教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/3 NHK ガッテン「たった2分で血圧低下!ミクロの"ツボ"刺激で魔法のガス大活躍」

ちょっとしたことで血圧を下げる技

 今回はテーマは高血圧。しかしこの血圧をたった2分で下げる方法があるのだという。番組では実際にそれを試してもらったところ、実際に最高血圧が10以上低下しているという驚きの結果に。

 その方法とは手を心臓より低い位置に置いて片手ずつ1分間ずつニギニギするだけ。なぜこんな方法で血圧が下がるかと言えば一酸化窒素(NO)が関係しているのだという。

 そもそもNOが注目を浴びることになったのは、ダイナマイト工場で働く労働者が平日には狭心症の発作が起こらず、休日になると発作が起こるという現象があったことが切っ掛けだという。この時には作用機構は不明だがニトログリセリンが狭心症の特効薬となることが分かった。実はニトログリセリンが体内で分解して大量のNOが発生していたということが分かったのはそれから100年以上経った後だという。これを解明したルイス・イグナロ博士はノーベル賞を受賞した。

 NOは血管を広げる効果があることが分かっている。さらにはNOを吸引することで新型コロナによる呼吸困難が解消するということも分かっており、現在使用されているという(副作用がないのが良いらしい)。また脳に超音波の刺激を与えることで脳内でNOが発生、これによって脳の血流が増加することで認知症の治療効果があるということも注目されているという(現在臨床試験中とのこと)。NOは狭心症以外に脱毛症や胃腸障害、さらには男性機能低下にまで効果があるとか。

 

NOを体内で発生させる方法

 このNOであるが、体内で生み出す能力があるが、これは年齢と共に低下するのだとのこと。このNOを体内で出すには血管の内皮細胞にあるツボを血流で刺激することだという。手を握ることで血流がアップするのでそのことが血管内壁の刺激になってNOが出て血管が拡張するのだという。

 ちなみにこのニギニギがどういう経緯で開発されたかだが、これが実はパイロット育成の過程だという。最新鋭の戦闘機は飛行時にパイロットに高Gがかかるのでそのままだと脳の血液が偏って失神してしまう。これを防ぐ研究をしていたところ、パイロットが飛行機を操縦すると血圧が下がるということが分かったのだという。これはパイロットがとる耐G動作というのが影響しているという。耐G動作とは全身でいきんで一時的にせき止めた血液を次に一気に解除することで血流がアップして、ここでNOが発生していたのだという。パイロットはこれを脳に血液を送るのに行っているという。

 なおNOを出す方法には様々ある。有酸素運動なども効果があるが、驚きの効果が出たのは温泉だという。10分の入浴で血管が17%も拡張したという。ただし湯が熱すぎると逆に血圧が上がるので注意。

 また食べ物でも青魚、赤ワイン、緑茶、ブラックのチョコレートなどもNO合成酵素(ツボのところにあるらしい)の性能を高めるのでNOが発生しやすくなるのだという。なおアルコールは摂りすぎると逆効果なので、赤ワインは一杯程度とのこと。また有酸素運動は継続することが重要とのこと。

 

 非常に簡単な方法なので、血圧が気になる人は試してみるのがよろしいでしょう。一時的に血圧が下がるだけでなく、継続することによる効果もあるというのでやってみるべきでしょう。まあ日常的に有酸素運動をするのが一番良いんでしょうけど、なかなかそれはハードルが高いのでまずはニギニギから。

 私は血圧は元々高くはないのですが、残念ながら最近は年齢に応じて徐々に血圧が上がってきているようです(コロナで運動不足なのも影響してそうだが)。やっぱり運動しないといけないようです。

 

忙しい方のための今回の要点

・片手ずつ、1分間ニギニギするだけで血圧が低下する効果があるということが分かった。
・血圧低下のメカニズムは血管拡張効果のあるNOが発生することによる。NOは体内では血管内壁にあるツボを血流で刺激することで発生する。ニギニギで血流が増すのでそれでNOが発生して血管が拡張、それで血流が良くなってさらにNOが発生するとのこと。
・NOを発生させるには有酸素運動なども効果があるが、劇的な効果があったのは温泉。10分の入浴で血管が17%も拡張したという。ただしお湯が熱すぎると血圧が上がるので要注意。
・また青魚、赤ワイン、緑茶、ブラックのチョコレートなどもNO合成酵素の性能を高める効果がある。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・ニトログリセリンが狭心症の薬だということは知ってましたが、それがNOと結びついていませんでした。なるほどこうして聞くとニトログリセリンが医薬品として使える理由が良く分かった。ニトログリセリンは内服するはずだから、NOは血管からでなくても吸収できるということか。
・なお勝手にNOを吸引なんかしたら死にますので、あくまで医師の処方に従ってとの注釈付きです。これは毎度のこと。

次回のガッテン

tv.ksagi.work

前回のガッテン

tv.ksagi.work