教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/25 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「今、知っておきたい免疫力アップ術」

免疫システムについて学ぶ

 寒くなってきたが、こうなるとインフルエンザなどの感染症の増加や、新型コロナの感染二次爆発などが警戒されるところ。こういう事態を防ぐための身体の最後の砦が免疫。と言うわけで、今回は免疫とはいかなるものであるかの基礎を学ぶと共に、免疫力のアップ法を紹介する。

 ウイルスが体内に侵入すると、まずは細胞に取り付いて増殖する。細胞の表面には鍵のようなものがあって、本来は栄養分などの細胞にとって有用なものしか取り込まないようになっているのだが、ウイルスは巧みにこれを偽造して細胞内部に侵入してしまう。こうなった状態がいわゆる感染である。

 感染してもただちに発症するわけではない。症状を発症するにはウイルスが増殖する時間が必要。これが潜伏期間インフルエンザで1~3日、新型コロナは1~14日(大体5日ぐらいと言われている)。インフルエンザウイルスが肺に感染した場合、1個のウイルスが16時間後に1万個に、24時間後には100万個に増殖すると言われている。

 

自然免疫と獲得免疫の二段システム

 この時に最初に立ち上がるのが免疫細胞。ウイルスを食べる食細胞に、ウイルスに感染した細胞を破壊するNK細胞が感染数時間後には活動を開始する。これらが自然免疫と呼ばれる第一の砦である。ここが強ければ発症する前に病気を撃退できるのだが、自然免疫は20才をピークに能力が低下するので、高齢になるほど病気になりやすいことになる。

 自然免疫で撃退しきれずに感染から数日後になると発症する。この時に働く最終兵器が獲得免疫。まずは樹状細胞がウイルスを食べて情報を収集、次にT細胞がそれを分析して対処法を検討、そしてB細胞に攻撃法を伝達して、B細胞が抗体でウイルスを攻撃する。抗体はウイルスの鍵に取り付いて細胞内への侵入を防ぐと共に食細胞の働きを活性化する。そして細胞内のウイルスに対してはT細胞が細胞ごと破壊する。このような免疫細胞の戦いの影響が喉の腫れやら発熱、さらにはタンなどになって現れる。そして戦の後にはT細胞やB細胞はこの戦いの記録を残すことで、次に同じウイルスが侵入した場合には迅速に対応できるのである。

 

免疫力アップの方法と最適の食材

 さて免疫力アップの方法だが、免疫力を低下させるのがストレスであるので、入浴などで身体を温めると共にストレスを解消するのが効果的という。

 次はクイズ形式で紹介。まずインフルエンザワクチンの効果は1年続くかだが、答えは×。大体5ヶ月ぐらいが限界らしい。次は獲得免疫が年齢と共に弱くなるのはなぜかだが、これは免疫細胞の学習能力が落ちるらしい。痴呆老人の免疫細胞も痴呆になっているようだ。最後はインフルエンザと新型コロナに同時にかかることがあるかだが、これについてはかかることがあると言われている。

 最後に免疫と関わりの深い臓器であるが、それが腸。腸には体内の免疫細胞の6割が集まっているという。特に小腸のバイエル板は免疫細胞を教育する能力を持っていると言うが、ビタミンB1が不足するとバイエル板が縮小してしまうのだという。だからビタミンB1の多い豚肉がお勧めで、アリシンを合わせて摂ることで吸収率が上がるので、オススメ料理は豚の生姜焼きとのこと。

 

 以上、免疫について。免疫のシステムについてはあさりよしとおの「まんがサイエンス」やら最近では「はたらく細胞」なんかでも紹介されているので結構あちこちで聞いている話だろうと思う。それに豚の生姜焼きというのも何か最近やたらによく聞く料理だ。実際に私はなぜか疲れてきたら身体が豚の生姜焼きを求めることがある(笑)。

     
科学学習漫画の老舗の「まんがサイエンス」
    
最近の人気は「はたらく細胞」

 まあとにかく、どんな病気でも最後に回復するかどうかは免疫頼みになるので、日頃から免疫力の低下には注意しておく必要がある。と言うわけで、免疫力低下を防ぐにはストレスや睡眠不足などを避けて健康的な生活を・・・ってわけだが、現実にはこれが出来たら苦労しないんだよな。特に現代社会は高ストレスの上に、最近はコロナの影響でさらに余計なストレスが増えてるから。

 

忙しい方のための今回の要点

・免疫システムについて紹介。体内にウイルスが侵入して感染すると、最初は食細胞やNK細胞などの自然免疫が対処、それが突破されると樹状細胞、T細胞、B細胞などの獲得免疫が出動して抗体でウイルスを攻撃する。
・免疫力は加齢やストレスで低下するので、入浴などでストレスを解消するのが必要。
・免疫に大きな影響を持つのが体内の免疫細胞の6割が集まる腸。特に小腸のバイエル板は免疫細胞を教育する器官とされているが、ビタミンB1が不足するとこれが縮小してしまう。
・だから免疫力アップにはビタミンB1を多く含む豚肉に、吸収を高めるアリシンを加えるのが効果的。と言うわけでお勧めは豚肉の生姜焼き。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・免疫の機構なんかも最近になって分かってきた部分が多いです。最近ではリンパ球は免疫の中心的働きをしていると言われていますが、私が子どもの頃の教科書にはリンパ球の存在は書かれてましたが、その働きはまだ明確でない感じでした。こういう知識も次々にリニューアルしていかないと古くなってしまう。

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