今は枯れ果てた湖群地域のナゾの丘
オーストラリア南東部にある三日月形のナゾの丘。ここはウィランドラ湖群地域。湖群地域とあるが、実は今は湖は完全に枯れてしまっていて不毛の台地が広がるのみである。しかしここは1万5千年前には満々と水をたたえる湖と、豊かな森が広がっていた。
丘の上には様々な砂の塔が林立している。この丘は三日月形をしていることからルネットと呼ばれている。これは湖の岸に砂などが積もってできたものである。かつて東京都ほどの面積のあった湖が消え去ったのだという。西風によって湖の底にあった砂や粘土が積もったものがルネットだという。だからルネットは湖の東側にのみ存在する。そして砂の塔は風の浸食によってできたものである。
このルネットの砂を掘ると大量の動物の骨が出てくる。ここはかつて豊かな森林であり、多くの動物が暮らしていたのである。今でも多くの有袋類の骨格が発掘されており、中には体長2メートルもの巨大な生物のものがある。
ルネットには3種類の層が見られるが、これは湖の水位の変化によって生じたものだという。ここの湖はかつて東部の山岳地域から大量の水が流れてきていたのだが、氷河期の到来によってその水が流れてこなくなり、そのうちに水路が詰まってしまって、氷河期が終わったのちも湖に水が流れてくることがなくなったのだという。
この地で暮らしていた人類の痕跡
この地では太古の人の骨も発見されている。また足跡の化石も残っているが、かなり歩幅が広かったり、片足の足跡しかなかったりなどしているという。歩幅から推測した身長は2メートルあまりあるという。片足だけの足跡には杖を突いた跡があったという。
太古のかまどの跡や貝塚なども発見されており、彼らは狩猟採取で生活していたと考えられる。彼らの集落跡に残された魚の耳石を調べたところ、湖の塩分がだんだん上がってきたことが分かるという。現地民のアボリジニらは彼らを自分たちの先祖だと考えて大切にしているという。
忙しい方のための今回の要点
・今は全く水のないオーストラリアのウィランドラ湖群地域には、ルネットと呼ばれる砂の丘がある。
・湖が枯れたのは今から1万5千年前。東の山岳地帯から流れてきていた水が、氷河期になって氷河になって流れてこなくなったために水が枯れてしまった。
・ここの湖岸からは多くの有袋類の骨格などが発見されており、また太古の人類の化石も見つかっている。彼らは狩猟採取で生活していたと考えられている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・まあ昔はかなり豊かな土地だったんでしょうね。現在は見る影もないようですが。
・水のある所には人間が住んでいるというのは昔から真理です。それにしても身長2メートルという話ですが、その末裔だと考えられるアボリジニはそんなに巨体のイメージはないですね。本当に直系なんでしょうか?
・それともスキップのような独特の歩行の習慣があったとか? 歩幅だけでなく、足の大きさも大きいんでしょうか? 2メートルもの巨体だったのなら、かなり足のサイズも大きいと思うのですが。ジャイアント馬場のように。
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