教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/14 TBS系 世界遺産「地殻変動2000万年!驚異の大山脈」

氷河が生んだ絶景

 ニュージーランドのサザンアルプス山脈は3000メートル級の山々が連なる。この山脈は2000万年前からの地殻変動で隆起し、それを氷河が削った。原住民はこの風景をテ・ワヒポウナム(宝石のあるところという意味)と呼ぶ。

 かつてはサザンアルプス山脈はすべて氷河に覆われていたという。今でも急斜面を氷河が覆っており、これらの氷河は1日に2メートルも動くという。1万5千年前は全体を氷河が覆っていたが、やがて海側の氷河が崩壊し、その時に14のフィヨルドが生成した。

 氷河の浸食が起伏に富んだ地形を産み出し、岩山の上には氷河にえぐられた部分に水が溜まって湖が出来ている。この水は崖を豪快に流れ落ちる。そのような滝の1つであるサザーランド滝は落差580メートルもある。

 

山脈を隆起させたプレートの衝突

 この山脈を生んだ地殻変動はプレートの運動によるものである。ちょうど南島の中央でオーストラリアプレートと太平洋プレートが衝突しており、それによってサザンアルプス山脈が隆起したという。そのプレートの衝突の様子を見られる地層がこの地に存在する。このプレートの衝突は今でも山脈を毎年1センチずつ隆起させている

 フィヨルドの海は海中も切り立った崖になっており、その深さは2000メートルもあるという。水深10メートルで海が薄暗くなり、通常は50メートル以下ぐらいの水深に棲息するクロサンゴが存在している。海が薄暗いわけは森から流れ出した水がシルトと呼ばれる小さな岩の粒子を運び、大量の水が海水の上に淡水の層を成す。そこにシルトが溶け出すことで太陽の光を遮るのだという。

 この地には絶滅危惧種であるフィヨルドランドペンギンが棲息している。生息数3000羽というこのペンギンは、海岸から崖を登って森の中で子育てをする。彼らが森で暮らすのは南半球の冬である8~11月で、子育てが終われば海に帰っていくという。

 

忙しい方のための今回の要点

・ニュージーランドのサザンアルプス山脈は3000メートル級の山々が連なる。これらの山は氷河の浸食によって起伏に富んだ地形となっている。
・かつて全体が氷河に覆われていたが、海側の氷河は崩壊し、その時に14ものフィヨルドを産み出した。
・この山脈の下ではオーストラリアプレートと太平洋プレートが衝突しており、そのエネルギーが山脈を隆起させており、今でも毎年1センチ隆起を続けている。
・フィヨルドの海にはシルトと呼ばれる岩の粒子を含んだ淡水が大量に注ぎ込まれるために薄暗く、深海に棲息するクロサンゴなどを浅い水深で見ることが出来る。
・この地には絶滅危惧種のフィヨルドランドペンギンが棲息している。彼らは南半球の冬を森で暮らし、子育てを行ってから海に帰っていく。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・まあとんでもない風景ですね。正直なところ、残念ながらテレビの画面からだけではなかなかそのスケールを把握しにくいです。私は以前に富山の称名滝を見た時にそのスケールに圧倒されたことがありますが、称名滝で落差350メートルとのことですから、サザーランド滝の580メートルはそれよりも遥かに高いんですよね。ちょっとイメージできません。
・ニュージーランドは緯度などから環境的には日本に近いところがあるのですが、日本はリアス式海岸はありますが、フィヨルドはないですね。フォッサマグナの位置が比較的低緯度のため、氷河に覆われることがなかったというのが原因でしょうね。日本がもう少し高緯度側にあれば、日本にもフィヨルドが出来たかもしれない(ニュージーランド南島の緯度は北海道ぐらい)。

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