教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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11/24 テレ東系 ガイアの夜明け「これまでにない"雑貨"を作れ!~東急ハンズと新勢力の闘い~」

雑貨の王・東急ハンズが打ち出した次なる手

 雑貨と言えば東急ハンズの独壇場であったが、そのハンズの売り上げも1000億円を手前にここ数年足踏み状態が続いているという。その背景にはライバル店の増加があげられる。100均ショップなども有力なライバルであるし、最近台頭してきているのは300円均一の3coins。100均にはない1グレード上の商品を売りにして伸びてきている。

 これに対してハンズではオリジナルの商品開発に力を入れている。商品開発担当の伊藤順子氏はリュックなどを背負っていても濡れにくい後ろが長くなった傘などを開発した人物。今回伊藤氏はトリナスとタイアップして商品開発に臨むことにした。トリナスは一般からアイディアを公募することで、メーカーには思いつかないようなアイディアを出すのだという。

 一般公募した企画は採用賞金20万円で、製品化すれば売り上げの3%がロイヤリティになる。今回のテーマは手漉き和紙と豚皮を使用した新商品。多数の応募があり、応募者の中にはデザイナーなんかもいるのでかなり堂々とした企画書まで提出されている。 

 

二商品が開発されて、一つは製品化して販売された

 そんな中で伊藤氏が注目したのは和紙を使ったラップだった。主婦の提案だという。既に布のミツロウラップは存在しており、ミツロウの効果で除菌が出来て洗えるなどエコであることで注目されているという。それを和紙で作るというアイディアだった。しかし実際に京都のアコラップが和紙を使って作ってみるが強度が低い。そこで和紙工房で強度を上げるためにこんにゃくノリを和紙に刷り込む作業を行った。その結果、出来上がった試作品は上々のもの。商品化して販売が計画されたのだが、発売直前になってミツロウが高コストであるために妥当な価格で製造できないという問題が発生、苦渋の決断で発売見送りとなる。

 一方の豚皮は薄いシンプルな財布を採用することにした。発案者はデザイナーであり、無駄を省いた軽量シンプルなデザインが特徴。こちらは6800円で発売された。売りの一つとしては豚皮が丈夫であるために手洗いも可能であること。

 

日本の伝統を生かした雑貨に取り組む中川政七商店

 一方、渋谷で雑貨に進出している中川政七商店は、そもそもは奈良発祥の麻織物の問屋だったが、20年前に雑貨事業を開始した会社。日本の伝統を取り入れた雑貨を特徴としており、800もの作り手と組んでの開発を行っている。現在提案している新商品は季節のしつらい便。親子で季節の飾り物を作るキットである。例えば来年は丑年なので、会津の赤べこの色のついていないものが送られてきて、これに自分で色を付けるようになっている。キットにはその風習に纏わる情報が記されており、体験しながら日本の風習を学べるようになっている。

 商品開発担当者が、夏向けの企画として次に考えたのが、笹のタペストリーに飾りを自分でつけて七夕の笹飾りにするというアイディア。笹のタペストリーの製造は染め物の会社に頼んで試作。そこが持つ高度な技術を生かして笹の質感を感じさせる出来となった。飾りの取り付けは当初は安全ピンで引っ掛けるだけのつもりだったのだが、社長から「やはり笹飾りは結ぶという行為が欲しい」との要望があり、タペストリーにある輪っかに飾りのこよりを括りつける形に変更、こうして商品化されることとなった。

 

 アイディア雑貨の話ですが、やっぱりプロだけが考えるのでない消費者の視点というのがポイントとなってきているようです。残念ながら紙ラップが発売中止となった主婦は、「次のアイディアがいろいろと湧いてきている」と次回の公募に向けて準備中のようですが、実際にこの世界は一つ当たったら一攫千金というのも不可能ではありません。実際に針金をグネグネ折り曲げて遊んでいるうちに思いついたクリップで億万長者なんて話もありますので。

 もっとも実際にはアイディア倒れって商品も少なくありません。私も今までいくつかのアイディア商品で「こんなもの、かえって不便じゃないか」というものを今まで無数に見てきてます。なかなか大ヒットや定番につながる商品というのは出てきにくくなってきています。まあそもそも現代はどの業界のどんなジャンルも「ネタ切れ」感が強くなってきてますので。地球資源の枯渇が問題となってきていますが、私は創作分野における人間の知的資源の方も枯渇しつつあるのではないかと懸念していたりします。

 

忙しい方のための今回の要点

・雑貨と言えば東急ハンズだったが、最近はライバルの出現などで売り上げが頭打ちである。そこで新しいPB商品を開発するため、トリナスと提携してアイディアを一般公募した。
・和紙を使った新商品については主婦が提案した和紙のミツロウラップが採用されたが、試作までは出来たのだが残念ながらコストの問題で発売中止となってしまった。
・一方デザイナーが提案した豚皮のシンブルな財布は商品化されて販売されることとなった。
・奈良の麻織物問屋であった中川政七商店は、20年前から日本の伝統技術を生かした雑貨の販売を行っている。新商品としては季節の飾り物を手作りするキットである「季節のしつらえ便」があり、親子で制作しながら日本の風習について学べるようになっている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・各人の好みが細分化してきてますから、なかなか大ヒットは出にくくなってます。最大公約数を目指したら、どこにもコアな需要がなかったなんて大失敗はしょっちゅう聞きます。むしろニッチなところに特化して定番を目指すという戦略も今はあるようです。
私が愛用しているpomeraなんて典型的なニッチ市場向け商品ですからね。私のようにどこでもテキスト入力というニーズのある者には必須のアイテムですが、その手の人間は決して多くはない(笑)。
・私が欲しいと思っているアイテムは、軽量で安価なPC用サブディスプレイ。今のように出先で作業するときは、ノートPCのディスプレイが狭いせいで作業効率が悪くて・・・。私はデスクトップでは常時ディスプレイを3台使用している人間なので。しかし私のようなこの需要が果たしてどれだけあるやら。どこか酔狂なメーカーさんが出してくれませんかね。
・もしくはデュアルディスプレイを搭載したノートPCですかね。ディスプレイが二重になっていて、それをパタパタと開いたらデュアルディスプレイになるという。こっちの方はどこかのメーカーが出してもいい気がしますが、今どきはそもそも民生用PCを本気で製造しているメーカーがほとんどないからな・・・。

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