教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/6 TBS系 世界遺産「絶景!オーストラリア200キロの湾」

オーストラリアの孤立した湾

 今回の世界遺産はオーストラリア西岸にあるシャーク湾。長野県に匹敵する面積の中に多彩な海岸が存在する。


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 インド洋の荒波から高さ200メートルの断崖で守られた半島の東側がシャーク湾になる。崖はここに強風のために衝突して難破した船の名からズイトドープの断崖と呼ばれている。この断崖に守られた湾の内側は風景が一変する。

 シェルビーチという白い貝殻に覆われた砂浜が60キロも続く。大きさ1センチほどの二枚貝が4000年をかけて10メートルも積もったという。湾の奥は塩分濃度が高くて天敵が住めないために二枚貝が大繁殖したのだという。

 

孤立環境で生きる独自の生物たち

 シャーク湾の真ん中に伸びる真っ赤なペロン半島は、高さ20メートルの真っ赤な断崖に覆われている。これは砂岩に含まれる鉄分が酸化したものだという。ペロン半島では海水が陸地に入り込んだ風景が見られるが、これがラグーンである。ここは潮の満ち引きで姿を変えることになる。内陸部に向かうと白くて丸く区切られたビリダスと呼ばれる土地があるが、ここはラグーンが干上がった場所で、白い色は塩の結晶だという。ここでは塩に強い植物だけが繁殖する。この地には固有のワラビーが棲息している。孤立したペロン半島は原始的な有袋類が多いという。

 シャーク湾にはイルカやマンタなどが回遊している。300種の魚類が棲息し、ウミガメの産卵地でもある。そしてここには人魚伝説の元になったといわれるジュゴンが1万頭暮らす世界最大の棲息地である。海草を食料とする彼らにはここは絶好の住処だという。元々陸上の草が水中に入った海草は水深9メートルと浅いこの海は格好の繁殖地であるのである。

 湾の奥では塩分濃度が高いために塩田が作られている。塩分濃度が高くて晴天が多いこの地は塩田に格好の土地である。さらに奥のハメリンプールでは地球最古の生物であるストロマトライトが発見されて話題となった。ストロマトライトは鉱物のように見えるが、これはシアノバクテリアが積み重なって出来たものであるという。23億年前に生まれた地球最古の生物で、光合成をして生きている。彼らが作り出した酸素が地球の環境を変えたのだった。塩分濃度が高くて天敵が住めないことでここに生き残ったのだという。

 

忙しい方のための今回の要点

・オーストラリアの西海岸のシャーク湾は多彩な海岸のある独得の地形である。
・半島で守られた湾の中は波は穏やかで水深が浅い。ここにはシェルビーチと呼ばれる二枚貝の貝殻が積もった白い海岸があるが、塩分濃度が高くて天敵が住めないことで二枚貝が大量発生したのだという。
・湾の真ん中にあるペロン半島は、砂岩の鉄分が酸化した真っ赤な半島である。ところどころ海水が入り込んだラグーンがあるが、これが干上がるとビリダスと呼ばれる白くて丸い土地になる。ここは塩分が非常に多いために塩分に強い植物しか繁殖出来ない。また孤立したこの地には原始的な有袋類が生き残っている。
・シャーク湾にはマンタやイルカなどが棲息しているが、ジュゴンの最大の棲息地でもある。ここは海草が多いために、それを餌とする彼らにとっては格好の住処である。
・湾の奥はさらに塩分濃度が高いために塩田なども作られている。湾の最深部では23億年前の原始生命であるシアノバクアリアが積み重なったストロマトライトが発見されて話題となった。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・オーストラリアというのは大陸丸ごとが孤立しているようなものなので、そもそも原始的な独得な生物が多いのですが、そのオースラトリアの中でさらに孤立している地域ですから、さらに特殊な生き物が多いようです。実に貴重な環境ですね。

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