教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

7/21 NHK 歴史探偵「天下人の野望 佐渡金山」

日本最大、世界でも有数だった佐渡金山

 今回のテーマは、日本で最大の金山だった佐渡金山。ここは天下人達の野望の元ともなり、歴史に大きく影響を与えている。

 佐渡を訪れるとザックリと切り込みの入った山が存在するが、それは金の採掘のために手で掘った跡である。深さは74メートルもある。佐渡で金が見つかったのは江戸時代の初め頃、最盛期には日本の金の大半を掘りだしたという。多くの坑道が残り、その総延長は東京-大阪間に匹敵する400キロもあるという。

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巨大な露天掘りの跡である道遊の割戸

 

佐渡金山を開発した男

 番組では実際に坑道を調査している。400メートルのこの坑道は味方与次右衛門が掘ったものだという。佐渡の山師のグループのリーダーで、彼は一山当てるべく現在の価値で15億円をつぎ込んで鉱山開発に挑んだという。

 金の鉱脈を見つけるには銀黒と言われる筋を見つける必要があるのだが、当時は照明が非常に暗かったので目で見つけるのは困難であり、山師は音で判断したという。鉱脈はほんのわずか音が高いのだという。

 また坑道を掘り進むには地下水の浸水の問題がある。味方はそれを防ぐために坑道に0.5度の傾斜をつけて水が自然に排出されるようにしているのだという。また坑道内部で問題となるのは酸欠。これを防止するために坑道と平行にもう一本の通路を掘り、2本のトンネルで坑道内が換気出来るようにしていたという。かなりの技術が投入されているのである。

 そして苦労の果てに10年後に巨大鉱脈を発見したのだという。その鉱脈は明治になってから最新の技術でさらに掘り広げられ、今では巨大な空間となっている。この成功で味方は投入した資金よりもはるかに巨大な収益を得たという。

 なお採掘の労働環境は実に過酷なので、大抵は3~5年ぐらいで亡くなったとのこと。ブラックなんてレベルじゃない。

 

秀吉の軍資金となった佐渡の銀

 なお佐渡では金よりも先に銀が掘られていたという。この銀を支配していたのは上杉景勝であるが、その背後には豊臣秀吉がいたという。当時は銀は国際通貨であり、鉄砲などを海外から購入するには銀が不可欠であったという。つまりは銀を制する者は天下を制するのである。戦国時代の日本は空前のシルバーラッシュで、当時の日本は世界の銀の産出量の1/3を占めたという。

 秀吉が朝鮮出兵を行った時には、その軍事費のために銀の採掘を行うように景勝に命じた文書も見つかっているという。秀吉の天下統一の原動力となったのは佐渡の銀であるわけである。

 

徳川幕府を支えた佐渡金山

 江戸時代になると主役が金へと変わる。そしてこの金が家康の野望を支えることになる。家康は金を基本通貨にすることで経済の発展を目論んでいた。しかし大きな問題が発生。佐渡の金鉱石が固すぎるために金を取り出すために細かくすりつぶすことが出来なかったのだという。

 しかしそれを技術革新が解決する。佐渡で巨大な石臼を使用して固い鉱石をすりつぶす技術が開発された。これは当時の世界最先端の技術だったという。こうして佐渡では石臼を並べて金の量産体制に入る。これらが小判へと作り直され、これが幕府の繁栄を支えることになる。さらに金は蒔絵などの工芸品技術をも発展させることになる。

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復元された当時の精錬所

 以上、佐渡金山と天下人の野望との関わりについて。例によって佐渡を取材するなど積極的な内容なんですが、肝心のネタ自体が相変わらず面白くない。と言うか、今更新たに知ることもない内容。正直なところ、今回出て来た内容はすべて「うん、知ってた」で終わりである。

 

忙しい方のための今回の要点

・佐渡の金山が発見されたの江戸時代の初期。最盛期には日本の金の大半を掘りだした。
・佐渡の坑道には排水や換気のための工夫がなされている。しかし採掘労働は過酷で、大抵3~5年程度で亡くなったという。
・佐渡では金よりも先に銀が発掘されており、戦国時代には銀が国際通貨であったことから、各地で銀の採掘が増加していた。佐渡の銀は上杉景勝を通して秀吉の資金源となり、朝鮮出兵の費用も佐渡の銀で賄われた。
・江戸時代になると金の採掘が本格化、技術革新もあって大量の金が産出されるようになる。家康はその金を使って小判を鋳造し、貨幣経済を発展させた。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・佐渡は今まで一回だけ行ったことがありますが、観光資源が佐渡金山と重伝建の宿根木とトキ保護センターぐらいかなという感じでした。佐渡金山は確かに一見の価値はありますが。私は生野銀山とか、石見銀山とか、結構鉱山の類いも見学に行ってるんですよね。

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