教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

"氷河が作った南米の絶景" (8/9 TBS系 世界遺産「パタゴニア!氷河と湖の絶景」から)

氷河が産んだ絶景

 アルゼンチンの南、パタゴニアには氷河によって作られた絶景の地が広がる。延々と広がる乾いた大地の向こうに、白銀の山脈がそびえている。アンデス山脈のロス・アレルセス国立公園がその地である。


『世界遺産』8/9(日) ロス・アレルセス国立公園 〜 パタゴニア 氷河と湖の絶景【TBS】

 かつてはこの一帯は氷河に覆われていた。現在残っている湖はすべて氷河の浸食によって作られた氷河湖である。その最上流の氷河がそこに迫る氷河湖では湖水はエメラルド色に輝いている。これは氷河から大量の土砂の粒子が供給されるせいだという。下流に近づくほど土砂は沈降して堆積していくので、このような場所での湖は水は青く澄んで輝くことになる。

 この一帯を覆い尽くしていた氷河が複雑な谷などの地形を産み出したが、この氷河を産み出したのは太平洋からの強い風だという。この地は年間4000ミリという日本の2倍の降水量があるが、これらをもたらすのはこの地を吹く偏西風である。偏西風が運んだ水蒸気は高地では雪として降り積もり、これが山頂で万年雪となる。そして万年雪が氷河になるのだという。西からの風はここで乾燥し、アンデス山脈の東には乾燥した大地が続くこととなる。乾燥した大地には風で削られた巨岩がそびえ立ち、それらはロッククライマーの聖地となっているとか。風に削られた大地は様々な色や形の奇岩を産み出している。

 

今も生きる巨木の原生林

 ロス・アレルセス国立公園の温帯雨林には、2000年以上も生きる巨木がそびえている。それはパタゴニアヒバ。スペイン語で「アレルセ」と呼ばれ、これがロス・アレルセス国立公園の名前の由来になったという。樹齢2600年、高さは57メートルにも及ぶ。かつては一帯に生えていたが、ほとんどが建材として切り出されて残っているものは限られているという。さらにこの地にはナンキョクブナも存在する。この木は南極でも化石が見つかっており、一億年前、南米や南極は今よりも近く、一帯にはナンキョクブナが生えていたのだという。その後南極は寒冷化してすべてが氷に覆われてしまった。

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樹齢2600年のパタゴニアヒバ 出典:Wikipedia

 なおこの地が世界遺産に認定された理由は氷河の産んだ絶景とパタゴニアヒバの原生林所以とのこと。

 

忙しい方のための今回の要点

・南米のロス・アレルセス国立公園には氷河によって作られた絶景が存在する。
・この氷河は太平洋からの強烈な偏西風によって運ばれた水蒸気が、山頂で万年雪となり氷河となったものである。
・アンデス山脈の東側は乾燥した風によって削られた奇岩の大地が広がる。
・ロス・アレルセス国立公園には樹齢が2000年を越えるというパタゴニアヒバの原生林が存在し、これがこの地が世界遺産に認定された理由ともなっている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・氷河が作り出す絶景というのは結構多いですが、ここもその一つです。そしてまだ氷河が残っているというのも、今では少なくなっているようですね。
・ただし地球温暖化が進んでいる現状では、ここの氷河もいつまで残るか。

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