自販機製造ラインを紹介
日本は自販機大国として知られており、その台数は全国で294万台という。これは日本に来た外国人も驚くところで、インタビューしてみるとホットの飲料があるのが珍しいのだとか(海外では主にコールド飲料のみだ)。ましてや今時の自販機は一台でホットとコールドの両方を販売している。これはとんでもないハイテク技術らしい。
番組では自販機の製造工場(富士電機の三重工場)を訪問して製造現場を見学している。工場では大型機械やロボットが大活躍して自販機の外枠を製造している。外箱が完成した後は手作業で断熱材などを組み込んでいく。かなりシステマチックに作られているが、印象に残るのは挿入されている真空断熱材というのが思いの外薄いこと。
自販機に潜む細やかな仕掛け
自販機でジュースなどを買うと、結構ドカンと大きな音で商品が落ちてくるが、缶などがへこんでいたということはない。実はここに日本らしい細やかな気配りがあるのだとか。まず上から落ち来た商品を商品シュートという弾力素材が衝撃を吸収、さらに取り出し口に落ちる前に取り出し口フラッパーなる板が商品の速度を落とす。そして取り出し口の底の弾力性のある素材で受け止めるのだとか。
実は商品に傷が付きやすいのは出てくる時よりも補充の時だという。そこで商品ラックにも一工夫ある。サーペンタインと言って蛇行したラックになっており、ここで速度が落ちて下まで一気に落ちないようにしているのだという。
驚異のハイテク温度管理
次は自販機内の温度管理だが、これはラックが3つに分かれており、それらのラックは先ほどの真空断熱材で区切ってある。そしてこれを下部の冷却ユニットでそれぞれ個別に温度管理するようになっているのだという。冷却ユニットは一台で冷気と暖気の両方が出せるようになっており(エアコンの屋内機と室外機が同居しているようなものか)、冷却は5度、加温は55度になるようにコンピュータが制御しているという。なおかつての自販機は自販機全体を温調するようになっていたが、最近の自販機は省エネのため、売れ行き予測などもしながら下の方の商品だけを温めたり冷やしたりするようになっているという(ということは予想を超えて異常に売れた場合には生ぬるい商品が出てくるということか)。
自販機オタが紹介するユニーク自販機
後半は自販機研究家(要するに自販機オタだ)の野村誠氏が推薦するユニークな自販機の紹介。しかし何にでもオタはいるものである。この野村氏も絵に描いたようなオタで、自販機愛を語らしてみたものの、あまりに口下手なものだから番組はバッサリとカットしている(笑)。
第3位は日本でたった1台という渋谷のドールバナナの販売機。バナナという傷みやすい商品を扱っているだけにいろいろと気を使っているらしい。まずはバナナがこれ以上熟しないように庫内は13度に保たれている(これよりも高くても低くても駄目らしい)。また商品の取り出しもかなり優しくなっており、取り出し口の底には柔らかい素材を敷いてバナナに傷が付かないようにしている。番組では庫内に生玉子を入れて実験してみたが、見事に玉子はキズ一つない状態で出てきた。
第2位は10分ではんこを作ってくれるという自販機。どんな名前でも彫れるのかと、日本で一番画数の多い名字(53画)という「躑躅森」という名字を彫る実験を行っているが、その前に日本に約80人しかいないという躑躅森さんの一人とコンタクトして、はんこに纏わる話を聞いている。するとはんこを彫るように頼んだら、画数が多いせいか文字の順序が入れ替わって「躅躑森(躑⇔躅)」になっていたのだとか。で、この自販機であるが、見事にこの画数の多い名字も彫り上げている。このはんこは先ほどの躑躅森さんにプレゼントとのこと。
最後の第1位だが、これは普通のコーヒーの自販機。しかしこの自販機、ドリップしているライブ映像が見えたり、その時の香りが外に流れるようになっていたりと何かと凝っている。しかし一番のハイテクは自動で蓋がつけられること。これは世界初の技術で、カップの強度や蓋の材質を検討し、回転させながら蓋をつけることで実現したとか。うーん、日本の技術恐るべし。ただそれにしても、第1位の選択がやけに渋いな・・・。
以上、自販機に関するどうでも良い無駄知識といういかにもこの番組らしい内容でした。こういうところが大昔のトライ&トライテイストがあると感じるところだったりするんだよな・・・。
なお日本が自販機大国であるのは、ハイテク自販機の登場もありますが、それよりも街頭に自販機を置いておけるという治安の良さにあります。アメリカなんかだったら街頭に自販機を置くのは、貯金箱を街頭に置いておくのと同じとの判断になるそうで、当然のように破壊されて金を奪われてしまうとのこと。つまりはいくら日本のハイテクがあっても、治安の良さが自販機の前提です。もっとも最近はこれもいつまで続くかは怪しくなってきてます。日本も不逞外国人が増えてきた上に、財界の安くこき使える労働力が欲しいとの要請で、さらに外国人を増やそうとしてます。目先の金で釣ってこき使うことを目的に入国させる外国人に、高いモラルだけ求めるというのは到底無理な話で、当然のようにこれは治安の悪化につながるでしょう。また日本人自身の劣化も進んでいます。日本の治安の良さは一億総中流と言われた社会構造にも大きな理由があったのですが、最近は金持ちのバカボン共が自身の安泰のために貧富の差を拡大させようとあの手この手を駆使してます。いわゆる社会的底辺層が増えればこれも治安悪化につながることは必至。日本が自販機大国なんて言われているのは今のうちだけのような気がします。
忙しい方のための今回の要点
・自販機はまさに日本らしい細かいハイテクの集合体である。
・最近の自販機は内部を真空断熱材で仕切って、個別に温度管理できるようになっている。また省エネのために、売り上げを推定しながら、下の方の商品だけ冷やしたり温めたりするようになっているという。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・役に立つような役に立たないような無駄知識でした(笑)。なお自販機の増加は販売の効率化でもあるのですが、実はこれは雇用の減少を促すことでもあるんですよね。昔は全部人間が販売していたから、販売員という仕事があった。結局は技術が進めば進むほど明らかに人間の仕事は減ってるんです。
前回の目がテン