教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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番組リスト

5/23 TBS系 世界遺産「断崖絶壁に巨大な滝!アマゾン大秘境」

アマゾン奥地の秘境の台地

 アマゾン奥地にある断崖に覆われた巨大な大地。ボリビアのノエル・ケンプ・メルカード国立公園が今回の世界遺産。発見されたのはわずか100年前だという。大地を流れる川の先には絶壁を流れ落ちる巨大な滝があり、やがてその水は大河アマゾンに注ぐ。


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 アマゾンの支流であるイテネス川を遡るとテーブルの末端が見えてくる。標高1000メートルのカパル大地の面積は栃木県がスッポリ入るほどだという。台地にはわずかに起伏があり、くぼんだ部分は川である。その先はアルコイリス(スペイン語で虹の意)と呼ばれる滝がある。実際に落差88メートルの滝の水しぶきで虹が架かる。雨期の終わりの1ヶ月程度の間だけ見られる光景だという。乾期になると一転して流れ落ちる水はわずかとなる。12月頃から雨が降り始めて、4ヶ月ぐらい経った頃が一番水の量が増えるのだという。

 カパル大地から流れ出た水はいくつもの滝を経て麓に流れ着く。麓ではジャングルが氾濫した水に没する光景が見られる。水深は最大で2メートルにもなり、この水はイテネス川に流れ込む。

 

砂岩の台地が生んだ豊かな生態系

 イテネス川には海にいるはずのイルカが棲息する。アマゾンカワイルカは元々は海のイルカが淡水に適応したものだという。川の中は濁っているため、目は退化して超音波で獲物を見つけるという。野生動物の宝庫である流域にはカピパラの姿も見られる。彼らは泳ぎが得意で5分近く潜ることも出来るのだという。川岸に巣のあるオオカワウソはかなり警戒心の強い動物。彼らは川で魚を捕って暮らしている。全長2メートル40センチになるオオカワウソは毛皮目的の乱獲で数を減らし、ここは数少ない楽園となっている。

 20世紀の初めにイギリスの探検隊によってこの地は発見されたが、そのまでは地図上の空白地帯だったという。7時間かけて登った崖の上の頂きには、無数の巨岩が転がっている。まるで積み上げたような石は、脆い部分が風化して残ったものだという。この岸壁は砂岩で出来ている。河口に堆積した土砂が砂岩となり、それが隆起して浸食され、硬い部分だけ残ったのだという。地層が水平に隆起したので頂上が平なのだという。台地の一部が孤立して塔になった地形なども近くに存在する。この塔もやがては浸食されて平地となるはずである。

 

忙しい方のための今回の要点

・アマゾン奥地のボリビアのノエル・ケンプ・メルカード国立公園は1000メートルの断崖上の台地である。
・雨期にここから流れ出した水は、滝を落下してアマゾン川の支流であるイテネス川に注ぎ込む。
・流域は野生生物の宝庫で、アマゾンカワイルカや、オオカワウソなどの特徴的な生物が棲息している。
・断崖は砂岩で出来ており、かつて河口に蓄積した土砂が砂岩化したものが、隆起し、弱い部分が浸食されて残った地形であると言う。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・本当に外国には日本では考えられないような地形が多々あるものです。もっとも日本では立川や黒部に行けば、本当に日本なのかと驚くような地形がありますが。

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