知事選挙絡みや補償をしたくないやらの政治的思惑で、コロナに対する行動制限解除ということになっているが、実際には特に東京なんかではコロナはまだまだ蔓延しているのが現実。では、どうやったら感染を防げるのかということを「みなさまのNHK」としては啓蒙しておく必要があるということだろう。ガッテンの代わりの特番であるが、小野アナが説明のせいで番組の作りがどこかガッテン的。そもそも小野アナがあの調子で説明なので、とにかく緊迫感のない番組でもある。
接触感染を防ぐためのポイント
まず一番問題になるのが接触感染。例えばオフィス内で無症状の感染者が出た場合に感染がどういう風に広がるかということを蛍光塗料を使った実験を行っている。その結果、回りの人は直接会話をしていなかったにもかかわらず、蛍光塗料が体に付着している。さらには塗料が顔に付着している人も。こういうのは例えば渡した資料とか、冷蔵庫の扉とかコピー機などのハイタッチサーフェイスを介して付着したという(他にもドアノブや電気のスイッチなどもある)。そして顔に塗料がついたのは無意識に顔を触っているから。これが目をこすったり口を触ったりなどで粘膜に触れるとそこから感染するという。
では対策はどうするかであるが、次亜塩素酸水を噴霧器に入れて空間除菌・・・なんてアホなことは当然のようにしない(これは有害無益なので絶対にしないでください)。引き出しの回りなど手が触れる場所をアルコールを含んだタオルなどで除菌するのだとか。1日3回で効果はあるとのこと。自分が感染しているかもと考えて対策するのが重要とのこと。また消毒液を小さなボトルに入れて持ち歩くなども有効という・・・のだが、私はアルコールが苦手なので、最近はオフィスのあちこちでアルコールのニオイがプンプンしているせいで頭痛が起こるんですよね。私自身がアルコールに触れると肌が真っ赤になる体質だし。まあこういう場合は手については水で丹念に洗うでも良いそうですが。
トイレに特に要注意
それでさらに要注意ポイントはトイレ。ウイルスが粘膜で検出されないのに便に検出されるという例が多いらしい。手についたウイルスが便座のフタやドアノブに付着して感染するという可能性があるという。手を洗うことが重要だが、蛇口が落とし穴になるので、ペーパータオルなどで蛇口を閉めるという手があるという。さらに禁物はトイレ内でのスマホの操作だという。と言うわけで仕事途中にトイレに立っては株取引をしているトイレーダーの方は一番危険(笑)。またボトル型の消毒液で手を消毒する時は、十分な量を出して(ノズルを一番下までしっかりプッシュするとのこと)、その液で両手全体を丹念に消毒するのが大事。この時の消毒の仕方は良くいわれている手の洗い方と一緒。指の爪の間とか指の又とかが要注意。手に注意すれば感染リスクはかなり下げられるという。
感染を防ぐための効果的な換気法
気になるのは飲食店。中国では換気の悪いレストランで感染クラスターになったという例があるという。接触感染はなかったと考えられるので、ウイルスを含んだ飛沫(特に中国人は大声で喋るから)が密閉した室内で循環してしまったのだろうとのこと。つまりは鍵となるのは換気。
では有効な換気法だが、部屋の場合は対角線に2カ所のドアを開けることだという。これに対して1カ所だと空気がなかなか入れ替わらない。2カ所だと7分で入れ替わった室内の空気が、1カ所だと45分もかかったという。と言ってもドアが1カ所だけの部屋もある。そういう部屋の場合には壁をぶち抜いて・・・というわけにもいかないので、ここで紹介するのは扇風機を使う方法。出口の手前の室内で扇風機を回すことで内部の空気を吸い出すことになるので換気が進むというわけで、今度は21分で空気が入れ替わった・・・けどまだまだじゃん。と言うわけでさらなる秘密兵器がサーキュレーター。これを先ほどの扇風機と組み合わせる。サーキュレーターの方は扇風機の横でこちらは室内に空気を吹き込む形で設置するのだという。これで出る空気と入る空気が入れ替わるので12分で換気完了。なおこの時に大きなポイントは扇風機とサーキュレーターの高さが違うということ。これが双方同じ高さにあると空気がぶつかってしまうので効果が減退する(というか、出た空気がそのまま中に循環してしまいそう)。
なおエアコン使用時も30分に1回以上数分間窓を全開・・・といっているんだが、これって非常に効率が悪い。だからエアコンは付けっぱなしで窓やドアを2カ所、5~10センチ開けっ放しにするという方法を勧めている。確かに窓をこのぐらいの幅開けるというのは、実は一番気流が強くなって換気効率が上がるというのは以前から言われていること。ただ何にせよ、外と空気が入れ替わるということはどうやったって空調効率が落ちるのは確実。コロナ対策はエコとは両立しないということである(そもそもアルコールであちこち除菌しまくるのも本来はエコに反しているし、さらにあらぬ雑菌を繁殖させてしまう危険もある)。
マスクの効果と使い方
また野外でマスクを使用する場合などにこれからのシーズンに問題になるのはマスクによる熱中症。だから人がいない時にはマスクをはずすなどの判断も必要。そして人と会話する時などには絶対にマスクをするというのが重要。またマスクから鼻を出す(別名麻生マスク)のはマスクの効果がないので無意味。
なおマスクの効果については不織布マスクでも布マスクでも飛沫を防ぐという効果はあるとのこと・・・なんだが、実験しているとやっぱり布マスクは漏れがある。しかしアベノマスクの件がある手前、安倍様のNHKとしてはこれはスルー。まあ付けないよりはマシだが。ちなみに不衛生なアベノマスクは着用によって別の病気に感染する危険がある。一般の布マスクなどでも清潔を保つことは重要。さらにマスク着用時に顔との隙間を作らないことが重要。隙間無しに装着すると今の高性能な不織布マスクは9割ぐらい飛沫を防げるそうだ。
市中感染を防ぐための対応
最後は感染拡大を防ぐにはどうすれば良いかということを人工知能を使ったシミュレーションで検討している。コンピュータ上に仮想の町を作り、親二人子二人の核家族と高齢者二人の世帯(共に現在の日本での典型的な世帯)を配置して、学校、商業施設、勤務先などを配して、最終的に重症者がどれだけ出るかのシミュレーションである。この重症者が大量に出れば医療崩壊した状態になる。
まずは住民が普通の生活をした場合には1人の感染者から感染が広がって、1日の重症者は最大130人になったという。そして8割は重症化しやすい高齢者だった。会社に出勤する人は半分にして残りは在宅にした場合、学校を休校にした場合であるが、軽症者を減らすことは出来たが、重症化して入院する高齢者はあまり減らなかったという。結局は鍵になるのはあらゆる年齢の人が集まる商業施設だという。商業施設の混雑を半分にしたら、高齢の重症者が7割減少し、入院患者が半分になったという。・・・って、このシミュレーションでは重症化しやすい高齢者が出かけるのは商業施設だけなので、そこで感染するのはわざわざシミュレーションするまでもない当たり前の結果のような気がするのだが。
まあとにかく商業施設の感染を減らすということがポイントで、目標は混雑を半分にする。となった時にどうすれば良いかを量子コンピューターで計算したとのこと。その結果、「滞在時間をいつもの半分にする」ということをすれば、混雑のピークをなくせることが判明した・・・と言ってるんだが、これもわざわざ量子コンピューターまで持ち出して計算するまでもなく当たり前のことでは?
なんか「科学の目で云々」なんてご大層なことを言っていたが、最初の接触感染に関する内容は今更言うまでもなく常識レベルだし、最後のシミュレーションに至っては「そんなものわざわざ計算しないでも分かりきっている」という内容と結果ばかりでかなりおマヌケだった。実際に科学的で役に立ちそうな内容は、中盤の換気に関する話ぐらい。どことなく番組の作り方としておマヌケだなという印象を否定できなかった。まあ「最新の量子コンピューターでシミュレーションした結果」と言っておけば、科学に疎い連中を煙に巻いて信憑性を高めるのには効果はあるのかもしれないが(私のようなひねくれ者は、そう言われると逆に眉に唾付けてしまうので逆効果ですが)。まあ別に間違った結論に持って行っているわけではないので、内容を殊更に咎め立てる気は毛頭ないですが。
なお換気に使用するサーキュレーターですが、室内の空気を循環させることで空調効率を上げるのにも有効です。と言うわけで私は以下のサーキュレーターを実際に2台使ってます。CPが良いのが一番のポイント。はい、ちょっとしたCMでした(笑)。
忙しい方のための今回の要点
・コロナの感染で気をつけるべきは接触感染。引き出しや電気のスイッチなどの良く触る場所を重点的にアルコール消毒することで感染を防止できる。
・さらに便にウイルスが検出されることが分かっているのでトイレに注意。手は良く洗う、蛇口はペーパータオルなどで閉めるが有効。トイレでのスマホ操作は厳禁。
・マスクは飛沫の飛散を防ぐが夏は熱中症に注意。人がいないところでははずすことも。
・市中感染はあらゆる年齢層が集まる商業施設などが危険。滞在時間を半分にするようにすれば混雑のピークをなくせて感染防止が出来る。
忙しくない方のためのどうでも良い点
・それにしてもメインが小野アナなだけで番組に緊迫感が皆無になりますね(笑)。まあそれが彼女の持ち味と言えばそうなんですが。まあこの手の内容を緊迫感ありありの重たい番組にしたら視聴者の方がついていかない気もするが。