火山島の高地に広がる太古の森
アフリカ沖に浮かぶ火山島・スペイン領カナリア諸島。ここのラ・ゴメラ島には標高1000メートルに太古の森が存在する。これがガラホナイ国立公園である。
『世界遺産』11/15(日) ガラホナイ国立公園 〜 カナリア諸島 1万年続く太古の森【TBS】
カナリア諸島の海岸には溶岩が冷えて結晶化した柱状節理が多数ある。これらをスペイン人はロス・オルガノス(パイプオルガン)と名付けたという。この火山島の標高が高くなると急に木々が茂って風景が変わる。
カナリア諸島の成り立ちはラ・ゴメラ島の隣の島のテイデ山を見ると分かる。テイデ山は富士山を思わせる火山である。ホットスポットから溶岩が吹き出してそれが次々と島を作ったのだという。
湧き上がる雲が高地に水をもたらした
この島で見られる絶景として雲が山から流れ落ちてくる風景がある。上空に暖かい空気が存在する時に雲が行き場所をなくし、そこに強い風か吹いた時に雲が山頂から山肌に沿って駆け下りるのだという。
雨が少ないラ・ゴメラ島であるが、標高1000メートルを境に森が存在する。ここには照葉樹の森が存在し、1万年は続いている。かつては照葉樹の森は氷河でほとんどが滅んだが、ここでは氷河が出来なかったためにその頃の森が残ったのだという。この水はこの高度に湧く雲によっている。この高度で湧いた雲は貿易風で運ばれてガラポナイの森に水をもたらす。
しかし雲は同時に太陽を遮る。木々は日光を求めて枝を伸ばすが、その寿命は決して長くはないという。ただその中でも樹齢数百年という木は存在する。
森よりも高度が下がると乾燥して荒涼とした大地が広がる。しかしそんな一角に青々とした畑が存在する。この畑ではなんとバナナが栽培されている。ガラポナイの森を潤した水は木々に付着したコケが水滴として集め、これはやがて清流となって豊かな流れが生まれるのだという。この水が麓に暮らす人々の生活を支えてきた。この水を使って海沿いで畑が作られたのだという。温暖な島の段々畑でバナナが栽培されている。
忙しい方のための今回の要点
・アフリカ沖のスペイン領カナリア諸島には標高1000メートルの太古の森がある。
・この森はこの高度に湧く雲によって水を供給されており、1万年前から続いている。
・また森は多くの水を蓄える水瓶ともなっていて、その森から流れた水で海沿いではバナナ畑が広がっている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・1万年前から続く森ではあるが、木の寿命は短くて一番長いもので数百年なんですね。なんかこの辺りに奇妙な矛盾のようなものを感じましたが(笑)。
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