教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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4/28 テレ東系 ガイアの夜明け「日本が今 中国から学ぶこと」

平静を取り戻しつつある中国国内

 日本国内は政府のマズすぎる対応もあって混乱の最中であるが、一方発生源とされて至る中国では既に上海市内などは平静を取り戻しつつあるという。かつてはガラガラだった繁華街も、多くの人々が繰り出している(全員マスク着用ではあるが)。また4月の新規感染者は0だと言う(その数字が信用できるかはともかくとして)。中国はどのような対策をとったのかをレポートしている。

 中国での外出禁止については「強制ではないものの、実質的には強制に近かった」という。その外出禁止は2ヶ月にも及んだが内容はかなり徹底しており、その期間は繁華街からも地下鉄からも人の姿はほぼ消えたという。今では町も人が戻り、かつてはマスクの争奪戦が起こっていた薬局でも普通にマスクが入手できるとのこと。スタッフが実際にマスクを購入しているが、中国製マスク(5枚で190円)だけでなく、なぜか日本製(本物かどうかは分からんが)マスクまで入手が可能となっている。購入数制限も特にないとのこと。また一時は食料品などが払底したスーパーも今は平静を取り戻している。

 

徹底した行動制限

 上海では検問所を作り、流入する車に対してのチェックを行ったという。またショッピングモールなどあらゆる所で体温の検査をし、37.3度を越えていると立ち入ることが出来ないという規制がなされたという。また春節後に事業再開になったオフィスビルなどでも行動履歴の提出を求められ、市外から入ってきた人は2週間の自宅隔離が求められたとのこと(テレビ東京の上海スタッフがビルに入れなくなっている)。飲食店も店内での飲食が禁止になり、スマートフォンでのアプリを使用した配達のみとなり、その配達も配達員の体温までが表示されるという徹底ぶり、さらには配達されたものは手渡しではなく、離れたところに置いていくという完全非接触である。

 また感染者が出た場所はスマホのアプリで表示されるようになっているという。どこのマンションで感染者が出たかなども表示されている。日本でこれをしようとすると「マンションの資産価値が落ちる」などと住民の反発は必至だろうという。また地下鉄などでは自分がどこに乗車したかの情報などをQRコードで入力するようになっており、個人の足跡が徹底して記録されている。これなども日本ではプライバシーの絡みもあって導入はなかなか困難であろう。

 

行動監視と接触制限

 また特警と呼ばれる警察の特殊部隊がドローンで市内を監視、マスクをせずに歩いている者に警告したり、野外で集まってカード遊びをしている連中に警告して解散させたりなどの監視も行っている。またマンションなどでは人が入ってこないようにバリケードを築くなどの様子がよく見られているという。宅配の荷物なども門の外に置くようになっている場合が多いとのこと(雨の時はどうするんだろう?)。

 なお4月に改めて感染者が出たマンションを訪問したところ、現在はアプリの表示は「58日が経過した」ということで青表示に変わっているが、マンションは今も厳戒態勢で入るには入国審査並みの書類の記述が求められるようになっている。エレベータのボタンにはラップが貼られ、定期的に交換するようになっており、1日2回は各地の消毒作業がなされているという(一定以上の富裕層が居住するマンションと思われる)。

 感染から回復した人も取材しているが、1月に武漢に仕事で行って帰宅後に感染が判明したという人物。アビガンと免疫製剤の併用で1週間で改善したが氏も覚悟したと言っているが、自宅に戻るにはPCR検査を5回クリアする必要があったという。5分から10分歩いただけで息が切れて胸に圧迫感があったので今もリハビリ中とのこと。なお家族は故郷に帰したままで、まだ会っていない模様。つまりはまだ生活は元通りにはなっていない

 

徹底隔離の医療施設

 なお上海の基幹病院の取材も行っているが、コロナ患者は徹底した管理を行っているが、ここに入院している感染者のほとんどが10代や20代だったとのこと。患者のいる病棟は完全隔離で、取材も建物の3メートル以内には近づけず、ここに立ち入ると2週間の隔離処理の対象になるとか。

 浙江省でも隔離を徹底している。重症患者を集中的に受け入れている浙江大学医学院付属第一病院は昨年の11月に完成した直後。医療関係者と患者を徹底して隔離しており、重症患者にECMOをつなぐ手術や、肺の移植手術なども行われている。医師は当然のように完全防備であり、空気なども濾過装置を通して供給するようになっている。

 また治療に携わる医師や看護師はこの施設にずっと住み込みで隔離されている。2週間隔離してPCR検査が陰性なら出ることが出来るが、その後もホテルなどで2週間休養(つまりは隔離だろう)するとのこと。

 かなり徹底しているが「早期発見」「早期隔離」「早期診断」「早期治療」が基本方針でありやり過ぎとは考えていないというのが最高責任者のコメントである。

 また外来患者が訪れる総合病院ではQRを使用した健康コードというシステムがあり、過去の行動履歴などから感染の危険度を判定するのだという。安全な緑から7日以内の隔離の黄色、14日間の隔離の赤の三段階があり、これで振り分け診療が行われることになる。

 広州では武漢に派遣された医療関係者の帰還を迎えるセレモニーが大々的に開催されていた。派遣された医療関係者の中に感染した者は0であるという。

 ただ中国でもすべてが回復したわけでなく、工場では移転や人員削減なども行われており、家賃の免除などを求める商店主達のデモが起こるなどまだまだ潜在的な問題は抱えているとのこと。

 

 うーん、参考になるようなならないような。既に日本では初動の決定的な失敗のために、今では導入が遅すぎる政策も多々ある。やはり最初の段階でオリンピック開催を最優先にして、コロナを存在しないことにしようと隠蔽したのが致命的失敗であったのは明らかである。また中央集権の中国だから出来る政策も多く、日本で実行するのは問題のある政策も多いし、日本であの無能な上に利権のことしか考えない総理の下に全権を集約するなんてのは最悪の措置以外の何物でもない。

 さらに本当に気になるのは、これで完全に押さえ込めているかである。当局も二次爆発などには細心の注意はしていると思うが、本当にそれに対応できるか。既に中国当局自体が経済優先に舵を切っているので、そこの切り替えがスムーズに行われるかなども注意事項だろう。

 にしても、中国の病院を見ていると、日本のろくに医療用マスクもない中で精神論だけで動員されて院内感染が多発している状況を見ると、日本は先進国なんてことは全く言えないと言うことを痛感せずにはいられない。確かに中国の隅々までこのレベルと言うはずはなく、中国としても海外に公開しても良いようなところだけ見せてはいるのだろうが、残念ながら日本にはこのレベルの所はほとんど存在しないのでは。中国政府の宣伝として大分割り引いて見たとしても、日本の対策が中国のレベルに及んでいないのは明らかである。

 

忙しい方のための今回の要点

・中国ではコロナの封じ込めのために、個人の行動の徹底した把握を行っている。
・また病院では患者の完全隔離を実施し、医療関係者も感染を防ぐために完全防御の上で完全隔離をされている。
・そのためか4月の新規感染者は0(政府発表)とのことで、町中は平静を取り戻しつつある。
・ただそれでも工場の人員削減や、商店主達の損害などの潜在的な問題は存在する。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・まあとにかく「徹底している」という特徴が有りますね。しかし日本で権限を集中させたところでこういう対策は無理でしょう。所詮はトップが自分の利権しか考えない馬鹿ではどうしようもない。何しろ総理自らが出した対策が例のアベノマスクなんですから、あの男に権限集中なんてしたら、さらなる地獄が出現するのが確実。やはり日本はトップをあれにした時点ですべてが失敗してます。

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