教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

8/30 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「必見!30年前から4倍増えた病気とは?」

最近激増中の痛風に注目

 今回扱うのは、この30年で4倍に増加しており、この時期に発症が増えるという病気。患者は激痛に苦しめられるという。その病気は「痛風」。尿酸の蓄積で起こると言われる病気である。

 男性に多いといわれているが、女性にも発症する。番組では実際に痛風を発症した患者の体験を聞いているが、足の親指の根元という典型的な部位に痛みが発症した人もいれば、手の親指やひざに発症した人もいて、症状の出方は様々。ただし共通しているのは夜に寝られないほどの激痛というもの。まさに「風が吹いただけで痛い」と言われる痛風である。

 痛風は尿酸の蓄積で起こる。細胞内のプリン体がエネルギーとして消費され、通常は肝臓で分解されて尿酸として尿などで排出されるのだが、その排出が上手くいかないで血液中の尿酸濃度が上昇した時に痛風が発症する。正常な尿酸値は7.0以下であるが、これを越えると血液中で尿酸が結晶として析出し、これが関節などで蓄積して異物として免疫反応で炎症を起こして痛みが発生することになる。なおこの尿酸の結晶が尖ったいかにも痛そうな結晶形なので「尿酸の結晶が関節などに刺さって痛む」と説明しているのをたまに見かけるが、これは誤りであり、正しくは炎症反応による痛みである。

 

尿酸値を上げる食材

 尿酸が増加する原因だが、食生活の影響が言われている。ここで番組では5つの食材をプリン体の多い順に並べるというクイズを行っているが、プリンはプリン体を全く含まないというのはお約束のネタです(笑)。プリン体は細胞に含まれるので、基本的には細胞の数が多いものほど多くなる。プリンの原料の卵は1つの細胞だし、牛乳は細胞が関係ないのでプリン体は0。落とし穴はいくらは意外に少ないこと。一般に魚卵はプリン体が多いといわれるが、いくらは細胞の粒が大きいのでプリン体の量としては大したことがない。危険なのはタラコなどの粒が小さいもの。また意外なところではマグロなんかの赤身もプリン体の量は多い。脂身の方が少ないらしい(脂身は脂肪細胞が巨大化したものだからだろう)。と言うわけで5つの食材の中でもっともプリン体が多かったのは鶏レバーというこれは大体予測できる結果。鶏レパー自体はビタミンや鉄分など身体に良い成分も多いのだが、とにかく「食べ過ぎには注意」というわけである。

 またプリン体と言えばよく話題になるのがビール。しかしビールはプリン体の量としてはそれほど大したことはないのだという。ただし問題になるのは質。ビールに含まれるグアノシンはプリン体の中でも尿酸値を上げやすい性質があるのだという。さらにアルコールが尿酸の生産を高めて排出を妨げる効果をなすので、ビールには注意と言うことになるらしい。

 さらには果糖の摂りすぎも尿酸値を上げる原因になるという。またこのシーズンはスポーツドリンクも果糖が多いので要注意とのこと。こういう食生活が尿酸値を上げる原因となるという。

 

尿酸値上昇の更なる悪影響

 なお尿酸値が高くても痛風の発作が出ない人もいるという。実は痛風が発症する原因として関節への負担や衝撃があり、それがきっかけで関節に溜まった結晶の一部がはがれ落ちることで炎症反応が起こるのだという。だから尿酸値が高いにも関わらず未だに発作が発生していない人は、体内に爆弾を抱え込んだ状態と言うことになる。

 さらには尿酸値の増加は痛風以外のサイレントキラーを発症することもある。それが尿管結石腎臓に蓄積した尿酸の結晶が尿管を閉塞させてしまうのである。まさに耐えがたい激痛に襲われて救急車を呼ぶ羽目になる。実際に私の知人(私の上司であるが)がこれを発症して、仕事中に突然に青い顔をして病院に駆け込んだことがある。もう我慢とかそういう次元を超越した痛みらしい。ちなみに私の上司は水泳で汗を流してはビールをがぶ飲みという生活をしていたらしく、それがもろに原因だったらしい。超音波で結石を砕く治療を受けた彼が、その後に生活を改めたのは言うまでもない。

 また尿酸は結石だけでなく、血管壁を攻撃して動脈硬化の原因ともなるという。これは心筋梗塞や脳梗塞のリストも高める。元々高血糖などがある者の場合は危険性が倍増ということに。

 

尿酸値コントロールの方法

 では尿酸値のコントロールだが、まずは痛風予備軍のセルフチェックを紹介している。1.肉や魚、内臓(モツ)料理をよく食べる 2.太っている 3.水分をあまり摂らない 4.食べるのがはやい 5.仕事などで頑張りすぎる傾向にある 6.アルコールやジュースを毎日飲む 7.高血糖・高血圧・脂質異常がある
以上の項目で3つ以上のチェックがあると危険とのこと。番組出演者は全員4つチェックがあったが、女性は女性ホルモンが尿酸を下げる効果があるとのことで、やはり要注意は筧氏という結果に。私は1.2.4.7の4つです。ジュースは以前はよく飲んでましたが(まさにがぶ飲み)、高血糖が問題になってからやめました。なお本業の仕事はあまり頑張ってませんが(笑)、本業と関係ない方は頑張りすぎているかも・・・。要は食生活以外に肥満、さらにはストレスが尿酸値を上げる原因となるという。

 さらに対策だが、このシーズンは水分不足になると尿酸の排出が上手くいかなくなる(尿が減るから)ので、まめに水分を摂ると言うことが重要になる。また牛乳はアミノ酸に尿酸の排出を促す作用があるので予防効果があるという。しかし私のように「牛乳を飲むと腹を壊すから・・・」という人はヨーグルトやチーズなど乳製品、特に低脂肪の乳製品が効果が高いとのこと。

 

 以上、痛風について。つまりは肉をモリモリ食って酒をガバガバ飲んでと言う生活は身体に悪いということです。そもそもこういう食生活って、痛風になる前にまずは糖尿になるような気がする。注意事項を見ていたら、痛風って糖尿や高血圧と非常に相性が良いという言い方はおかしいですが、生活習慣にもろに共通することが多い。そう言えば私が知っている痛風患者って、ことごとく糖尿か高血圧か高脂血症かのどれかを患ってました。

 かく言う私ですが、ハッキリと痛風が出たことはないのですが、足の親指の付け根に短期的な謎の痛みを発症したことは何度かあり、もしかして痛風のきらいがあるのではと気にはなってます。ただし尿酸値はまだ健康診断で指摘されたことはないんですよね。

 ちなみに確かに混同されやすいですが、おやつのプリンはpuddingでプリン体はpurine(発音的には「ピュリーン」が近い)なので何の関係もありません(笑)。日本語って音の種類が少ないので、こういう外国語を表現する時にはすごく雑になるんですよね。外国人からしたら混同するはずのないものが、日本語になると全く同じ音になってしまうということは多い。この辺りは他民族が混淆する中で互いの言葉を何とか表現しようとした言語と、孤立した集団の中で独自に発達した言語の違いだろうな。日本語は後に中国から漢字を取り入れたので中国語系に見られやすいが、言葉としては中国語とは全く無関係な独自産物ですからね。

 

忙しい方のための今回の要点

・最近増加していて、この時期に発症しやすい病気が「痛風」である。
・痛風は尿酸が増加することで生じる病気で、男性に多いが女性でも発症するし、また典型的な発症部位は足の親指の根元だが、それ以外の部位の発症例も多い。
・尿酸は細胞内のプリン体がエネルギーとして消費された時に、肝臓で分解されて尿酸が生成する。尿酸は尿中などに排出されるのだが、排出と生成のバランスが崩れると体内に蓄積することになる。
・血中尿酸濃度が高まりすぎると、これが関節などに結晶として析出し、これらが炎症を起こすことで痛みを発症する。
・プリン体は細胞に含まれるので、タラコなど細胞の多い食材に要注意。また赤身などにも多く含まれる。
・ピールはプリン体自体はそう多くないが、尿酸値を上げやすいグアノシンを含んでいる上に、アルコールが尿酸を増やすので要注意。
・尿酸値が高くても痛風を発症しない人もいるが、尿管結石を発症したり、動脈硬化を起こす場合もあるので要注意。
・痛風を予防するには食生活に気をつけると共に、水分を適宜十分に摂ること。なお牛乳にはアミノ酸が尿酸排出を促す効果があるのでお勧め。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・そう言えばプリン体の件でビールが敵視された後、ビールのプリン体はそう多くないから気にする必要がないという発表も出たのですが、今回の内容は「やはりビールは注意した方が良い」というものでしたね。この辺り、まだ見解が分かれているのかな。私が以前に見た報告では「ブリン体は体内から排出される分が圧倒的に多いから、食生活は極端には影響しない」ってものだった。

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