教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

3/3 NHK ガッテン「75年の物語 近視の研究者が私たちに警鐘を鳴らす!SP」

失明につながる危険のある近視

 今回のテーマは放置すると失明につながる危険がある病的近視。眼球が変形してしまうといういわゆる眼軸性の近視から発症するという奴で、眼軸近視については以前にNHKスペシャルで紹介されている。

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病的近視を発見した三人の眼科医のリレー

 まず番組ではこの近視が発見されることになった歴史を紹介している。これは三人の眼科医のリレーで発見されたものだという。

 今までは近視の原因は水晶体を調節する筋肉の働きが悪くなるためといわれていたのであるが、1951年に大塚任教授が発見した近視のメカニズムは、近くのものを見ようとするときに眼球の奥行きを伸ばす場合があるというものであった。これは伸びてしまうと戻らないというのである。長時間近くのもの見ることが多いとこういうことが起こるという。

 その大塚氏の研究を引き継いで、このような近視が危険な病気に結びつくことを発見したのが所敬氏である。強度近視外来で彼が遭遇した患者の中には、映像が波打つとか、暗くなると何も見えない、視野が欠けるなどの症状を発症する者がいることが分かった。これらは病的近視と言い、眼軸が伸びた上に眼底がさらに変形して突出するような形になっていると言う。この状態になると黄斑変性や網膜剥離、緑内障などが出ることがある

 そして所氏の元でこれらの治療の研究を引き継いだのが、大野京子氏である。大野氏によると病的近視は遺伝の要素が強いという。診断についてはOCTという機械で測定できるようになっているという。

 

治療法とセルフチェック法

 治療法については注射、目薬、手術などがあるという。注射は抗VEGF薬というのを注射して新生血管の活動性を低下させることで黄斑変性などを防ぐのだという。目薬は緑内障のもの。そして網膜剥離をしてしまった場合には手術となる。なお膨れてしまった眼球は戻らないので、それが悪化しないようにする治療法は現在研究中とのこと。予防のためには眼球に圧をかけないことが重要という。

 最後はセルフチェック法。10センチ四方の紙に5ミリ間隔のマス目を描き、中央に黒い点を打つ。これを片目を閉じた状態で30センチ離して中央の点を見た時、マス目が歪んで見えたり、一部が欠けたり、中央が暗く見えるなどの症状が出ないかをチェックする。これが出たら眼科で精密検査である。

 さらに以下のチェックも行う 1.柱や床が歪んで見える 2.暗い場所に入ると見えなくなる 3.目の前に飛ぶものが見える 4.夜間の運転時に対向車が見にくい 5.段差が分からずに転びそうになる 6.歩いていて人や物にぶつかる 7.何もないのに光が見える 8.標識が見づらい これらの項目にチェックがあると要注意である。1つでも該当すれば眼科で精密検査である。ちなみに私は3が出たので眼科で精密検査を受けたところ、老化に伴う飛蚊症と言うことで経過観察となった。

 

 以前のNHKスペシャルは今回の病気の前段階である眼軸近視までの段階でしたが、この番組ではそこからさらに一段階進んだ病的近視の段階のものを紹介している。だから根本的な予防としては前段階の眼軸近視を防ぐと言うことになる。

 私もかなり強い近視であり、眼軸については測定したことはないが、多分伸びているだろうとは思う。ちなみに私は私は視界が歪むということは経験したことはないが、うつぶせ寝になっていて眼球が圧迫された結果、目を開けたときに何も見えないという状態になったことは何度かある。これは一時的な血行不良が原因のようで、しばらく放置すると間もなく回復したが、これは眼球にとっては間違いなく悪いことだろうとは思っている。

 なお今回の番組に登場した所敬氏はガッテンにも2度出演したことがあるとのことで、2003年の時の映像が登場している。この時志の輔氏の頭がまだ黒々としているのが印象的だが、さらに小野アナが滅茶苦茶若くてツヤツヤしている(この時、小野アナは35才)。そう言えば私が番組で小野さんにお会いしたのがまさにこの年代で、確かにあの時の小野さんと言えば思わず目を奪われるぐらいお美しかったな・・・。はるか昔の思い出です。

 

忙しい方のための今回の要点

・近視によって眼球が奥に伸びるタイプの近視が存在する。
・このような近視の場合、眼球がさらに奥に出っ張るように変形する場合があり、これが病的近視である。
・このような病的近視は黄斑変性、緑内障、網膜剥離などの病気につながる危険があり、最悪の場合には失明に至る危険がある。
・今は眼球の奥行きは眼科でOCTという装置で測定することが可能である。また黄斑変性には注射、緑内障には目薬、網膜剥離には手術などで対応する。
・悪化を阻止するには早期発見が重要であり、視野に歪みや欠けなどがないかのチェックが重要となる。
・眼球の変形は近くを見すぎることが原因となるので、日頃の生活習慣も重要である。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・眼に関しては私もかなり酷使しているので不安はあります。何しろ本業がずっとPCに向かっている作業で、家に帰ってからもずっとPCに向かっているので、およそ寝ている時間以外はずっとモニターを凝視です。これで目に良いはずなどありません。とは言っても、PC作業をしないというわけにもいかないのでそれが頭の痛いところ。せめてモニターに近づきすぎないようには気をつけてますが(一応手を伸ばしてもモニターに当たらないような距離で作業をしている)。

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