教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

3/7 TBS系 世界遺産「300年現役!オランダ 風車の絶景」

オランダの巨大風車群

 オランダと言えば風車のイメージがあるが、今回の世界遺産はキンデルダイクの風車群。ここには19台の巨大風車が残っているという。


『世界遺産』3/7(日) キンデルダイクの風車網 〜 300年つづく 風車の絶景【TBS】

 そもそもこの風車は18世紀の半ばに築かれた。目的は治水のためで、排水に風車が使用されているのである。粉ひきなどに使用されていた風車を転用したのである。かつてはオランダ各地で1万台以上が稼働していたという。今ではキンデルダイクほどのまとまった台数が残っているところはないという。

 

風車が作ったオランダの国土

 風車の高さは18メートル。6階立てのビルに相当する。土地の方が運河より低いので、風車で水を汲み上げて運河に流しているのだという。1基で1万リットル/分で排水する。25メートルプールの水なら19基の風車で2分程度で排水できるとのこと。

 キンデルダイクは元々は湿地帯を干拓して村に変えたのだという。湿地を堤防で囲んでから水路で水を排水。地盤が低下するのでその水を風車で排水するのだという。オランダの国土の1/4は干拓地で北海に面して広がっている。大規模干拓地であるベームステルも世界遺産となっている。ここの面積は山手線内側よりも広い72平方キロ。元々は浅い湖だったという。400年前に風車を使った最も古い干拓地である。ここでは野菜や果物を育て8700人が生活している。この干拓地に広がったもう一つのものがチューリップ。

 一方キンデルダイクは湿った泥炭地なので牧草を植えて牛を飼っている。この牛の乳を使用してゴーダチーズが作られている。

 

時代の主力は代わっても未だに守られる風車

  キンデルダイクの風車の一台一台には風車守と呼ばれる人がいる。朝になると風の方向に向けて風車を回転させる。向きが決まると羽根に帆を張る。これは帆船の技術が使用されているという。風車の向きは風向きが変わる度に微調整している。風車守は風車に住み込んで風車の維持を行っている。

 19世紀に1万基を越えていた風車も現在は1200基が残るのみ。しかし今でも水との戦いは続いている。湖岸の町レマールには世界遺産のヴァウダ蒸気ポンプ場がある。ここでは風車に代わって石炭を燃やした蒸気で水を汲み上げているのだという。今は動力は電気に代わったがポンプは健在である。またキンデルダイクにも今は電動ポンプが排水を行っている。風車の100倍もの水量を排水できる。しかし風車ももしもの時のために残されたのだという。世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作ったと言われている。

 

忙しい方のための今回の要点

・オランダのキンデルダイクには19基の巨大風車が今も稼働している。
・この風車は干拓地の排水のために使用されている。
・オランダでは湿地を堤防で囲って水の侵入を防ぎ、内部の水を水路で排水、地盤が低下するので風車でさらに水を排水するという方法で干拓地を広げてきた。国土の1/4は干拓地であると言う。
・400年前に作られた最も古い干拓地であるベームステルも世界遺産で、ここではチューリップも栽培されている。
・キンデルダイクは泥炭質のため、牧畜が行われており、ゴーダチーズが製造される。
・今では排水の主力は電動ポンプに代わっているが、風車もいざという時に使用できるように維持されている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・オランダと言えば風車にチューリップですが、両方登場しました。オランダはオランダ人が作ったと言ってましたが、確かにかなり人工的な土地です。浅瀬に杭を打って作ったヴェネチアみたいなものですね。

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