教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/26 テレ東系 ガイアの夜明け「コロナで学びを止めるな!~休校でわかったニッポンの現実~」

オンライン授業が困難な日本

 コロナの影響で異例の長期休校を全国で余儀なくされているが、おかげで教育の現場は大混乱である。また学びを中断された形になる全国の児童の学力低下も懸念されている。オンライン授業なども検討されているが、ハード面でそれが可能な学校は全国でも極めて限られており、教育での格差も問題となりつつある。OECDの調査によると、日本は教室でのデジタル機器の使用について、調査対象の31カ国ですべて最下位となっている。

 墨田区立桜堤中学校でもデジタル授業の準備が進められていたが、対応する教師はてんやわんやになっていた。オンライン授業のモデル校であった桜堤中学校は他よりは環境は整っていたはずなのだが、それでもまだ不十分な点が多々あるのだという。

 

アメリカでのオンライン授業と日本の大学は・・・

 アメリカのニューヨークでは対面型のオンライン授業が実施されている。アメリカでは授業で写真や映像を著作権に関係なく利用できるようになっているのだという。そもそも無料の教育コンテンツが実に豊富なのだとか。このようなオンライン授業の体制は10年前のオバマ政権の時に教育の格差をなくすことを目的として整えられたのだという(日本では逆に安倍は格差拡大のために貧乏人から教育機会を奪おうと必死だった)。

  また公立学校は休校中だが、給食は無料で配られており、必要な人は持って行けるようになっているという。給食に頼っている人も少なくないので、これは非常に重要であるという。

 日本で奮闘しているのは義務教育だけではない。国立和歌山大学では休講中でキャンパスは閑散としている。ここでオンライン授業を実行しようとしていた先生がいるのだが、生で配信するとサーバが負荷に耐えられずにダウンするために、結局は録画したものを配信することになったとか。実は和歌山大学に限らずどこでも同じ状況とのこと。つくづく我が国のIT基盤の貧弱なこと・・・。

 

イギリスや中国での状況

 イギリスでは医者や看護師、スーパーで働く「キーワーカー」と言われる人たちの子供達、さらに支援が必要な子供達のために学校が開かれているという。校内では距離を保った上で授業が行われている。「コロナが広がる前はみんな学校に行きたくないと言っていたのに、今じゃ学校が恋しい、学校に戻りたいと言ってるんだから不思議だよ」とインタビューに答えていた少年が妙にしっかりしている。

 中国ではすべての学校でオンライン授業が行われた。オンライン授業のためのプログラムを手がけるベンチャー企業などもあり、そこでは古い端末でもアクセスできるかといったテストまで行われている。教育の格差をなるべくなくす取り組みが行われているのである。

 日本では警戒宣言解除に伴って学校を再開する地域も出てきたが、授業の再開はかなり慎重に行われているようである。で、桜堤中学校でもオンライン授業を発信、反響は上々だがまだまだ検討の余地はあるようである。

 

 教育の現場のてんやわんやであるが、日本の教育面での状況が先進国とは到底言えないほどにお粗末だというのが露呈した次第。特に近年の日本では教育関係は明らかに力を抜きまくっていたので、そのツケが一気に来たようだ。そもそも安倍政権は教育格差を減らすどころか、社会階級を固定化する(食うに困る貧乏人を増やして、自分達の利益のために都合良く使い捨てにできる兵隊を作りたいと考えている)ためにむしろ教育格差を拡大させようとしているだけに話にならない。

 

忙しい方のための今回の要点

・コロナによる休校の長期化で、オンライン授業が検討されるものの、日本ではそれに対応できる学校は極めて限られている。
・アメリカでは対面式のオンライン授業などが行われており、これらの設備は10年前にオバマ政権の「教育の格差をなくす」という政策で整えられた。
・イギリスにおいては医療関係者やスーパー店員などのキーワーカーの子供や、支援の必要な子供ために学校が開かれており、距離を保った上での授業が行われている。
・中国では教育ソフトを使用したオンライン授業が全国でなされており、教育の格差をなくすために古い端末への対応なども配慮されている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・残念ながら、オンライン授業への対応一つとっても日本はおよそ先進国とは言い難い状況のようです。明らかにここまで水を開けられては悲しいやら情けないやら。

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