教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

12/16 BSテレ東 ガイアの夜明け「追跡!"マグロ激減"の謎」

 日本近海でのクロマグロの漁獲量が激減しているという。資源の枯渇さえ懸念されだした漁の現場を取材。

壊滅寸前の一本釣り漁師達

 異変は数年前から始まっていたが、最近は大間のマグロ一本釣り漁師達は壊滅的状況だという。漁期が始まっても全くマグロに出くわさない漁師がゴロゴロおり、今後漁を続けていくことさえ不可能ではないかと心配する漁師達が増えている。2018年の大間のマグロ水揚げ量は前年比で6割減とのこと。

 

巻き網漁がマグロ資源の枯渇の原因か?

 彼らがその原因の一つとして考えているのがマグロのまき網漁。二隻の漁船で網を巻いて群れを一網打尽にする漁法である。一本釣りや延縄漁の漁獲枠は年間1457トンに対し、巻き網漁の漁獲枠は3153トンである。しかも巻き網漁は産卵のために海面近くに浮上してきたマグロの群れを狙うためにマグロの生息数に影響しているのではと漁師達は考えている。彼らの不満はそもそも巻き網漁の漁獲割り当てが多すぎるのではというのもあるのだが、そこは巻き網漁は大手水産会社が手がけているので、諸々の裏事情がありそうだ(まあ安倍周辺に政治献金でもばらまいているのだろう)。水産庁にマグロの生息数に影響しないのかを問い合わせても返事はゴニョゴニョ、大手水産会社に直接に番組が問い合わせても「お答えは出来ません」という紋切回答があったのみ。

 しかも元々巻き網船で働いたことがある漁師からの告発まで。彼の証言によると、漁獲量の割り当てが決まっていても監視がいるわけでないので、例えば捕獲中に死んだマグロなんかは海に捨ててなかったことにするし、中には船員が腹のトロのところだけを取って後は海に投げ捨てるなんてことまでしているという。

 

ヨーロッパで効果を上げた資源回復策

 さてマグロの資源が枯渇しかけて問題となったが、対策を行って漁獲量がV字回復したのがヨーロッパだという。ヨーロッパでは漁船に監視員が乗り込んで捕獲数を厳密に監視している上に、捕まえた小型のマグロ(巻き網漁で捕るマグロはまだ成長しきっていない中から小型のマグロである)は生け簀に入れて引っ張っていく。卵を持っているマグロはその間に産卵するので卵は減らない(日本では卵を持ったマグロをそのまま捕まえて、卵巣を廃棄している)。さらにこれらのマグロは畜養して成長してから順次出荷するのだという。その方が効率的であり、値崩れしないとのこと。ヨーロッパの担当者に取材すると、日本では小型のマグロを捕りまくっていることを「非常に危険であり、あり得ないこと」と言っている。


 マグロ資源保護のためのヒントまで含めた内容であるが、果たして日本がキチンとした対応を取るかどうか。とにかく「献金さえすればマルチ業者でも優遇します」の安倍政権の元では望み薄だろう。

 これは水産メーカーの方から対策を打つべきだろう。目の前の短期の利益の事ばかりにとらわれず「我々は長期的視点から水産資源の保護に配慮しています」とアピールできる対策を取れば、その方が企業イメージも上がって長期的には収益に結びつきますよ、マルハニチロに日本水産さん

 

忙しい方のための今回の要点

・日本近海のクロマグロが資源枯渇が懸念されており、大間の一本釣り漁師達は漁獲量の激減の状況に直面している。
・彼らがマグロ減少の原因として考えているのが、大手水産会社による巻き網漁。産卵のために浮上してきたマグロを一網打尽にするためにマグロの減少の原因になると考えられているのだが、水産庁はその見解は認めていない(献金の効果だろう)
・またそもそも巻き網漁に対する漁獲割当量が多すぎるのではないかと、一本釣り漁師達は指摘している(献金の効果だろう)
・しかもその漁獲割り当て自体も監視員がいるわけでないので、実は守られていないとの内部告発まであるのだが、対策も調査もなされていない(献金の効果だろう)
・ヨーロッパでは監視員を漁船に同乗させて漁獲枠を厳密に管理すると共に、取ったマグロは生け簀に入れて畜養してから出荷することで、マグロの資源がV字回復した。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・結局はすべて日本では献金で決まると言うことです。安倍の周辺に金を撒いていたら犯罪を起こしても不起訴になるのがこの国ですから。

 

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