今回はインフルエンザウイルスと同じぐらいのサイズのロボットを作ってしまうDNAオリガミという技術について。
DNAを使って思い通りの形を作る
この技術はウイルスから取り出した長い環状のDNAを使って、ここに短いDNAを加えて結合させることでDNAの鎖を折りたたむことで狙った形を作るというものである。これを開発したのはアメリカ人の研究者であるが、折りたたむと言うことで適当にオリガミと名前をつけたらしい。しかし日本人としては今ひとつピンとこない名称なので、日本人研究者と会う度に必ず「あれはオリガミではない」と言われることになってしまったとか。番組ゲストの関西大学の葛谷明紀教授はオリガミよりも機織りの方が近いというようなことを言っていたが、確かにその通りである。
実際に葛谷教授の研究室でDNAオリガミを作る作業を見せてもらっているが、試験管で複数の試薬を混合すると熱を加えるという極めて簡単な作業。こうして合成した試薬を電子顕微鏡で見ると見事にインフルエンザウイルスサイズのニコちゃんバッジが大量生産できているという案配。DNAの「特定の塩基同士が結合しやすい」という性質を使用しているので、どういうパーツを組み合わせるかを考えることで、あらゆる立体を成型することが可能なのだという。
マイクロロボットを作ってガン治療を行う
この技術を利用してのマイクロロボットがいろいろ考えられているという。葛谷教授が合成したのはペンチのような形のDNAオリガミで、これにはある物質に反応する部位が組み込まれてあり、その物質を検知するとペンチが挟み込むので形が変化する。これを利用した分子レベルのごく微量の物質の検知が可能になることから、例えばガンの検診などに応用できるのではと考えているという。
また籠の先端にセンサーをつけたようなロボットも開発されているという。このロボットの籠の中には抗がん剤が入っており、センサーががん細胞を発見するとそこで籠を開いて抗がん剤を作用させるという仕掛け。これが実用化出来たら副作用の極めて少ない抗がん剤が実用化出来るかも知れない。
新技術に潜む危険性
しかしDNAオリガミは全く新しい技術だけに、これが広がった場合の危険性や倫理面の問題などを事前に検討しておくことは重要であると言う。DNAはそもそも増殖しやすい性質を持っているため、最悪の想定としては特定のDNAオリガミが自然界で爆発的に増殖して人間が駆逐されてしまうなんていう危険性も想像できるという。また私が感じたのは、DNAオリガミが細胞内の遺伝子に作用して、そこに入り込んだり遺伝情報を書き換えたりしてしまう危険性である。まさにそれをやっているのはウイルスであり、下手すると人間の手によってとんでもない危険なウイルスを作ってしまうという可能性が考えられるように思われる。
非常に興味深い技術だけに期待するところも大であるが、それだけに実用化には慎重であって欲しいところ。医療面の応用は中国が研究が進んでいるというようなことを葛谷氏が言っていたが、あの国はそもそも倫理面の規制が極めて弱いことから、下手すると実用化を焦ってとんでもない実験をしてしまうのではということが懸念される。それこそ中国の細菌兵器という噂のある新型コロナウイルスどころではないとんでもないウイルスを作って、世界にばらまいてしまうなんて危機を想像してゾッとする。
忙しい方のための今回の要点
・現在注目されている微少技術にDNAオリガミというものがある。
・これはDNAが特定の塩基同士で結合する性質を利用し、DNAを使ってマイクロサイズの狙った形を作る技術である。
・これを使って超高感度センサーや特定のがん細胞にだけ抗がん剤を作用させるマイクロロボットなどが考えられている。
・ただし、世界に広がることで自然界にどんな悪影響を及ぼすかが不明なので、危険性を十分に検討する必要がある。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・中国はすぐに人体実験もどきの実験をしてしまう国ですからね。それこそ優れた人類を作ろうとして、ミュータントを作ってしまったなんていうSFのような悪夢さえ現実にしてしまいかねない怖さがあります。国際的取り組みで危険性を検討しておく必要はあるでしょうね。