教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/9 テレ東系 ガイアの夜明け「全ての人に自分らしい最期を」

自分らしい最期を迎えるための在宅医療

 近年は病院で人生の最後を終える人が増えてきたが、やはり最期は自分の住み慣れた家で迎えたいという人も少なくない。そんな人を支える在宅医療について紹介。

 小川節男氏、68才。末期の胃がんで余命1年の宣告を受けたが、人生の最後を自宅で迎えたいと考えている。彼はこの道50年のカメラマンであり、最後の瞬間までカメラマンとして人生を終えたいと考えているのだという。家庭を持たずに一人暮らしを続けていた小川氏は、友人を迎えて楽しい時を過ごしている。そんな小川氏を支えるのが在宅医療を手がけるやまと診療所。院長の安井佑氏は定期的に小川氏を診療、患者が最期の時間を自分らしく過ごせるようにして看取る役割がある。写真集を作るということを目標に戸外で撮影に臨んだ小川氏は念願の写真集の発行にこぎ着けた。

 やまと診療所は在宅での看取りを専門とする診療所である。医師が30人、スタッフが約100人で約900人の患者を担当している。この診療所には35名の医師免許を持っていない在宅医療スタッフがおり、彼らが患者が自分らしい人生を送れるように奔走している。番組では在宅医療アシスタントの佐伯貴宣氏に密着している。

 

医師とアシスタントでチームを組んで患者をサポート

 やまとでは医師1人とアシスタント2人でチームを組むことになっている。今回佐伯氏が出向いたのは一人暮らしの武田榮氏(78才)の元。彼は末期の前立腺ガンを患っている。彼は病院の生活に馴染めずに住み慣れた自宅での生活を望んでいた。佐伯氏は患者の状態をチェックすると医師に診療してもらう。患者との会話はすべて記録を残すという。佐伯氏が彼を担当するようになって半年だが、彼は佐伯氏と話をするのを楽しみにしているという。一人暮らしの武田氏にとっては会話をする機会が少ないのだという。診察は基本的に月2回だが、状態が悪くなると都度対応。費用は一般的な在宅医療と変わらないという。

 12月24日、武田氏の年内最後の診察。ここで佐伯氏はクリスマスのサプライズパーティーを用意する。ケーキを一口食べてうれしそうな武田氏。その時、彼が永らく会えなくなったままになっている息子達が気になっていることをこぼす。そこで佐伯氏は武田氏の息子に連絡して欲しいというメッセージを送ることにする。そして年明け、武田氏の元を訪ねた佐伯氏は武田氏の息子達が訪ねてきたということを聞く。久しぶりの息子との再会にうれしそうな武田氏。最後の気がかりが晴れたのか、武田氏はこの二週間後、穏やかに旅立ったという。やまと診療所では年間300人を看取っているという。

 

患者の家族のサポートも重要な仕事

 やまと診療所のスタッフにとっては患者だけでなく、その家族を支えることも重要である。黒崎ひろ子氏(68才)、末期の膵臓ガンだが、自分の家で暮らすことを選んで退院した。迎えに来たのは一人娘のかな子氏(38才)。20年前に離婚した黒崎氏はずっと娘と2人で過ごしてきたのだという。かな子氏も飲食店の仕事を休んで母を引き取ることにしたが、自分1人で大丈夫だろうかという不安を持っている。そのような不安に答えるのもスタッフの仕事。黒崎氏の娘と買い物に行きたいという要望を聞いた佐伯氏は早速医師と相談する。その結果は「大分状態が悪くなってきているから、むしろ体力のある早い内の方が良いだろう」との判断。佐伯氏は介護タクシーの手配などを行い、黒崎氏は娘と近くのショッピングセンターで久しぶりに楽しい時を過ごす。しかしその後の黒崎氏は意識が朦朧とした状態が続くことになる。どう対処するべきかをかな子氏は佐伯氏に相談。意識が朦朧としていても聴覚は最後まで残ると言われているから、普通に話しかけるようにとのアドバイスを得る。そして黒崎氏の69才のバースディーパーティー。彼女の友人達が大勢集まってくれた。そしてその賑やかな中で彼女は静かに息を引き取った。最後はみんなで明るくというのは彼女の以前からの希望だったという。それを叶えることが出来たのだ。

 なお、現在やまと診療所ではコロナの影響による患者の激増でてんやわんやしているという。病院ではコロナ患者は家族と会えないまま息を引き取ることになるので、それなら在宅医療でと言う希望者が急増しているのだとか。

 

 うーん・・・自分の人生の最後の迎え方か・・・正直なところ見ていて涙が出てきましたね。私もかつての若かった頃は自分の最期なんて考えたこともなかったですが、年を取って体力も衰えてきて、さらには持病も抱えてとなったところで、自分の最期というのがかなりリアルに感じられてきているのが今日この頃です。特に私の場合は看取ってくれる妻子がいないのでかなり寂しい最期になる可能性が高いです。最初の小川氏も妻子はいなかったですが、彼はその代わりに友人がいましたし、また生涯をかけている仕事もありました。考えてみると私はそのどちらもない。何か、どうやって最期を迎えるかと言うよりも、これからの人生をどう生きるかという話になりそう。

 人生を失敗してしまったジジイから、まだ人生が長いはずの若者に説教くさいことを言うとすれば、若さというのは最大の才能であるから、それが枯渇しないうちに挑戦したいことに挑戦しておきなさいと言うこと。若い時の挑戦はたとえ結果として失敗しても、間違いなく人生の肥やしになります。結局は何だかんだで挑戦できないまま無為に年を食ってしまうと、後で死ぬほど後悔しますので。年をとってから「あの時、ああしていたら」と後悔を重ねる人生ほど空しいものはありません。

 

忙しい方のための今回の要点

・末期ガン患者などで自宅で最期を迎えたいという人の看取りを行っているのがやまと診療所。
・やまと診療所ではアシスタント2人と医師1人がチームを組んで患者のところを回っている。スタッフは患者が自分らしく人生を送れるようにするだけでなく、家族に対してのサポートも心がけている。
・そのような中で毎年300人ぐらいの患者を看取っているとのこと。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・自分らしく人生を終えたいというのは誰でも考えるところでしょう。私にしても病院でたくさんのチューブにつながれた状態で人生を終えたいなんて考えませんね。自分らしい最期・・・キーボードを抱えたまま人生を終えるか? うーん、それも嫌だ。

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