教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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番組リスト

2/21 TBS系 世界遺産「世界最大級!カナダ極北の国立公園」

北米最大の国立公園

 カナダのウッドバッファロー国立公園は夏と冬で表情を一変させる。夏に白・緑・赤が入り乱れた湿原は、冬になると白一色の大地となる。


『世界遺産』2/21(日) ウッドバッファロー国立公園 〜 世界最大級! カナダ極北の国立公園【TBS】

 

夏になると三色に染まる大地

 ウッドバッファロー国立公園は北米最大の国立公園で九州がスッポリ入る広さがある。ここの湿原は夏になると赤・白・緑の三色で塗り分けられるのだが、この白は実は塩の結晶の色だという。地下水から析出した塩である。そして赤はレッド・サンファーという塩に強い赤い植物である。夏から育ち始めて秋になると大地を真っ赤に染め上げるという。

 この地は実は3億9千万年前には海だったという。石灰岩が隆起した地形なので、雨で浸食されて地面が陥没することで出来たシンクホールと呼ばれる湖が存在する。さらにはこのシンクホールが合わさることによって大きな湖も出来ている。そこにはエメラルド色の水辺が広がる。

 

バイソンなど貴重な生物の住処

 しかしこれが冬になると凍り付いた真っ白な風景となる。そんな大地に棲息しているのが、北米最大の動物であるウッドバイソン。かつてはウッドバッファローと呼ばれており、それが国立公園の名となったという。200年前までは北米大陸に6000万頭いたが乱獲で激減、彼らを絶滅から救うために作ったのがこの国立公園である。

 10月から凍り始め、11月には一面氷の大地なる。その大地に時々巨大な石が転がっているのだが、これはかつて氷河に削られて運ばれた迷子岩と呼ばれる岩が、ここに残されたのだという。

 静まりかえった雪原の中をバイソンの群れが移動していく。するとそれを追いかけて25頭ほどの狼の群れが移動する。狼はバイソンを1頭仕留めると、数日間群れ全体の餌が賄える。狼は集団でバイソンの群れを崩して、はぐれた一頭のバイソンを狙い撃ちにするのだという。こうしてオオカミは生き延びてきたのである。

 夏になるとこの地にはビーバーが現れる。ここには全長850メートルという世界最長のビーバーダムも存在する。ビーバーはこのダムで水位を上げて、巣の入口を水中に沈める。草食の彼らは食料となるポプラの木を集め溜め込む。こうして集めた枝でダムや巣を作るのだという。

 また夏の湿原ではアメリカシロヅルも飛来し、ここは貴重な繁殖地となっている。このような貴重な生態系からここは世界遺産に認定された。

 

忙しい方のための今回の要点

・カナダのウッドバッファロー国立公園は北米最大の国立公園である。
・冬になると雪と氷に覆われる大地は夏は緑・白・赤に染まる。白は塩の結晶の色で、赤は塩分に強いレッド・サンファーという植物によるものである。
・ここはかつては海の中であり、石灰岩が浸食によって陥没したシンクホールという湖もある。
・この地には乱獲によって激減したウッドバイソンが棲息しており、彼らのかつての名であるウッドバッファローが国立公園の名となった。
・さらにここにはそのバイソンを狩って生きているオオカミも棲息している。
・夏になるとビーバーなども現れるが、ここには全長850メートルの世界最長のビーバーダムが存在する。
・またアメリカシロヅルの繁殖地でもあり、これらの貴重な生態系から世界遺産となった。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・バイソンってとにかく無駄に乱獲されましたから、本当に絶滅寸前まで行っちゃったんですよね。食べるという目的よりも、単に楽しみとしての狩りの対象にかなりされたといいます。さすがにこの辺りは野蛮なアメリカ人。

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