教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

"Withコロナ時代の新ビジネス 人間洗浄機とは" (7/7 テレ東系 ガイアの夜明け「Withコロナで活躍!「人間洗浄機」「どこでも手洗い機」」から)

 withコロナなどというわけの分からない号令と共に新生活を強制されつつある今日だが、こういう時代に合わせての新ビジネスも当然のように登場している。

 

循環型シャワーのWOTAが循環型手洗い機を開発

 まず最初に登場するのは「どこでも手洗い機」。ウイルスを洗い流すために手を洗いたいと思っても、手洗いというのはどこでもあるものでもないし、また水道管を引く必要があるのでそこここに設置できるものではない。さらには下手な手洗い機だったら、蛇口を通して感染なんてことも起こりかねない。というわけで水を循環利用してコンセントさえあればどこでも設置可能な手洗い機を開発したメーカーがある。

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どこでも手洗い機(出典:WOTAのHP https://wota.co.jp/)

 それは台風19号の被害の際にも登場した循環型シャワーを開発したベンチャー企業WOTA。循環型シャワーの技術をそのまま応用しており、AIが汚れを判別して濾過などその汚れに最適な処理をすることで水を再利用するタイプの手洗い機である。20リットルの水で500回の手洗いできるとのこと。日南に協力してもらって開発されたその機械は、ドラム缶の上に手洗い場がついている結構インパクトのあるデザイン。実際に繰り返し手洗いの実験を行って、手洗い後には菌が残っていないことを確認している(菌とウイルスは微妙に違うような気もするが、菌が繁殖していないのならウイルスもまず大丈夫だろう)。

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 WOTAでは試作品を早速テストしてもらうことにした。観光客の多い鎌倉で協力してもらって実際に商店街に設置してテストを実施したところ、観光客は興味津々。やはり手洗いが気になるという人は多いようだ。また観光客の「食事の前に手を洗いたい」という声を受けて、食べ物屋の入口に設置してみたところ好評。入店前に手を洗えるというのは非常に良いと店のオーナーも感心。以前に循環型シャワーも導入している鎌倉市では、本格導入も検討という前向きの姿勢を示している。

 さらにこれに目をつけたのが商業施設のルミネ。森本社長自らWOTAに出向いて試作機を体験した。やはりコロナ対策での手洗いが気になっていたという。ただ気にしていたのは特に女性などが「再利用水で手を洗う」ということに心理的抵抗を示さないかということ。そこでNEWoMan新宿店に設置してのテストが行われた。特に抵抗を示す人もおらず、上々の反応に手応えを感じる。中には「化学物質過敏症でアルコール消毒液は使えないので助かる」という声も。この結果にルミネの森本社長は導入を決断、WOTAからはスマホを紫外線で殺菌する機能を加えた機種が納入されることとなった。

 

各社のコロナ対応製品の数々

 コロナに対応した商品は他にもいろいろ出ている。シャチハタが開発したのは「おててポン」。手にスタンプを押し、これが消えるように手を洗えば綺麗に手が洗えているという商品である。元々は子供がキチンと手を洗えるようにと開発したものらしいが、今回のコロナ騒動で売り上げが急増、今年に入っての半年で去年1年間の20倍の売り上げになっているとか。

     

 さらにはつまようじを製造していた菊水産業が発売した「非接触棒」。先の尖っていないつまようじであり、これでエレベーターのボタンなど多くの人が触る場所を触るというもの。

     

 また亀山市の町工場ギルドデザインでは殺菌性のある純銅を用いた「アシストフック」を製造している。これは電車のつり革などを持つのが怖いという人のために、手すりなどにひっかけて使うフック。さらにはバー型のドアノブを回したりにも使えるし、導電性があるのでスマホなどのタッチパネルにも使用できる。元々バイクなどのアルミ部品を作っていた同社の起死回生の製品で、発売してから3万個(年間目標1万個)も売れた大ヒット商品となって同社の製造ラインも活気を取り戻した。さらには次なる新製品として薄い銅と真鍮のシートを重ねあせた柔軟性のある金属シートも製造している。殺菌力のあるハンカチのようなもので、これでドアノブなども包んで握れるという。

    

 

人間洗浄機も登場

 一方、バスやトラックなどの車両洗浄機を製造している日本車輌洗滌機株式会社では、「人間洗浄機」の開発を進めていた。鉄道用洗車機でシェア7割を誇る同社ではその技術を応用して、社長の増田尚弘氏自らが主導して開発したのだという。ポイントは消毒液を全身にくまなくかけられる上で、身体がベタベタしないようにするにはどうしたら良いか。そのために同社が所有する様々なノズルを使ってテストを重ね、ようやく開発にこぎ着けた。同社の製品の噂を聞いた企業などからも100社以上の問い合わせもあったという。

 しかしその矢先に思わぬ問題が発生する。この装置で使用する消毒液である。当初は次亜塩素酸水を使用することを想定していたのだが、最近になって厚労省から次亜塩素酸水の有効性についての警告が発表されたのである。殺菌には大量に使用する必要があるとのことで、ミストにしてしまった場合の有効性が不明。この事態を受けて企業への納入予定もストップ、同社では早急に次亜塩素酸水に代わる消毒液を探す必要に迫られた。

 増田氏が目をつけたのはグレープフルーツの種に含まれる成分を使った除菌液を製造しているウォーターズ。この除菌液は人体に無害な上(なめても大丈夫)、ノロウイルスに対する効果などは検査で証明されている(コロナについてはまだ検証中)。増田氏は早速この消毒液を用いて人間洗浄機を稼働することに。同社の人間洗浄機は屋内型遊園地の東京ジョイポリスやパチンコ店アミューズなどで引き合いがあり、入口に設置して入場前に客の消毒を行うようになっている。反応は上々のようで増田氏もホッとしている。

 ちなみにこの除菌液ってこれのようです。

     

 

 以上、コロナで壊滅的被害を受ける企業もあれば、コロナを商機に結びつける企業もあるという話。当然ながらそういう企業も出てくるでしょう。コロナを食い物にするような企業は問題外ですが、コロナから防衛するための方法を提案しながら企業も儲かるならウィンウィンの関係というものです。

 それにしてもコロナへの対応について、民間からはこのように様々なアイディアが出てくるというのに、政府の対応はといえば「GoToトラベルwithコロナ」。全くこの国はどうなってるんだと思いますね。政治家に人材がいないの2世のバカボン議員ばかりが増えた時点で当然ですが、最近は大企業のトップにもろくな人材がおらず、経団連なんかが単なる守銭奴の寄り合いになっていて見苦しいことこの上ない。やはり政官財すべて世界でそろそろガラガラポンが必要な時代になってるのでしょうか。

 

忙しい方のための今回の要点

・コロナ時代を見すえた新ビジネスを紹介。
・循環型シャワーを開発したWOTAでは循環型手洗い機を開発。テスト結果も上々だったことから、ルミネなどに設置することが決まった。
・また金属フック、非接触棒など各社から様々なアイディア商品が登場している。
・車輌洗滌機を開発している日本車輌洗滌機株式会社では、その技術を活かして人間洗浄機を開発。屋内型遊園地やパチンコ店などへの設置が進められている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・ベンチャーや町工場なんかはアイディア勝負ですから、規模に胡座をかいて下請けにツケを回して暴利を貪っている大手メーカーなんかと違って、常に斬新な考えで勝負してますね。やはり環境の違いが人材の違いをも産み出すか。政府に癒着して中抜きだけで儲けているような会社の連中なんて、人材としてはすぐに使い物にはならなくなるだろうからな。

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