教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/2 TBS系 世界遺産「雪の絶景!標高3600m 五彩に輝く天空の池」

 今回の世界遺産は中国四川省の黄龍。標高3600mの高地に2400枚以上もの池が並んでいる絶景である。


『世界遺産』2/2(日) 雪の絶景! 五色に輝く天空の池 〜黄龍(中国)【TBS】

 

石灰岩が生み出した絶景

 ここは冬になると凍結するが、もっとも標高が高い位置にある五彩池は冬でも凍結しない。それは近くから年中湧き出している水の温度が7度であるからだという。

 このような景観が生じた原因は、ここの水が石灰を大量に含んでいるため。この辺りの山地は石灰岩で出来ており、そこから湧いた石灰を豊富に含む水が谷筋を流れてこの奇観を造り出したのだという。池の水が溶けている秋などには各池は五色に輝くという。色の違いは池の深さと沈殿物などの影響とのことで、浅い池は緑色に深池は青色に輝くのだとか。池の縁は石灰岩が蓄積することで出来ているが、この縁には褐藻類が繁殖することで黄金色になっている。これがまた奇観に色を添える。

 

森を埋めた石灰岩

 池の縁をさらに高くする要素としては落ち葉の存在があるという。降り積もった落ち葉が池の縁に溜まり、それに石灰が蓄積して壁となっていく。これによって池の縁は毎年数ミリずつ高くなっていっているのだとか。

 また池の底にはボコボコとした岩が見えるのだが、これはかつてここが森であったことを物語っているという。これらの岩は木の根元に石灰岩が蓄積したもので、その後に木が倒れるとそこにさらに石灰岩が蓄積したのだという。

 ここは信仰の土地でもあり、五彩池の近くには寺院が建っており石塔なども建てられていたが、それらは長い年月の間に石灰岩の池に埋もれて今では頂上しか見えていない。また近くには地下に潜る入口があるが、その中は鍾乳洞となっている。そこの水は病気を治す聖水として人気を集めており、多くの参拝者が訪れたという。内部に安置された木像には参拝者が布をかけて、そこに石灰を含む水が降りかかることで今は石灰に埋もれてしまっているとか。

 この地は石灰岩が産み出した希有な景観として世界遺産に登録された。

 

忙しい方のための今回の要点

・中国四川省の黄龍は2400枚以上の池がつながる奇観である。
・この池を生んだのは湧き水に大量に含まれる石灰で、析出した石灰が池の縁を形成している。またそこに落ち葉が絡むことで、池の縁は毎年数ミリずつ高くなっているという。
・元々はこの地は森林であり、石灰岩に飲まれた木の跡が水底の岩として残っている。
・この地は信仰の地でもあり、五彩池の近くの寺院には鍾乳洞があり、そこには聖水を求めての参拝者がやって来る。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・あの風景は見た途端に石灰岩によるものだということは想像付きますね。ヨーロッパにも同じような構造で温泉が湧いている場所がありましたっけ。石灰岩というのはとにかく水に溶けやすいので、いろいろな風景を生み出すものです。そして石灰岩のあるところには鍾乳洞もつきもの。

 

次回の世界遺産

tv.ksagi.work

前回の世界遺産

tv.ksagi.work