巨大クレーターの中の楽園
アフリカタンザニアのンゴロンゴロ保全地域は巨大なクレーターである。直径は19キロ。この中に2万5千頭の野生生物が棲息する。
標高2400メートルの外輪山に覆われたンゴロンゴロの中の面積は山手線の4倍。マサイの言葉で大きな穴を意味するという。クレーターの内側には巨大な湖に湿地や森などの環境が広がる。そして最も広いのが草原である。ここには多くの草食動物が暮らす。絶滅の恐れのあるクロサイなどもここで生きているという。
ンゴロンゴロのそばには大地の裂け目である大地溝帯が存在する。ここでは激しい火山活動も起こっている。レンガイ山という巨大火山がンゴロンゴロの近くにある。ンゴロンゴロも火山活動で生まれた。標高5000メートル級の火山が崩壊して巨大クレーターが生まれたのだという。
クレーターに暮らす肉食獣に山を登る象
このクレーターの中ではチーターやライオンなどの肉食獣も生活している。彼らはこのクレーターの中で一生を終える。また湿地にはカバが開いた獣道なども存在しているという。ンゴロンゴロの湖は乾期でも涸れない。この水は動物たちだけでなく、渡り鳥にとってもオアシスとなっているが、この水は外輪山にぶつかった雲による雨によるという。これが地中に染み込んで麓に湧き出すのだという。
強アルカリ性のマガディ湖は火山成分による強アルカリ性のために魚が住めないが、ここにやって来るのがフラミンゴ。彼らはここに棲息する藻類を食べ、その色素で身体が赤くなる。
クレーターの中には象の群れがいる。彼らは大人のメスと子供たちの群れで、彼らは森を目指して移動している。一方標高2400メートルの外輪山山頂で意外にも象に出会う。彼らはオスの象で、脚力が強いので斜面を登ることが出来るのだという。山頂には餌が豊富だからやって来るのだという。そして時に山を下りて繁殖を目指すのだとのこと。
忙しい方のための今回の要点
・ンゴロンゴロ保全地区は直径19キロの巨大なクレーターの中に野生生物の楽園が広がっている。
・このクレーターはかつて5000メートル級の巨大な火山が崩壊することで誕生した。
・内部には湖や湿地に森林などの環境が広がり、広大な草原には様々な草食動物が棲息、また彼らを餌とする肉食動物も棲息する。
・巨大なマガディ湖は火山成分のせいで強アルカリ性で魚が住めないが、フラミンゴはここで棲息する藻類を食料としている。
・またオスの象は周囲の2400メートル級の山の山頂まで餌を求めて登ってくるという。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・クレーターと言うから隕石の衝突によるものかと思えば、火山によって生成したものだった。しかしこれって、正確にはクレーターでなくてカルデラなのでは?
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