教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

12/4 NHK ガッテン「今が旬のヘルシー白菜 うまみ濃厚!食感自在!激ウマ活用術」

 これからのシーズン、鍋料理に欠かせない白菜であるが、実はこの白菜は我々が思っているよりもずっとスゴイ野菜であるらしい。

昭和初期の伝説の白菜鍋を再現

 まず最初に登場するのが昭和初期の新聞記事。そこで神戸の高級割烹で大人気という白菜鍋が紹介されている。この白菜鍋の再現に挑戦したのが仙台明成高校の調理科の学生。参考にした新聞記事の中のキーワードは「白菜のジュース」というもの。彼らはそれを元に鍋料理を作り出した。見たところ普通の鍋なのだが、とんでもなく美味いという。それはどうやって作ったか。

 もう一つのキーワードは「水を差し込まず」。彼らは白菜2キロを刻み、そこに塩8グラムを加えて煮込み、白菜だけのスープを作ってからその汁だけで鍋を作ったのだという。実は白菜は大量のうまみ成分のグルタミン酸を含んでおり、その量はタマネギやキャベツなどの倍だという。つまりは白菜は「出汁タンク」なのだという。実際に番組ゲストが白菜だけで出したスープを飲んでみているが、明らかに出汁の味がしていてかなり美味いという。白菜を調理する際は、外側の青い固い葉やヘタなどはお湯に入れて中火で30分ほど煮ると、抜群の出汁が取れるとのこと。

 

白菜が出汁タンクになる理由

 白菜がなぜこのような出汁の宝庫になるのかというのは、白菜の成長を見れば分かるという。白菜は最初は葉が広がっているのだが、ある程度育ったところで葉が立ってきて丸まる。するとその中に次々と葉が詰まってくる。こうしてびっしり詰まったのが結球した状態である。白菜の葉は外の緑色の葉は光合成をし、内部の白っぽい葉はその栄養や水分を蓄える働きをしているのだという。それらの栄養や水分は、越冬後に花芽が成長して開花する(白菜からは菜の花が咲く)際のエネルギーになるらしい。この結球した状態が出荷時であり、農家ではこれを確認してから出荷しているとのこと(結球しているかどうかは白菜の頭を押せば分かるそうだが、売っているものはすべて結球しているものなので、スーパーの白菜の頭を押さないようにとのNHKらしい注意付き)。

 

白菜を使った絶品料理法

 白菜を使った中国の皇帝も愛したという高級料理が開水白菜という料理。これは白菜の中心の菜芯の部分だけを使い、これを白菜や鶏ガラのスープの中で蒸したものだという。非常に上品な味がするらしい。

 この後は料理法の紹介。白菜は上下で性質が異なるので使い分けるのがポイントだという。葉の部分は葉野菜、下の部分は根菜のように使えるという。また白菜の縦の繊維に沿って切ると水分を中に保つことが出来るので炒め物などに最適。逆に横に繊維を断ちきるように切ると水分が出てくるので煮込みなどに良いという。また鍋に入れる場合には分厚くならないそぎ切りを推奨している。

 ここで番組が提案するメニューが白菜のお好み焼き。ざっくりと切った白菜の葉先1/2分にお好み焼き粉100グラム、水150mlを加えてお好み焼きの要領で焼くのだという。ふんわりとしてトロトロの抜群な白菜料理が誕生するとのこと。これはゲストが試食して全員驚いている。これは明日のスーパーの店頭から白菜がなくなりそうだ(既に白菜の隣にお好み焼き粉を並べて置くスーパーがいそう)。これ以外にも葉先はサラダにとか、菜芯は生のまま刺身に添えると美味いなど新料理を提案している。また3時間ほど天日干しにするとうまみが増すのだとか。思わず試したくなる内容。

 

日本で白菜が栽培されるようになった始まり物語

 最後は白菜が日本に普及するまでの苦労話。実は100年ほど前には日本に白菜はなかったらしい。中国で白菜を知った人が日本に種を持ち込んだのだが、日本ではどうしても結球しなかったとか。それは日本には小松菜などの他のアブラナ科の植物が存在するので、それらと混ざってしまって結球しなくなるのだという。そこで白菜の種を島に持ち込んで、その島の他のアブラナ科の植物を全部除去する(雑草の中にもアブラナ科の植物はあるので、とんでもない手間である)という作業を行って白菜の種を生産したのだという。こうして結球する白菜が栽培できるようになったのだとか(と言うことは、今でも白菜の種はこのような雑種化を防ぐ方法で作られているということか?)。この経緯は私も初耳。うーん、勉強になるな。


 今回は白菜についてのかなり実用的な情報でした。以前から経験的に白菜を料理に加えると非常に良い出汁が出るということは感じてましたが、白菜がグルタミン酸の宝庫ということまでは知りませんでした。毒にも薬にもならない人畜無害そうな顔をして実は意外なほどの実力者ということのようです。この野菜は。ということは寄せ鍋の類いも、魚介類で出汁を取っていると考えていましたが、実は白菜の存在というのが無視できないものだったということのようです。白菜ってあまり味が強いイメージがなかったので、これは驚きではあります。

 久々にこの番組で唸らされました。こういう知っているようで実はあまり知られていない情報を伝えるというのはこの番組ならではです。今回は驚いたわ。私も。

 

忙しい方のための今回の要点

・白菜は実はタマネギやキャベツの倍の量のグルタミン酸を含んでおり、出汁タンクとも言えるぐらいの野菜である。
・白菜は結球する際に内部の葉に栄養や水分を溜め込んでいる。これは越冬後に花芽が成長して開花する(菜の花が咲く)ためのエネルギーである。
・白菜は繊維に沿って縦に切ることで内部の水分を保つことが出来、逆に横に切ると水分を出すことが出来る。そこで炒め物や煮物など用途に合わせての切り分けが重要。
・菜芯の部分は柔らかくて甘みもあり、ここだけを用いた皇帝用の高級料理まであるぐらい。
・番組推薦は、葉の部分を使ったお好み焼き。
・白菜を最初に日本で栽培しようとした時は、他のアブラナ科の植物と混ざって結球しなくなってしまったので、島で他のアブラナ科の植物をすべて排除してから栽培して種を採取するという苦労があった。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・お鍋には何はなくとも白菜ということのようでした。確かに白菜だけを炊いても実はかなり美味いんですよね(我が家はよく白菜鍋をします)。煮込んでトロトロになった白菜はたまりません。
・それにしてもやっぱりこの番組って、料理番組か健康番組なんだよな。たまには毛色の変わったネタもあっても良いと思うが、記憶に残っているのはオレオレ詐欺対策ぐらいか。しかもそういう回に限って視聴率は今ひとつになっちゃうから、結局は料理か健康ネタばかりになる。

 

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