教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

9/8 テレ東系 ガイアの夜明け「コロナとの戦いを諦めるな!」

コロナの第三波に備えろ

 感染の第二波を迎えたコロナ、しかしこの秋以降に第三波の襲来が予測されている。その時に備えるべく動いている人や企業などを紹介。

 墨田区では第三波の襲来に備えてPCR検査外来にするためのテントをテストしていた。内部は2人同時に調べることが出来、1日最大100人の検査が可能。墨田区では現在PCR検査場は7カ所あるが、それでも足らなくなる危険性を想定しているのである。実際に地元の中核病院での集団感染なども発生しているし、家族内感染も増えていた。そこで墨田区では自宅療養の患者に生活必需品を無料配布することにしている。それによって外出を抑制するのが目的である。

 

プレハブでコロナ専門病棟を建設

 一方鎌倉市ではプレハブの新型コロナ専門の医療施設を建設した。外からは仮設住宅のように見えるが、内部は最新の病院の設備を設置している。ここには中等症の患者を収容することになっており、内部はレッドゾーンで厳密に区切られている。遠隔操作ロボット・ニューミーなどを導入して、医師はロボットを連れて回診、看護師は直接に患者と接触せずに患者の様子を見られるようになっている。ここは重症化を抑えるための防波堤である。ここで患者を診ている會田悦久医師は3ヶ月で150人以上の患者を治療してきている。彼はベトナムのクリニックで働いていたが、コロナ危機に帰国して自ら志願したのだという。今は冬になった時の再流行を一番懸念している

 

医療テントの太陽工業が防護服を開発

 以前にPCR検査室用のテントを開発していてこの番組でも紹介されたテントメーカーの太陽工業では、さらにコロナに対応する新商品の開発を急いでいた。

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 同社が開発を行っているのはまるで宇宙服のようなもの。これは医療従事者を守るためのスーツだという。今までの防護服は通気性が悪いために内部が蒸れて非常に不快だったのだが、このスーツはウイルスカット用フィルタを装備したファンを付けて、内部で空気を循環させることで蒸れないようにしている。さらに内部の圧力を上げることで外からウイルスが侵入しないようになっている。また通常の防護服は使い捨てだが、同社の防護服は洗濯して再利用できる。テント生地を使って密閉性の高いものを作るのは同社の得意技術であるので、それを利用したのである。

 早速病院に行って試作品を医師に試してもらったところ、蒸れないので非常に快適と好評。ただし脱ぐ時に表側に触らずに素早く脱げるようにして欲しいとの要望が出る。

 そこで早速改良に挑む。社長自ら現場にハッパをかけて開発を急がせる。とにかく手遅れにならないためにはスピードが命であるという。検討の結果、背中に付けていたファスナーをサイドに持ってきて、全体が大きく開くようにしたことで裏返しに簡単に脱げるように改良された。

 

さらには面会者用スーツに改造

 これで医師からは上々の評価を得たて導入に向けて進むことになったが、社長はさらにこれを改良して別の場面で使用されることを考えていた。それは老人ホームなどでの患者の見舞い。この場合、スーツを着た人が外からのウイルスに感染しないだけでなく、本人が無自覚で感染していた時に、そのウイルスを外に出さない機能も必要となる。

 そこで頭部に排気口を作ってそこに医療用の高機能フィルタをつけることにした。こうすることでもし内部にウイルスがあっても外に漏れることはない。また頭部に排気口を付けることで音も聞こえやすくなったという。早速このスーツを高齢者施設に紹介、施設では試験的に導入することが決定された。ただ問題は手作りのために1着10万円と高価であること。そこでスーツに広告を入れることで安価での普及を目指している(まるでF1スタッフのようである)。

 

病院ではエクモ操作者の育成に挑む

 また病院では重症化した患者に使用するエクモの操作をできる要員を育成することが課題となっていた。全国にエクモは1400台あるが、使いこなせる者が少ないために同時に動かせるのは最大で300台ほどだというのである。そのためにヴァーチャルリアリティを使用した操作の講習なども始まっていた。エクモは患者の血液を装置に循環させて酸素を加えるのであるが、どうしても血栓などが出来ることで装置の働きが悪くなってくるので、定期的に交換の必要がある。その交換作業はいわば生命維持装置を止めて作業するわけであるので、スピードと正確さが求められる。これらの作業をヴァーチャルリアリティと実地での講習を組み合わせて学び、一人でも多くの要員を確保することが急がれている。

 

 以上、コロナ対応の最前線について。以前に登場した太陽工業が再登場で今回は主役級でする。それにしてもここの社長の使命感の強さはかなりだな。こういう会社は往々にして従業員には厳しかったりするんだが、ここの従業員はどう感じているんだろう。社会に貢献する重要な仕事をしているという使命感はありそうだが。

 GoToトラベルに来月から東京を加えるという発表があったが、政府は既にコロナを終わったことにしたがっており、あわよくばそのままコロナがなくなったことにして来年にはオリンピックなんて皮算用をしているようだが、未だに200人規模の新規感染者を出している東京から各地に観光客が散っていくことは、まず間違いなくまた全国レベルでの感染爆発を招くことになるだろう。PCR検査数はようやく以前よりは増えてきているものの、未だに政府の本音は「検査をせずにコロナはなかったことにしたい」というところにあり、その意を汲んだおべっか使いが未だにテレビなどで検査不要論をぶっている状況。経済を回したいのは分かるが(連中の本音は経済よりも利権にあるのだが)、相変わらずブレーキとアクセルを同時に踏むという一貫性のない対応になっている。

 とにかく政府の対応がこの調子なので、第三波は確実に来るだろうことが予測される。今まではアジアは奇跡的に重症化率が少ないと言われていたが、それが今後も続くかは疑問である。特にオリンピックのために実質ノーチェックで選手に入国を許可することまで検討されているようで、そうなったらアメリカタイプの強毒型ウイルスの拡散も懸念されるところ。やはり万全の準備が必要である。

 

忙しい方のための今回の要点

・墨田区では第三波の襲来に備えてPCR検査の拡充のための対応と、家庭療養者に対して生活必需品を配布することを進めている。
・鎌倉市にはプレハブでコロナ専門の医療施設が建設されており、中等症の患者がここに収容されている。
・医療用テントの開発をしている太陽工業では、従来の蒸れやすい防護服の欠点を解消するために、空気を循環させるタイプで再利用可能な新型防護服を開発した。
・さらにはこれを改良して、老人ホームなどで面会者に使用できるスーツも開発、高齢者施設で試験導入することとなった。
・医療現場では重症患者に使用するエクモを操作できる者が少ない問題がある。そこでバーチャルリアリティなどを使用してエクモの操作を講習するなどが行われている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・医療関係者も日常業務が多忙であるところに、さらに新たにエクモの操作などを覚える必要があるのだから大変です。その挙げ句に病院経営の悪化でボーナスが減るなどといった本末転倒のことまで起こっているとか。やはり予算を利権ではなく、こういうところに重点的に配分する必要がある。
・それに最近は病院や医療関係者を目先の採算性を理由に減らす方向に持って行っていた(特に維新がそれに熱心だった)のがここに来てツケとして出てきています。今回のコロナはいろいろと日本のマズいところをあぶり出した側面もあります。

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