教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/7 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「寿命を左右する腎臓」

寿命に関わる腎臓の働き

 今回のテーマは寿命に大きく影響する臓器である腎臓。と言っても一般的にはイメージは薄い。しかし腎臓の機能が悪化すると心筋梗塞などの致命的な病気の可能性が3倍になるという。また腎臓は一度機能を失うと二度と再生しないという特徴もある。そこでこの腎臓の働きについて紹介。

 腎臓の働きとしてまず挙げられるのは血液を作ることがあるという。赤血球の量は腎臓で分泌されるエリスロポエチンというホルモンによるので、アスリートが高地トレーニングで赤血球の量を増やすというのは、腎臓を鍛えているようなものだという。だから腎臓の機能が低下すると赤血球量が減るので、たちくらみや目眩などの貧血の症状が出ることになる。そうなると心臓に負担がかかるので、心筋梗塞や脳梗塞の危険が増すことになる。

 さらに有名な機能が尿を作るというもの。腎臓にある糸球体という100万個のフィルターで血液から老廃物を漉し取って尿を作るのが腎臓の働きである。1日で150リットルの尿の元が出来るが、これが膀胱に行くまで尿細管で水分が吸収されて1.5リットルに濃縮されて尿となる。この機能を人工的に代替するのが人工透析器だが、これを通すと牛乳からタンパク質や脂質が分離されて透明な水分が出てくることになる。フィルターである糸球体には1ミリの10万分の1の穴が無数に空いている。これによって濾過するのである。

 

高血圧や糖尿病が腎臓を障害する

 この糸球体のフィルターを傷つけるのが糖尿病や高血圧。糖尿病は過剰な糖分が血管壁を傷つけることで濾過機能が低下する。高血圧は血液の流れが強いことで血管を傷つけて濾過機能が低下することになる。傷ついた糸球体は網目が大きくなることで、本来は通らないはずのタンパク質などが尿中に出ていくことになる。これがタンパク尿というもので、泡立ちやすいのが特徴だという。また血液中のタンパク質が減少することで血液中の水分が保持できなくなって血管外に出ることでむくみが発生するという。だから尿の泡がなかなか消えないとかむくみがあると言う時は腎臓の機能低下が疑われるという。なんと日本では1300万人以上に腎臓機能の低下が見られるという。定期的な入検査及び血液検査が重要である。

 また糸球体自体がつぶれる状態にもなり、こうなると腎不全という末期状態であり、血液中の毒素が除去できずに全身に回ることになる。こうなると意識障害を起こしたり、尿毒症になって命に関わることになる。また脳に毒素が回ることで認知機能の低下も招くという。また水分やミネラルを排出できないので血液量が増加して高血圧がさらに悪化することもあると言う。

 

腎機能低下によって起こる更なる症状

 さらに腎臓にはカルシウムの吸収を高める効果もあるので、腎臓の機能低下が起こると骨粗鬆症も起こりやすくなるという。なお腎臓の機能には比較的余裕があることが症状が出にくい理由だという(それだけ重要な臓器であるということでもあるが)。腎臓を守るにはとにかくカロリーや塩分の取りすぎに注意することとのこと。

 なお腎臓が悪くなると腰痛が出ることがあると言う。腎臓自体には痛覚はないのだが、腎臓を覆っている膜や尿管に痛覚神経があるので、ここから痛みが来ることがあると言う。多いのは腎盂炎と腎臓結石だという。なお腎臓結石は七転八倒する痛みといわれているが、慢性的な痛みでも腎臓に炎症がある場合はあるとのこと。左右どちらかの腰が痛い場合に注意とのことだが、これってまさに私がそうかも。

 

末期症状の腎不全と再生医療について

 腎臓の機能が健康な人の60%以下になるか、タンパク尿が3ヶ月以上続くと慢性腎臓病となる。ただし最後まで自覚症状が出ないことが多いという。8人に1人が該当するが、末期症状は腎不全で、こうなると人工透析しないと生きていけないことになる。34万人が人工透析を受けているという。週3回、5時間かけて透析をする必要があるので、生活的な負担が大きいという。

 そこに希望の灯となるかもしれないのが腎臓の再生医療。東京慈恵会医科大学の横尾隆博士の研究室では2020年代の臨床試験を目指しているという。iPS細胞を利用して腎臓を再生するのだという。iPS細胞から腎臓の元になる細胞を作り、ここに豚の胎児からの腎臓へ成長する指令を出す細胞を使って、人間の腎臓を作るのだという。そうして出来た腎臓を体内に移植して成長させるのだとのこと。実際にラットやマウスによる実験では尿が排出されるところまで確認しており、猿での実験を進めているという。

 

 以上、腎臓について。私も危険群なんで注意は必要です。糖尿病の最終的な合併症で怖い物の一つがこの腎不全です。さらには眼底出血による失明、末梢血管の損傷による手足の壊死など、糖尿病はまさに生きながら身体が死んでいく病気です。

 ところで番組冒頭で西尾由佳理氏がコロナで陽性になったとのテロップが出てましたが、実際にニュースでも報道されているようです。1月末に発熱して検査をしたら陽性だったとのこと。現在は回復しているとのことですが、隔離中でしょうか。なお今回の番組は1月16日収録とのことなのでその前です。今後は西尾氏が出ないかリモートの回もありそうです。まあ私なんかとは違って、まだお若いですし健康そうですので大丈夫でしょう。それにしてもコロナも想像以上に市中に蔓延しており、東京なんてどこで感染しても不思議でない状態のようです。実際に家にこもってスーパーと往復しているだけの人でも感染したという話があるとか。それだけ感染性が高いのに普通の風邪ではないというところが怖いところです。

 

忙しい方のための今回の要点

・腎臓は寿命に直結する臓器である。
・腎臓の機能には赤血球の数のコントロールがあるので、腎臓の機能が低下すると貧血などの症状が出、それが心臓に負担をかけるので心筋梗塞や脳梗塞につながる。
・また腎臓では糸球体で血液の老廃物を漉し取って尿を作る。
・糖尿病や高血圧は糸球体の血管を傷つけることで腎機能の低下をもたらす。
・腎機能が低下するとタンパク尿が出るようになる。タンパク尿は泡が出やすい特徴を持つ。これにむくみが加わると腎機能低下の可能性が高い。
・腎機能がさらに低下すると慢性腎臓病となり、最終的な症状は腎不全となる。こうなると血液中の毒素が体中を回る尿毒症で命に関わる。目下のところは治療は人工透析ということになる。
・現在iPS細胞を用いた腎臓の再生医療の研究も進んでおり、2020年代に臨床試験が行われる予定である。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・とにかく腎臓は再生が出来ないということが怖いところです。高血圧も糖尿病も患者数が多いので、その悪化から腎臓病につながる例が多いようです。人工透析は継続的に行う必要があるので、災害発生時などによく問題となります。
・西尾由佳理氏の元気な復帰をお待ちしたいところですね。私は彼女の日テレ時代からのファンですので。

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