教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

4/21 テレ東系 ガイアの夜明け「"緊急事態宣言"その後…5つの現場」

 政府の初動対応の決定的失敗によるコロナの蔓延に対し、とうとう緊急事態宣言が発令されたが、それに関しての各企業などの状況を伝えている。

 

迅速に対応したコンビニ

 まず翻弄されることになったのがコンビニ業界。ライフラインの一環として営業自粛は求められていないが、店によっては売り上げに壊滅的打撃を受けるし、店員の感染も防がないといけない。

 ローソンではホームセンターからビニルシートを取り寄せてレジカウンターの前にシールドとして貼っている(これはローソンだけでなく私はセブンイレブンでも見た)。またセルフレジなども導入している。また店ごとに変化が大きい。オフィス街の店舗では自宅勤務のせいで売り上げが壊滅的状況になっているのに対して、住宅地の店舗などでは逆に売り上げが増えているところがある。遠くのスーパーに出かけるのを躊躇って近くのコンビニで買い物を済ませる高齢者などが増加しているのだという。それに合わせて店舗の方でも野菜などの仕入れを増やすことにした。ある店舗では2階のジムが営業自粛したのに併せ、それまで大量に置いていたプロテインを撤去して野菜の売り場を倍に増やした。また家に籠もると癒やしが必要であろうと睨んでスイーツの仕入れも増やした結果、客単価が増加しているという。

 

ビッグデータで捉えた人の動き

 外出の自粛が言われているが、実際に人通りは減ったのか。番組ではベンチャー企業のアグープによるビッグデータの解析で比較している。許可を得た人からスマホの一データを集めて人出を調べたところ、例えば渋谷では宣言後に34%、歌舞伎町では36%人出が減っているという。しかしその分の人が住宅街に出ており、三鷹の駅前商店街などでは8%しか減少していないという結果になっているという。スーパーなどではむしろ人が増えているのではとのこと。

 さらにクロスロケーションで解析した結果では、いわゆるコロナ疎開の傾向が明らかに現れているという。軽井沢には首都圏からの移動が増加しているし、那須には北関東から人が移動してきている傾向が顕著であるという。

 またSNSなどのネット情報を解析しているスペクティによると、緊急事態宣言前はかなり多くのデマが飛び交ったという。中には東京が4/1にロックアウトさせるというデマもあり、これは政府が直接否定する事態にまで及んだ。しかし宣言後はデマの数はむしろ減少しているという。しかしデマの拡散速度は逆に増しているとのこと。家に籠もった人々がSNSに張り付いている状況が反映しているのではとのこと。

 

医療テントに取り組むメーカー

 緊急事態宣言に併せて仕事が急増している会社もある。東京ドームなどを手がけたテントメーカーの太陽工業では医療機関向けのコロナ対応用の医療用テントの注文が殺到しているという。特殊な装置をつけてテント内を陰圧にすることも出来、ウイルスが漏れることを防ぐことが出来る。太洋工業では2015年に韓国でMERSが流行した時に100基のテントを緊急輸出した実績があり、それが今回の対応をも可能としている。病院の依頼に基づいて配送すると、現地で10分程度で設置完了する。これが発熱外来などに利用させるという。現在はさらにドライブスルー検査にも対応できる巨大なテントの製造も手がけているという。

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医療用テント 出典:太陽工業HP https://www.taiyokogyo.co.jp/

 そして最後に登場するのがAPA。コロナ感染の軽症者のためにホテルを貸し出したという話。横浜に立てた巨大なホテル一棟をまるまるコロナ患者のために提供したとのこと・・・なんだが、これに関してそもそも宿泊客が減少していたところで政府に話を持っていったことで、実際に国からいくらもらっているか不明なので、単純な社会貢献とは私は考える気はしない。元々安倍とズブズブの会社ですし・・・。

 

 以上、コロナに対しての諸々の対応。確かにコンビニの対応の早さは私も感じてました。政府の対応が極めて鈍い上に方針もコロコロ変わり、ギリギリまで利権を優先して国民を見捨てようとしていたりなど、劣悪極まりないものだったのに対し、むしろ民間の方が迅速で的確な対応をしている。

 もっともこのような迅速な対応が出来るのはある程度の地力のある会社であって、中小零細は対応できないところが多いし、大手でさえテレワーク不可能というところも少なくない。製造ラインなどを抱えているようなメーカーは仕方ないと言えるが、中には「承認のための印鑑が必要なのでオンライン化できない」という前時代的な会社まであり、アホか馬鹿かの世界になっている。承認ラインをオンライン化する必要性を検討しないといけないが、そもそもその承認ラインが必要なのか(実は業務の効率を妨げているだけでは)という会社もあるので、まさにそれは各社様々である。

 今回のドタバタでとにかく日本の危機対応能力の悲惨さが露呈した。あまりに対応がひどすぎた政府を始めとして、あらゆる組織の根本的見直しが必要だろう。日本は蓋を開けてみたら中身は全然先進国ではなかったということが今回露呈してしまった。

 

忙しい方のための今回の要点

・緊急事態宣言の発令により、コンビニでは店員を守るためのシールドを設置すると共に、巣ごもり需要に併せた商品の入れ替え等を実施した。
・ビックデータの解析によると、都心部の繁華街では確かに人出が30%以上増加しているが、住宅街などでは減少しないかむしろ増えている。
・さらにいわゆるコロナ疎開の実情なども明らかとなった。
・またSNSなどを通じたデマの拡散も問題となっている。
・一方、医療用テントなどを手がける太陽工業では注文が相次ぎ、全力でそれに対応中である。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・とにかく今回の事態は、事件が落ち着いたところで諸々を分析して根本的な改革を進めるべきである部分が多々ある。まずは一番は無能な利権優先政権を追放することから。

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