教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

11/11 NHK ガッテン「心をつなぐ○○パワー!ビデオ通話の極意」

ビデオ会議がギクシャクしてしまう原因は

 コロナのせいで在宅勤務などが増え、ビデオ会議が行われることも多くなったが、それと共によく聞かれる声が「どうもしっくりこない」「議論が深まらない」「口を挟むタイミングが分からない」などの違和感。それをどうすれば解消できるのかというのが今回。

 まず実際に顔を合わせての会議とビデオ会議とで何が違うかを会議の参加者を観察して比較した。その結果分かったのは、圧倒的にうなずきの数が減っていること。そしてその原因はカメラと画面の位置が違うことだという。

 つまりカメラを真っ正面から見ると画面を見れず、画面を真っ正面に見るとカメラから目線が外れるということで、アイコンタクトが取れないのである。この状態だと自然にうなずきが減ってしまうのだという。だから目線を合わせられるカメラなんかの研究も進んでいるとのことだが、これはまだ研究段階。

 ではどうすればこの問題を解消できるかだが、それは意図的にうなずき役を設定してしまうんだとか。彼がうなずきをすることで、自然と他のメンバーも引き込まれてうなずきをするようになるという。うなずきがあるだけで会議の一体感が増すという。

 

話しにくくなるもう一つの原因

 さらにもう一つある落とし穴を示すために面白い実験を。登場するのはラッパーの晋平太氏。即興ラップでのレジェンドとのことで、与えられたお題に対して韻を踏んだラップがスラスラと出てくる。このレジェンドをある方法で言葉に詰まらせてしまおうとのこと。

 まずはテンポを上げてみるが、そんなものはものともせずにスラスラと言葉が出てくる。しかし身体の動きを止めるように指示したところ、レジェンドラッパーも急に言葉に詰まってしまう。どうも喋りのテンポが取れなくなっているようである。

 さてビデオ会議で考えてみた場合、身振り手振りがついてもそれは大抵は画面の外になってしまうので、その状況では自然とジェスチャーがなくなってくるのだという。すると言葉が流暢に出てこなくなるのだという。

 それに対するにはやはりうなずきだとか。うなずきがあるだけで話し手と聞き手の脳の血流量などが同調してくると言う効果があるらしい。これはリズム同調と言って、スムーズなコミュニケーションにとって重要なことらしい。実際に先ほどのラッパーの前に一人立ちうなずいてもらうと、ラッパーは身体を動かしてないのにテンポが取れて言葉が出てくるようになる。

 で、このノウハウはどうもビデオ会議ではしっくりこないという人たちに伝授したところ、ビデオ会議がスムーズになるようになって目出度し目出度しという結果。

 

 さてこのうなずきの話だが、実際に私自身が話していてもよく感じることである。また今回出て来た話というのは、人前で話をする時のノウハウにもつながっている。人前で話をする時は往々にして緊張して視線を外しがちになるのであるが、話慣れている人は逆に会場内をグルッと見渡して自然に聴衆に視線を飛ばすということをする。すると聞いている方も自分に対して話してくれているという感覚が湧いて話が頭に入って来やすくなるし、また自然にうなずきが出たりするものである。よく海外の講演なんかを見ていたらやや派手目のジェスチャーをする人も多いが、ああやって自分で話のテンポを作っているという場合が実に多いのである。この辺りは意識して心がけたら、社内でのプレゼンなどでの反応が変わってくるので試してご覧あれ。ちなみに私は社内などでプレゼンをする時には、自分がスティーブ・ジョブズになったつもりでプレゼンをしている(笑)。あまりやり過ぎるといかにも「芝居がかった」という印象になる恐れはあるが、やはりああいう場はある程度の「演出」は必要である。

 

忙しい方のための今回の要点

・ビデオ会議などでどうも話がギクシャクするという声が多いが、その理由はうなずきの少なさ。そしてそれが起こる原因は画面とカメラの位置が違うせいで目線が合わないということにある。
・これを解消するにはうなずき役を設定して意図的にうなずきを増やすという方法がある。これだけで人はスムーズに話しやすくなると言う。
・またビデオ画面では手振りなどは画面内に収まらないので、段々とジェスチャーが減ってくることになるが、これは話し手が話しにくくなることにつながる。これを解消するのにもうなずきが効果があるという。
・うなずきがあることで話し手と聞き手の脳内の血流のリズムが同調するなどの効果が生じるという。そのことによって話のテンポがスムーズになるのだとのこと。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・なかなか面白い内容でした。実際にビデオ会議になって、私も「どうやっても視線が合わない」というのはかなり気になっていて、それが話しにくさにつながっているというのも感じてました。もっともビデオ会議でもう一つのやりにくさは「常に喋っているの誰か一人」というのがあります。実際の会話では話の途中で誰かが割り込んだりなどの動きが出ますが、ビデオ会議では一人一人順番に話さないと音声が途切れてしまうので、それが話しにくさにつながる局面が多いように感じます。すると一人やたらにベラベラ喋る者がいれば、後は全員沈黙になってしまうということが起こりがちです。これの解消法はないものでしょうかね。

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