の鮮度を保つにはよくないのだとか。本来は一番温度が安定しやすい冷蔵庫の下段に入れるべきとのこと。ちなみに私は別の番組で玉子は実は腐らないという話を聞いたので、だからメーカーは玉子ケースをあんなところに設定しているのだろうと思ったのだが、これはどうなんだろうか?

 

手洗いをキチンとしないと菌は残る

 次に調理の様子をチェックしているが、ここでも危険な場面が。鶏の唐揚げをするべく鳥をまな板で調理し、調理後はそのまな板を洗剤で洗っているが、そこでチェックが入る。問題はまな板ではなくて手の方。まな板は洗剤で洗ったが、この後に手も石鹸で洗う必要があるのだという。まな板を洗った時に手も洗えたような気がするが、実はそうではないのだとか。実験によると鶏肉を触った後で手を石けんで洗うと菌は残っていないが、まな板を洗剤で洗っただけだと手の細菌は半分ぐらいそのまま残っていた鶏肉にはカンピロバクターなどの菌が付いているため、この手でサラダなどを調理すると危険というわけである。なおカンピロバクターは熱に弱いので、まな板などは熱湯処理すると菌を死滅できる。

穀物に付くセレウス菌

 次に出てくるのは思いがけない食中毒になった例。ある主婦が前日の夜に調理した親子丼の残りを翌朝にレンジで温めて食べたところ、激しい吐き気に苦しめられることになったという事例。臭いを確認して加熱もしたのに食中毒になったのである。これは穀類などに付くセレウス菌が原因の食中毒セレウス菌は加熱調理で死滅するが、その時に芽胞という菌の種を残すのだという。この芽胞は熱にも強いので生き残り、ご飯が冷める過程で発芽してセレウス菌が繁殖するのだとか。電子レンジでの短時間加熱ぐらいでは菌は死なないし、また腐っているのとは違うので臭いを嗅いでも分からないとのこと。だからご飯を炊いたらすぐに10度以下で冷蔵保存するのが正解とのこと・・・となると電子ジャーって一番危ないじゃんと思ったが、調べたところどうやら温度が高い場合もセレウス菌の増殖は抑制されるので、一番ヤバいのやはり常温放置のようだ。

 

近年急増のアニサキス症

 最後は近年急増していて、ついには昨年度に食中毒の一位になったという例。それは生魚などについているアニサキス。これは菌ではなくて寄生虫であり、鯖などによく付いている2~3センチの虫。これが胃壁に潜り込むとその時にアレルギー反応が起きるので、胃が焼け付くような激痛で苦しめられるということになります(実は私も昔に経験あり)。これの対策としてはまずは加熱。そして刺身などを食べるとにはよく見てから。2~3センチあるので、目視すれば確認可能である。最近は販売店などでもアニサキス対策は進められているようですが(一旦凍結させるなどの対策が多い模様)、まずは各自が注意とのことである。


 以上、この時期に危険な食中毒についての紹介。専門家によるなかなかに有用な情報であったようです。対策は・・・スポンサーメーカーの薬を飲みましょうにならないのは良心的(笑)。また何でもかんでも除菌しまくりを勧めるわけでもなかったのも好印象。ひどい番組になるとスポンサーメーカーのサプリメントとかばかりを勧めるような半宣伝番組も最近は多いので、そんな中ではまともに作っていると思います。

 


忙しい方のための今回の要点

・食中毒は実は暑さが緩んで油断が出る上に夏バテで抵抗力が落ちている9月が一番多い。
・冷蔵庫内の理想温度は10度以下。詰めすぎると冷気が回らなくなるので7割程度にすること。内温が15度を超えると危険。
・調理の時は肉を使ったまな板だけでなく手にも注意。手を石けんでキチンと洗わないと最近は残ってしまう。
・ご飯を常温で放置するとセレウス菌が増殖するので、炊きあがった後に速やかに10度以下で保管するのがよい。
・最近増加しているのが寄生虫アニサキスによる食中毒。加熱調理が一番の対策だが、刺身などの時には目視でよく確認すること。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・こういう良心的な番組は一般視聴者にアピールがありませんから(やっぱり一般視聴者は、これを食べると直ちに痩せるとかの情報の方が喜ぶ)、こんな早朝に追いやられてるんでしょうな。だけど専門家なんかもこんな番組の方が安心して出演できるでしょう(昔の「あるある」なんかは、専門家のコメントを勝手に編集して内容を変更するなんてことが日常茶飯だった)。
・元日テレの西尾由佳理氏は久しぶりに見ましたが、顔の印象が若干変わったように感じられます。以前から個性的な顔立ちの美人でしたが、その個性が強くなって、ややクセのある顔立ちになった印象。まあ単純に年を取ったということでしょう。もっともそれでも十二分以上に美人ですが。

 

次回の健康カプセル

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