教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/23 テレ東系 ガイアの夜明け「コロナ禍で定点観測 飲食店を救う"ドクター"に密着!」

飲食店の救済事業に乗り出した厨房機器販売店

 コロナの影響による営業自粛に客の減少に耐えかねて、閉店する飲食店が相次いでいる。そんな状況を身近に見続けていたのが厨房機器などを扱うテンポスバスターズ。中古の厨房機器なども取り扱うこの会社には、厨房機器の買取や査定の相談が殺到しているという。

 この非常事態を受けて社長の森下篤史氏が立ち上がった。「窮鼠猫を噛むとか背水の陣とか言うけども、本土の善良な店主は窮鼠猫に噛まれて死ぬだ」と現状を深く憂いる彼は「我々は緊急医療をやっている医療従事者だ」と顧客を救うために一大決心をして、儲け度外視で苦境に立つ飲食店の相談に乗るサービスを開始した。

 社長肝いりのプロジェクトは「ドクターテンポス」と名付けられた。中古品売り場の一角に設けられた相談室に次から次へと人が押しかけてくる。いずれも苦しんでいる飲食店の店主である。今まで多くの飲食店の開店・閉店に立ち会った経験を活かして無料で相談を受けている。ホームページの作成などまで引き受けるという。社長の狙いはこれをきっかけに今までのただの中古屋から、飲食店とさらに深い関わり合いを持ちたいのだという。

 

歌舞伎町の三密カラオケスナックを救えるか

 プロジェクトリーダーの鬼頭一将氏のところに相談に来た店主は非常に難しい事例である。相談に来た立花たくや氏の店は歌舞伎町の雑居ビルの5階にある収容人数10人の小さなカラオケスナック「スタジオ向日葵」。最近何かと敵視された叩かれている歌舞伎町の、しかももろに三密の店である。営業時間は夜8時から朝までということでもろに深夜営業。まさに三重苦である。チャージ料3000円で歌い放題。今までは常連客がカラオケで盛り上がって楽しんでいた。しかし今はずっと営業自粛中で収入が全くなくなってしまった。

 若い頃にはバンドを組んでメジャーデビューを目指していた高橋氏は、夢破れて40になってから開いたこの店を生きがいにしていた。文化人や芸能人にもこの店を贔屓にしている客はいるという。しかし収入の全く途絶えた中で、カラオケのリース料の支払いさえ滞る状態に。鬼頭氏のアドバイスに従って家賃の減額交渉を行ってみたものの、色よい返事はもらえず、このままでは自分が壊れてしまうのではと心配している状況。給付金を申請しても対応が遅くてそれも高橋氏にとっては強烈なストレス。

 店を訪れた鬼頭氏に、高橋氏はとりあえずこの店がどんな店であるのかを知ってもらうことにする。この店は実は客のカラオケに合わせて高橋氏が生伴奏をするのだという。これは絶対に盛り上がるはずと鬼頭氏は確信、絶対に何とかすると決心する。

 

危機に瀕した居酒屋を救うためのアイディア

 スタッフの一人、品川絵美氏も瀕死の飲食店と格闘中だった。彼女が担当したのは三軒茶屋のビルの2階にある創作料理が売りの居酒屋「ジョーズマン2号」。店主の高崎丈氏によると、売り上げが前年比で3~4割に減少しており、今は新たに始めた弁当の売り上げのみだという。

 品川氏はテンポスの商品から高崎氏の店で使えそうなものを探す。目をつけたのは料亭から買い取ったという重箱。これに複数の小鉢を入れて会席料理風の弁当を出来るのではと考えたのだという。さらに近所で日本料理店を営む田島善文氏、フレンチレストランを経営する亀谷剛氏にも声をかけた。これらのメンバーで特性会席弁当を作ろうとの考えだった。しかしこの案には重箱だけで器はいらないとの声が出る。割れてしまうし、重くなるし、器を全て埋めるのは大変でお金がかかる(フレンチの亀谷氏の発言。確かに和食とは立場が違う。)ということである。これで会席弁当の案は却下となるが、次に品川氏が用意していたアイディアはスタンプカードなどを使うというもの。ここからアイディアが膨らんで、プレミアム弁当プロジェクトが持ち上がる。会員は月550円を払うと、それぞれの店で特製の弁当を購入できるのだという。客はお重を持って店を次々と回ることが出来、将来的にはさらに加盟店を増やしていくことも視野に入れている。各店で顧客をシェアしようという考えでもある。

 高崎氏は2009年に福島・双葉町でジョーズマンを開店したが、2011年に原発事故で閉店、2014年に再起をかけて今の2号店を開店したのだという。満を持して今回は特製カツサンド弁当で挑む。この弁当は撮影して品川氏がHPでPRする。さらには下北沢の小田急が管理する広場で出店でアピールすることになった。ここで田島氏の店の常連が弁当を購入。その重箱をぶら下げて高崎氏の店に訪れ、予約を入れてくれた。顧客のシェアが回り始めた。

 

カラオケスナック生き残りのための苦闘が続く

 一方、高橋氏のカラオケスナックは生き残りの模索中だった。鬼頭氏はHPでのアピールを始める。そして高橋氏は一つの仕掛けをする。ボーカルを呼んでのネット配信。視聴者から1500円の視聴料をもらおうという考え。手弁当で駆けつけてくれたのは原田千栄氏、アニメ好きにはちょっと知られた存在・・・とのことですが、すみません、私は全く存じ上げておりません。ちなみに番組中で歌っていたのは「スペースコブラ」のテーマでしたが・・・。この日はアニソン祭とのことで、視聴者7人で久々の収入1万500円を獲得した。この店にはアニメファンやプロレスファンなどの客も集まっており、鬼頭氏はそこに活路を見出していたという。

 高橋氏は店の再開を決意。カラオケはまだ出来ないが高橋氏らの生演奏を楽しんでもらおうという試みだという。今後、オラオケ教室やら街コンやらいろいろな手を仕掛けるつもりでいるという。

 

 以上、コロナの苦境とそれに輪をかけての政府の無策のせいで苦境に立つ飲食店の現状。実際にあちこちで持ちこたえられなくなった飲食店が次々と閉店しており、これがさらなる失業の増加や貧困層の増加に結びつくのでは懸念されているところでありますが、安倍は自分のお友達だけ優遇されていたら問題ないとして、一般国民の生活は見事なまでに見殺し(むしろ、増税でより破綻が早まるようにさえしている)にしている。仕方ないから庶民の方で自衛に走った一環が今回の試みでもあるのだが、「ドクターテンポス」にしたところで、経営のアドバイスは出来るが経済支援を出来るわけではないので、資金繰りが切迫してしまったところはどうしようもなかろう。

 さらに懸念されるのが、補償が嫌なせいと都知事選までに格好を付けたいという思惑で無理矢理に自粛解除に持ち込んだものの、再び感染爆発の傾向が見られてきたこと。ここで感染爆発で開いた店が再度自粛となれば、もうこれで持ちこたえられるところはごく一部だろう。かといって、経済優先でたがを緩めたら感染がとんでもないことになる可能性が大。これだけは一人の経営者がどうこうできる次元ではない。

 高崎氏の居酒屋は弁当プロジェクトでどうにかなるかもしれないが、難しいだろうと思われるのが高橋氏のカラオケスナック。当分はカラオケは敵視される状態が続くだろうし、どうしたところで彼の店が三密になるのは避けるのが困難。来る客のソーシャルディスタンスを保っていたら、客はせいぜいが3人が限界だろう。かといって詰め込んでもしクラスターでも発生しようものなら終わり。それでなくても昼カラオケでのクラスターが問題になっている状態を考えると、先行きは暗いようにしか思えない。高橋氏の生演奏がネット配信で客から金を取れるレベルなら良いが、どうもそれも難しそうだし。鬼頭氏がこれからどういう仕掛けをするつもりか分からないが、私の目には八方塞がりに見えてしまうのがツラいところ。

 

忙しい方のための今回の要点

・厨房機器を扱うテンポスバスターズには閉店に伴って中古厨房機器の引き取りや査定の申し込みが殺到している。
・この事態を受けて社長が危機に直面した飲食店の経営をサポートする「ドクターテンポス」のプロジェクトを立ち上げることを決意した。
・プロジェクトリーダーの鬼頭氏が抱える相談客は、歌舞伎町の雑居ビルで小さなカラオケスナックを経営する店主。何かと敵視されている歌舞伎町で三密が避けられないカラオケ店と三重苦を抱える困難な案件である。
・一方、スタッフの一人の品川氏は売り上げが激減した三軒茶屋の居酒屋の相談を受ける。彼女が提案したのは近くの店と連携しての特製弁当プロジェクト。高級感のある弁当で各店の顧客をシェアしようという発想。とりあえず動き始めている。
・カラオケスナックの方は鬼頭氏がいろいろなアイディアを提案。現在生き残りのために模索中である。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・自己責任だとか何とか言って次々と国民を切り捨てた挙げ句が、現在の庶民の貧困化。これ以上貧困化が進んだら、日本経済自身が沈んで安倍のお友達とて安閑としていられなくなる(その事態になっても竹中平蔵とかは税金の中抜きで潤うつもりだろうけど)のだが、無能な安倍にはそんなところまで気が回らないようだ。しかし税金を納めてくれる労働者がいなくなったら、さすがの安倍も餓死するしかないのである。

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