教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

11/13 NHK ガッテン「くしゃみ鼻水鼻づまりとおさらば!ハウスダスト徹底除去ワザSP」

 今回のテーマは、アレルギーの原因としては花粉に次いで2番目であるというハウスダストアレルギーの対策について。

ハウスダストはハウスダストアレルギーの原因でない

 まずハウスダストであるが、これは繊維や土砂、皮膚のかけらなど様々なものが含まれるが、重要なのはハウスダストアレルギーの原因はハウスダストではないということである。ハウスダストアレルギーを引き起こしているのは、ハウスダストではなくてこれに付随して存在するダニのタンパク質に対して発症している。だからダニ対策がハウスダストアレルギー対策として重要なのである。

 番組ではここで体は健康なのだが、部屋に入ると咳や鼻水で苦しめられているという男性の部屋を訪問している。調べてみると座椅子、カーペット、バスマットから案の定ダニが検出された。そこでダニ対策を行うべく、ダニ用のスプレー式や燻蒸式の殺虫剤を使用、さらにはダニは高温と乾燥に弱いのでバスマットは乾燥機に放り込んで、そあこれでダニは処理できたはず・・・なのだが、再び検査をするとやっぱりダニの反応が出る。一体なぜ? と言う話になる。

 これはダニのアレルゲンについて考えてみる必要がある。人間が反応するのはダニのタンパク質についてである。まず生きているダニについては糞に含まれるタンパク質に反応することになる。しかしこのダニが死んで死骸となると、その死骸が壊れて中から大量にタンパク質が出てくることになる。つまりはダニを殺しただけだとアレルゲン反応としてはむしろ悪化するということになる。

 

ダニ対策には掃除機だが使い方に注意

 一般にハウスダスト1g中のアレルゲンの量が2μgを越えるとアレルギーを発症するという。ではアレルゲンを取り除くにはどうするか。これには掃除。具体的には掃除機の使用が現実的な方法になる。だから先ほどの殺虫剤も、使用後に掃除機をかけるというのが前提となっているという。

 しかしここで掃除機の使い方にポイントがあるというのである。あるハウスダストアレルギーの子供を抱える家庭では、2時間かけてカーペットの掃除をしているというが、それでも子供達はアレルギーで苦しんでいる。ここのカーペットを調べてみると、アレルゲンの量は15.6μgもある。

 実際に掃除機を使ってもらうことを多くの被験者にやってもらったのだが、これを掃除機メーカーのエンジニアに見てもらうと、非常に残念な掃除機のかけ方をしているのだという。では正しい掃除機の使い方とは。

 ここで番組は突然に「掃除機ヒストリア」になってしまうのだが(あの番組も最近はマクロスヒストリアとかプリキュアヒストリアとかわけの分からんことをやっているが)、昔の掃除機と今の掃除機を比較した場合に一カ所変わったところがあり、それがポイントだとのこと。で、その変化とは掃除機のヘッドにパワーブラシがついたこと(我が家の掃除機は古いせいでこれが付いているものがありません)。

 

掃除機のヘッドは引いて使う

 このパワーブラシがついているタイプの掃除機は、ブラシの回転方向の関係でヘッドを押す時よりも引く時の方が良くゴミをかき出すのだという。実際に実験をしているが、ヘッドを押した時よりも引いた時の方が明らかにゴミがよく取れている。しかしそれにも関わらず、たいていの人はヘッドを押して使用している場合が多い。まずはそこを改める必要がある(説明書に書いてあるらしいが、掃除機の説明書を読む人などまずいない)。

 この掃除機の使い方を先ほどの家庭に伝授したところ、アレルゲンも劇的に減少して子供達も苦しまずに済むようになって目出度し目出度しということである。

 なおフローリングの部屋では排気でハウスダストを巻き上げてしまうことがあるため、掃除機よりもモップを使用する方がよいとのこと。

 以上、掃除機の使い方ですが、実はこの番組ではかなり昔にもダニ対策のための掃除機の使い方を紹介したことがあります。ただその時はパワーブラシ型の掃除機というのがまだほとんどない時代だったので、布団に吸い付けるようにヘッドをゆっくり動かすというのが正解になってました。そうして考えると時代も変わったものです。時代の変化で教科書の内容も変わりますが、こういう掃除法まで変わるとは何とも複雑な心情ではあります。

 

忙しい方のための今回の要点

・ハウスダストアレルギーといわれているものは、実はハウスダスト自体ではなく、それに付随するダニに反応している。
・生きているダニは糞がアレルゲンとなるが、ダニが死ぬと死骸が壊れてアレルゲンとなるので、ダニを殺した後に掃除機をかけるのが重要となる。
・現在のパワーブラシを装備したタイプの掃除機では、ヘッドを押す時よりも引く時の方がよくゴミを吸えるので、引くのを主体に使用するのが正しい方法。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・とにかくアレルゲン対策としては掃除に限ります。とは言うものの、これが私の場合「分かっちゃいるけどなかなか出来ない」になっちゃうんですよね。ハウスダストアレルギーを持っているにもかかわらず、部屋のハウスダストはかなり多いという最悪の状況になっちゃってます。この番組でも是非「掃除を出来ない人でも掃除が出来るようになれる方法」を紹介してもらいたいところ。
・今回長々と45分やりましたけど、実際のところ新ネタとしては「掃除機は引いて使いましょう」だけなんですよね。後は今までに何度も出てきている話なので、この番組の古参の視聴者の場合「何を今更」という話ばっかりだったと思います。

 

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