教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

4/21 NHK ガッテン「食べる喜びを取り戻す!謎の3分ストレッチ」

飲み込みの悪さの原因と姿勢の問題

 老化してくると現れやすいトラブルに「飲み込みにくい」ということがある。実際に高齢者ではこれが上手く行かないせいで誤嚥性肺炎を起こし、時にはこれで命を落とす場合さえある(つい本日も、チャーリー浜氏が誤嚥性肺炎で死去したという報が伝わったところである)。これをたった3分のストレッチで改善できるというのである。

 番組にはまず飲み込みの悪さで困っている人たちが登場する。ワンタンを飲み込むのにさえ水が必要という人や、昔はビールを一気飲みしてたのに、今は一口ずつしか飲めないという人が登場。

 では飲み込みが悪くなっているというのがどういうことが起こっているかを、実際に体験する方法があると言う。それは水を飲む時にあごを突き出して前屈みになってみたら分かるという。この姿勢を取ると飲み込みに全く問題のない人でも覿面に飲み込みが困難になる(既に飲み込みに問題のある人は絶対にしないように)。これはこの姿勢を取ると舌が下に落ち込むため、口の中と舌の間に空間が出来、舌が上手く口の中のものをまとめられなくなるのだという。

 

飲み込みに関係する「舌圧」

 この舌の能力を調べるには舌圧というものを測定したら分かるという。これは舌が口の上を押し付ける時の圧力。これは大体平均で37キロ前後らしいが、ゲストで飲み込みが悪くなっているという久本氏の場合は30キロ以下で平均よりもかなり低い値が出ている。

 つまりは食事中の姿勢が悪くなっていることが舌圧を下げて飲み込みを悪くしているということであるが、姿勢に気をつけてと言っても、実際にはどうしても姿勢が悪くなりがちである。番組でも「姿勢に気をつけるように」との指示を出して実際に実験をしているが、被験者は2分もするといつもの猫背の姿勢に戻っている。だから単に姿勢に気をつけると言うだけではなかなか難しいようだ。

 

飲み込みを改善する3分ストレッチ

 ここまで前ふりがあったところで今日の肝であるストレッチが登場するのだが、番組ではここでさらに引っ張る。先ほどの飲み込みで苦労している方にこのストレッチを体験してもらったところ、ワンタンを飲み込むのにも苦労していた人が、本人も「えっ、不思議」と言うぐらいスムーズにご飯などをグイグイ飲み込んでおり、先ほどビールを一口しか飲めなかった男性も、グラス半分を一気飲み。それどころか誤嚥性肺炎を患って鼻から栄養を入れる状態になっていたという高齢者まで、リハビリにこのストレッチを取り入れると、1ヶ月後には普通にご飯が食べられるように(ノンアルコールビールを飲んだ時の幸せそうな顔がまた)。

 さて散々気を持たせた挙げ句に登場するストレッチだが、それは足のももの裏側の筋肉を伸ばすというもの。思わず「えっ?」なんだが、実はこのももの裏の筋肉が遠く舌まで影響しているのだという。と言うのは、ももの裏の筋肉が硬くなると、骨盤が引っ張られ、それが胸骨を引っ張り、そこにつながっている舌を下に引っ張るのだという。ももの裏の筋肉を伸ばすと、骨盤が手前に立ち上がり、そうなることで姿勢全体が起きるような感じになって、舌も動かしやすくなるらしい。

 実際に10人で実験をすると、このストレッチによって10人中9人の方が大幅に舌圧が上がるという結果が出た(効果のなかった1人の人は、元々平均よりも舌圧がかなり高い人だった)。

 

ストレッチによって食事姿勢が良くなっている

 この方法を発見した方は理学療法士で、腰やら背骨やらの全体を見ている内に、骨盤が喉仏などの喉周りと連動することに気づいたのだという。現在、嚥下障害などに取り組んでいる歯科医師なども注目している方法だという。

 ストレッチの方法は椅子などに座って片足を手前の台に乗せ、足の裏をやや起こすような感じにしてももの裏を伸ばし、そらに腰を手前に起こすようにするのだという。これを30秒ずつ片足に付き3回、合計3分のストレッチを食事前にするのだとか。

 実際にこのストレッチをした時の座った姿勢の変化を実験で確認しているが、被験者全員が骨盤の角度が変わるという結果が出ており、ストレッチの効果によって座る時の姿勢が良くなっていることが判明した。これが舌圧を上げることにつながり、飲み込みを改善しているのだという。

 食事の際の飲み込みの姿勢というのは重要であり、脳出血などで身体に麻痺が出た患者などのリハビリなどでも、なるべく飲み込みをしやすい姿勢に身体を調整することで、飲み込みを改善してリハビリにつなげるなどの治療も行われているとか。自分の口で食べ物を食べるというのは、生きていく気力にもつながるので実に重要であるという。

 

 以上、飲み込みを改善するストレッチ。実のところ、私も既にたまに飲み込みが怪しいことを感じていたのだが、どうやらこれは私の食事中の猫背な姿勢が影響していたようである。気をつけたいところである。なお私の父がもろに飲み込みが悪く、食事の度に必ずむせており(飲み込みが悪いのに早食いのクセがあるせいである)、実際に一度誤嚥性肺炎で入院している。是非とも明日から実践させてみたいと考えている。

 それにしても舌と足のももの裏がつながっているというのには驚いた。さすがに理学療法士の発想である。やはり身体はすべてつながっており、どこかが狂うと全体がおかしくなるということをよく示している。そう言えば歯の噛み合わせが狂っただけで姿勢がおかしくなり、それが頭痛などにつながるという話も以前にあったっけ。人間の身体というのは想像以上に精密機器のようだ。

 

忙しい方のための今回の要点

・飲み込みが悪い人は、舌が下に落ち込むことで食べ物をまとめるのに必要な舌圧が低下していることが多い。
・下が落ち込む原因は食事の際の姿勢の悪さにあるが、単に気をつけるだけでは姿勢は改善しにくい。
・そこで足のももの裏の筋肉を伸ばすストレッチを行ったところ、舌圧が向上して飲み込みが劇的に改善した。
・これは足のももの裏の筋肉が硬くなると骨盤が引っ張られ、さらにそのことによって下がつながっている胸骨が下に引っ張られるので、それを解消するのだという。
・ストレッチは片足ずつ30秒×3回。この時に骨盤を前に起こすことを意識する。


忙しくない方のためのどうでもよい点

今回は本当に驚いた。こんな方法があるとは私も初めて聞いた。早速試してみたいところである。こういうすぐに使える重要情報というのはまさにこの番組の真骨頂である。

前回のガッテン

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