教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

12/2 BSテレ東 ガイアの夜明け「元気に歩く!驚きのシューズ革命」

 足に合った歩きやすい靴を選ぶというのは簡単なようで実は難しい。今回はそういう靴に関する話題。

靴部門復活に取り組むアキレス

 最初は新しい靴の開発に挑んだメーカー・アキレスの話。アキレスと言えばアキレスシューズのイメージがあるのだが、実は靴部門はどんどんと縮小しており、アキレスは今では素材部門の売り上げの方が8割以上なのだという。子供向けの走り方教室なんかも開催しているが、そこに来る子供達の大半が履いているのは他所のメーカーの靴という状態。そんな中、ジリ貧のシューズ部門を建て直すべく新素材を導入。それが抜群の衝撃吸収力を持つ新素材ソルボセイン。アキレスではこの素材を使用した新商品を市場に投入した・・・のだが、新商品アキレス・ソルボは苦戦中。そこで靴部門を立て直す戦略の必要に迫られたのである。

 

個人の足に合わせた靴を提案

 靴部門復活を託された営業本部の坂本宜久氏が目をつけたのは高齢者の靴。足にトラブルの出やすい高齢者こそ靴選びが重要。そこで彼は「おばあちゃんの原宿」こと巣鴨で現地調査。現地の靴屋で調査したところ、足の形に合わせて中敷きに凹凸をつけて歩きやすくした高機能の靴が、価格が高めにもかかわらず売れているということをつかむ。

 彼は足と歩行について研究しているという新潟医療福祉大学の阿部薫教授の元を訪れてアドバイスを仰ぐ。アドバイスによると、足の老化が始まる40代から客を足を守るという観点で取り込むのが重要とのこと(研究者にしては、やけにビジネスマインドに根ざしたアドバイスをする先生だ)。このアドバイスを受けて、坂本氏は足にかかる圧力などを測定して、最適の靴を選ぶというイベントを企画する。番組では実際に江口氏がそれを体験しているが、測定結果の外側重心タイプ(要するにがに股ということか?)という結果から、それに適した靴を選んでもらっているが、ものすごく歩きやすいとのこと。実際にアキレス・ソルボの直営店で測定イベントを実施、上々の結果を得た。

 

足専門医が高齢者用室内履きの開発を

 一方、足の専門科の医者も行動している。東京の下北沢病院は日本で唯一の足の総合病院。外反母趾や巻き爪などの足のトラブルに対処しているが、予約は数ヶ月待ちという人気だそうな。理事長医師の久通勝也氏によると、高齢者は歩けなくなることが寝たきりにつながり、それが死につながるということで足のトラブルは重要なのだという。この病院には患者の足に合わせた中敷きを製作する部門もあり、患者の状態を靴から治療するということになっているようだ。

 その久通氏がメーカーと組んで新商品の開発に取り組んでいる。組んだ先はグンゼ。スリッパやサンダル用に手軽に履けてそれでいて転倒防止になる室内履きの開発を目指しているとのこと。高齢者の転倒事故の50%は室内であり、転倒防止という観点ではスリッパやサンダルという履き物はよろしくないとのこと。

 

修正を重ねつつ商品開発に成功

 グンゼで商品開発を任せられたのは、大手靴下メーカーから転職した城取和明氏。久通氏と重ねながら商品の改良を行っていく。特に久通氏はしっかりとした中敷きにこだわったようである。こうして作り上げたサンプルを久通氏や他の医師達にチェックしてもらう。とりあえず久光氏は高齢者施設などで試してもらってエビデンスを作るということになったのだが、実際に高齢者に履いてもらおうとすると、高齢者の力では履きにくいという問題点が発覚して、製造メーカーとの相談のために中国に飛んでいた城取氏が、急遽金型にウレタンを貼り付けて修正というドタバタも。

 こうして修正したシューズは高齢者のテストでも評判は上々。11月の下旬には発売するとのこと。


 今回は高齢者にとって重要なシューズの話だったが、もろに特定メーカーの宣伝めいていたのはこの番組らしいところ。アキレスがこう動いたとなれば、番組中にライバルメーカーとして登場していたヨネックスも黙ってはいないだろう。もっとも靴屋のリサーチではヨネックスのシューズが売れているとの話だったので、もしかしたらヨネックスの方が既に先を行っているのかもしれない。

 足に合った靴の選択というのが大事というのはよく分かるのだが、私の場合は靴は完全に消耗品で数ヶ月で履きつぶしてしまうのでやはりコストというのを馬鹿に出来ない。番組中に登場した1足2万円以上なんて靴はどうやっても私には買えません。私が選ぶ靴は常に価格優先で5000円前後程度。もっとも2万円の靴が私の使い方でも1年以上持つというのなら話も変わりますが。

 

忙しい方のための今回の要点

・靴部門の売り上げが減少しているアキレスでは、靴部門の復活をかけて新素材・ソルボセインを使用したアキレス・ソルボを投入。しかし苦戦中。
・そこで個人の足を測定して、その人にあった靴を提案するというイベントを企画、上々の反響を得ている。
・日本唯一の足の総合病院である下北沢病院の理事長医師の久通勝也氏は、グンゼと協力して高齢者向けの転びにくい室内履きの開発を行っている。
・試行錯誤の結果、開発に成功した室内履きは11月下旬に発売とか。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・実のところ、私も既にひざなどにトラブルを抱えています。長距離を歩けばひざが痛くなるということが良くある。なお靴底の減り方を見れば、私は明らかに外側重心タイプ。だからそれを矯正する靴に興味はあるのですが・・・現実は価格次第です。

 

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