教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/17 TBS系 世界遺産「密林にそびえる天空宮殿!1500年前の古代都市」

天空の宮殿シーギリア

 スリランカのシーギリアは内陸にそびえる巨岩の頂きに宮殿を建設した1500年前の古代都市である。

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シーギリヤのライオンの山 出典:Wikipedia

 平らな大地にポッコリとそびえる岩山。シーギリアはそれを取り巻くようにして建設されている。宮殿の手前には人工的な池を配した庭園があり、それを抜けて進むと巨岩の間を抜けて進んでいくことになる。岩山の宮殿はライオンの山と言われ、岩山全体が王権の象徴であるライオンを意味しているのだという。宮殿の入口にはライオンの足があるが、かつてはライオンの頭もあって、口の中から先に進むようになっていたという。ここを抜けると垂直の断崖を階段で登ることになる。

 

シーギリアを建設したカッサバ1世の意図

 シーギリアを建設したのは、父を殺して王となったカッサバ1世。しかし彼も弟に命を狙われる身であった。完成までに7年を要し、岩山を削った上にレンガで土台を作り、木造の建築がかつては大量に並んでいたという。命を狙われていたカッサバ1世はこの岩山を要塞にもしており、多数の見張り台も備えているという。

 シーギリアにあるコブラの岩は、自然の浸食によって作られた庇の下に、かつては瞑想場があった。シーギリアの38個の巨石はそれ自体が信仰の対象であったという。そのために最も大きな岩の上で暮らすことで神に近づこうとしていたのだという。

 ライオンが向いている北側にはシーギリアと双子の岩山であるピドゥランガラ。シーギリアからはピドゥランガラまでかつては参道があったという。そしてピドゥランガラの天然の庇の下には涅槃仏が刻まれている。またシーギリアの岩山の西側の壁には天女の像が描かれている。1500年前に描かれたにもかかわらず、これらの壁画は未だに鮮やかな色彩が残っている。

 

雨期の雨を利用する灌漑システム

 シーギリアは1年の半分は雨が降らない地域であるため、雨期の雨を蓄えるための灌漑システムが完備している。溜め池に水を蓄え、堀には溜め池から水を引いてワニが放たれていたという。また岩山には雨水を流す水路が刻まれ、宮殿の水は下の地下水路に流れて庭園の池にたどり着くようになっている。これらの水は王宮の外にまで流れ出し、溜め池を通じて周辺の田畑にも供給されている。しかしこの王宮は完成からわずか11年後に、カッサバ1世が弟の軍に包囲されて自殺したことで幻の都となったという。

 

忙しい方のための今回の要点

・スリランカ内陸のシーギリアは、岩山の頂きに築かれた宮殿を中心とする1500年前の古代都市である。
・宮殿はライオンを模しており、これは父を殺して王に即位したカッサバ1世が、王権の正当性を訴えるものであったという。
・シーギリアの北にはピドゥランガラの岩山があり、ここには涅槃仏が掘られている。かつては両者を結ぶ参道があった。
・また雨期の雨を活用するための灌漑システムがシーギリアには整備されていた。
・しかし王宮完成からわずか11年後、カッサバ1世が対立していた弟の軍に包囲されたことで自殺、シーギリアは幻の都となった。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・非常にインパクトのある宮殿です。イメージとしてはまさに天空の宮殿。規模では劣るものの、インパクトではマチュピチュにも匹敵する。
・そして天空の城郭は我らが竹田城をも連想させる。
・何とかと煙は高いところに登りたがるなどと言いますが、やはり天に近づくことで神にも近づけると考えていたのですかね。カッサバ1世は父を殺して即位したとのことですから、やはりあらゆる方法で自らの正当性を訴える必要があったのでしょう。
・少し調べてみたところ、カッサバ1世は「狂気王」などとも呼ばれていたようです。やはり父を殺して即位し、こんな異常な都を建造したのは、当時の常識から考えても「まともではない」とされたんでしょうね。こんな要塞に籠もりながら弟の軍にあっさりと負けているのは、やはり人望がなかったのではないかという気がしますね。

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