これで悩んでいるという人も多い夜間頻尿。それの原因は第二の膀胱にあったという内容。
一日の摂取水分量と尿の量をチェック
まずは番組の寺北ディレクターが高齢者の林さんの家庭を訪問するところから始まる。二人は1日全く同じものを食べ、摂取する水分の量を揃えて生活する。すると若い寺北ディレクターの方は食事後に何度もトイレに行くのに対し、林さんの方はなかなかトイレに行かない。そしてたまにトイレに行っても尿の量が圧倒的に少ない。結局1日が終わったところで、二人の水分摂取量は2730ミリリットルに対し、寺北ディレクターの方はその日に取った水分をほとんど尿に出しているのに対し、林さんの方は700ミリリットル程度しか尿が出ておらず、残りは身体のどこかに溜まっているということになる。
そうして夜になるのだが、寝る前には二人とも膀胱の中は空っぽ。しかしその後、寺北ディレクターは朝までグッスリなのに対し、林さんの方は夜に3回に渡って大量の尿が出ている。実は林さんは以前から夜間頻尿に悩んでいたという話。これのおかげで睡眠不足で苦しんでいる患者はかなり多いという。
ちなみにこのデータ、ちょっとおかしいところが
ただこのデータを詳細にみると、実はこの夜間の尿の量を足しても林さんの尿量は1500ミリリットルで摂取水分の2730ミリリットルよりもかなり少ない。林さんの測り方がいい加減だったのか、発汗など尿以外で水分を排出したのかなどと思うところ。しかし実際には人間は不感蒸泄でかなりの水分を放出することを考えると、むしろ林さんの数値の方が妥当で、寺北ディレクターの尿だけで摂取水分のほとんどを出しているという方がおかしい。
というわけで実験の結果にはやや疑問があるが、今回の胆は「夜間頻尿で悩んでいる林さんは、昼間には大して尿が出ず、就寝時には膀胱がからになっているにも関わらず、就寝後に大量に尿が出る」というところにあるので、まあ目をつぶることにする。
水分を溜め込んでいた「第二の膀胱」
では林さんが摂った水分は一体どこに行っていたのかであるが、これが番組の言うところの「第二の膀胱」なのだという。
で、その第二の膀胱の正体であるが、それは足のふくらはぎ。実際に林さんに朝と夜でふくらばきの太さを調べたところ、右が2センチ、左は4センチも太くなっている。実際に身体の部位別水分量を調べると、腕や胴の水分量がほとんど変化しないのに対し、足の水分量はドンドンと増えていっている。ふくらはぎの骨と皮膚の間の間質部分に大量の水が溜まるのだという。足がむくむなどとよくいうが、このむくみこそがまさに溜まった水分である。
ふくらはぎに水分が溜まる理由だが、血液を全身に送っている心臓やふくらはぎの筋肉によるポンプ機能が、老化などによって低下するので、重力で血液が下半身に溜まり、漏れ出した水分がふくらはぎの間質に染み出して溜まることになるのだという。そして夜になって横になると、重力がかからなくなることでこの水分が血管中に出てきて、大量の尿が生成されるということなるのである。
対策は弾性ストッキングに足上げ
さて対策であるが、現在なされている対策はまず、ふくらはぎを締め付ける弾性ストッキング。これを日中にはくことで足を締め付けて足に水分が溜まるのを防ぐのである。ちなみに番組ではここで「糖尿病や心臓に持病のある方は使用できない場合があるので医師に相談」との警告が出ているが、足の水分をジャンジャンと血管中に送るのだから、心臓に負担がかかる場合があるということだろう。糖尿病の場合は元々弱っている血管に圧がかかって負担になるってことだろうか?
林さんが取ったのはもっとお手軽な方法。それは足を上げて30分横になるという方法。足の下に15センチほどの台を入れて、足を上げた状態で横になる(ここで寝てしまうと夜間に睡眠不足になる恐れがあるので寝ないようにとの丁寧なアドバイス付き)。昼から夕方までの間ぐらいにこれをすると足の水分が解消されるので、夜に尿になる水分量が減少するという仕掛けである。実際に林さんもこれで夜間のトイレの回数が減って目出度し目出度しという結果である。
なお夜間頻尿の防止のためにはもう一つ、減塩というのもポイントだという。どうしても塩分は身体に水分を持ち込んでしまうという。晩酌などをするとつまみに塩気の多いものを取ったりするので危険(その上にアルコールの利尿効果もある)。夜間頻尿が気になる方は特に夕食の塩分に気をつけるのが良いかもしれない。
以上、夜間頻尿について。高齢になってくるとやはりこれに悩まされる人が多いですが、原因は恐らく足の筋力の低下にあると思いますので、ストレッチなどによる下半身の強化なんてのも予防法になるのではと思います。なお私はまだ夜間頻尿に悩まされる状況ではありませんが、一時期体調が悪い時にはこの症状が出て「これは私もいよいよ長くないのかな?」なんて思ったことがあります(笑)。これも慢性睡眠不足の原因となるので、鬱につながったりなどかなり要注意だといいます。また夜中に高齢者がトイレに起き出して転倒なんて事故も多いとか。確かに夜中にトイレのために起き出した時って、頭がボーッとしてる場合がほとんどですから、危険です。それに部屋も暗いし。ちなみに私は転んで骨折というのはないですが、足の小指を家具にぶつけて悶絶というのはありました(笑)。
正直なところ、途中の実験には疑問がありましたが、まあ論旨はそこではないので大目に見ましょう。それにしても寺北ディレクターのトイレの頻度がやけに多すぎな気がしますが、むしろ彼の方こそ何か病気がありませんか? もし病気があったら、それが次のテーマですね。
忙しい方のための今回の要点
・夜間頻尿で困っている人は、摂取した水分の大半が昼の内に尿にならず、足のふくらはぎに溜まっているということが分かった。
・高齢化などで心臓やふくらはぎの筋肉のポンプ機能が弱ることで、血液が下半身に溜まり、それがふくらはぎの間質に染み出して蓄積する。そして夜に横になることで重力がなくなり、その水分が大量に血管に入ることで夜間に尿が大量に作られるのが夜間頻尿の原因である。
・対策としては足を締め付ける弾性ストッキングを日中に履くなどがある。また30分横になって足を15センチほど上げるということを昼から夜にかけて行うと効果がある。
・また塩分は身体に水分を取り込む原因となるので、減塩に心がけるべきである。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・私は夜間頻尿まではまだいっておりませんが、やはり年齢と共にトイレが近くはなってきました。これは膀胱の柔軟性がなくなってくることなどが原因とか。それと私の場合は高血糖もあるんだろうな・・・。年を取ってくると満身創痍で、その度にもう若くないことを痛感します。
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