教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

8/20 テレ東系 ガイアの夜明け「旅の常識が変わる!人気は「ずらす」「秘境」「動く宿」」

コロナ禍に対応した新しい旅行の形

 コロナ禍の影響で通常の旅行がしにくくなったご時世であるが、そんな中で新しい旅行のやり方を模索する動き・・・とのことなんだが、何かこのタイトルを見たら私が連想したのは「ハウルの動く城」。

     
まんま「動く宿」です(笑)

 

JR東海が提案する「ずらし旅」

 毎週末近場を歩き回って身近で旅行気分というのを発信しているのはリーマントラベラーを名乗る東松寛文氏。彼は今まで週末に海外などを飛び回っていたそうだが、コロナ禍で一転して近場の発掘に動き出したという。彼は現在、JR東海が行っている「ずらし旅」という企画を紹介するページのアドバイザーをしているとか。

 JR東海の「ずらし旅」というのは、混雑する場所や時間を避けて密を避けた旅行をしようという企画だという。例えば混雑する昼を避けて夜の飛騨高山を巡る人力車ガイドツアーとか、奈良で空いている駅で降りてシェアサイクルで回るとかいうものだという。コロナ終息後もこれが新しい旅のスタイルとして行えるのではという提案である。

 そのJR東海が目をつけているのが愛知でのずらし旅。京都・大阪よりも観光客が少ないエリアに客を呼ぼうという考えだという(名古屋周辺で動き回ってもらった方がJR東海が儲かるという計算も当然あるだろう)。そこでJR東海の担当者と東松氏がずらし旅の候補地を視察する。飯田線の無人駅の三河川合駅から山の中を歩くこと30分でたどり着く乳岩峡、知る人ぞ知る秘境。さらに登り続けること40分、ひんやりとした絶景の鍾乳洞などを回る。このひんやりがキーワードで、この夏はあいち冷やし旅というのを企画しており、名古屋のホテル(ウェルビー栄)にある凍てつくアイスサウナなどを用意していた。そして今、秋以降の企画を考えている最中とのこと。中国の観光サイトを利用して情報を集める。今時は日本人よりも中国人の方が余程マイナーなところを回っているとか。その結果、常滑の巨大招き猫や南知多の伊勢神宮に海を挟んで向かい合う鳥居などのずらしポイントを発見する。

 

コロナ禍が呼んだキャンピングカー人気

 コロナ禍が追い風となって人気急上昇しているのがキャンピングカーだという。購入するとなるとハードルが高いが、レンタルキャンピングカーなどもあるという。また車中泊が出来るRVパークも今年に入って40カ所以上増えたという。秩父ではホテルの風呂が使えるRVパークがあるが、最近では宿泊客よりも多いことがあるという。

 キャンピングカーの売り上げもコロナ以降増加している。特に人気が出ているのは軽トラなどを改造した軽キャンと呼ばれる小型のキャンピングカー。価格が手ごろなのと日常使いもしやすいことが受けている。また最近は女子ソロキャンプの需要などもあるという。

 そんな中、キャンピングカーの製造販売に乗り出しているのがダイレクトカーズ社長の百田雅人氏。百田氏の会社は三重県津市にあり社員は20人。キャンピングカーの製造を始めて6年、中型や大型を作ってきたが、最近初めて軽キャンにチャレンジしたという。4月に完成したAMAHOは女性をメインターゲットにした軽キャン。女性に特化したキャンピングカーはほとんど無いことから未開拓の市場を狙ったという。百田氏は元々は中古車のディーラーだったが、リーマンショックで会社が倒産、個人で小さな中古車販売店を開いたという。転機は10年前の東日本大震災で、この時に被災者に簡単なベッドを付けたハイエースを作って納車したところ非常に喜ばれたのだという。これを彼がキャンピングカーを一生の仕事にしようと決めたきっかけだという。

 百田氏はキャンピングカーの製造工場を訪れると、関東に開く新たな店のための新たなキャンピングカーの開発に挑んでいた。それはAMAHOの男性向けバージョン製造はすべて職人の手作りによる。製造を手がける天野氏によると「自分が実際に作った車が市販車として一般道を走ることが出来るのはこの業界だけ」とのことで、それがやりがいなのだという。その天野氏の工夫によって新たなキャンピングカーの方向性が決まる。

 そして百田氏の新店舗がオープンする。体感を売りにした店舗には多くの客が訪れ、中にはAMAHOを移動販売に使いたいという客も。7月の四連休で16台も売れたという。

 

密を避けた無人島ツアー

 密を避けるとなれば無人島生活。そういうツアーを手がけている人物がいる。ツアー参加者は事前にPCR検査を受けてもらい、さらにツアー当日も抗体検査を実施する。無人島は他には誰もいないのでこれでコロナ感染の心配なく羽を伸ばせるということである。今回のツアーは参加25名、最低限の食材と道具が用意されて二泊三日のツアーで参加は1人4万1800円。参加者は一人か二人でというのが多くて、年代は様々で中には70代の人もいるという。このツアーを手がけるのはジョブライフの社長の梶海斗氏(32才)。友人と出かけた無人島との体験が忘れられなくて起業したという。

 梶氏の仕事は新しいツアー先の無人島を探すこともある。無人島の中にはかつて人が住んでいた島もあり、このツアーをきっかけに地方を活性化できればという思いもあると言う。候補の島を回ってはツアーのイメージを作る。

 そしてその島に兵庫県のサッカーチームのツアーがやって来る。混雑しているキャンプ場よりも無人島の方が密にならないので良いという。チームの子供たちは魚釣りなどを堪能する。

 

 ずらし旅というのは発想としては分かるが、行き先がズレていても、そこに向かう鉄道が混雑していたら意味がないと思うのだが。まあJR東海としては鉄道を使ってもらわないと意味がないんだろうが。そう言えば私の山城巡りも大抵は人気の全くない山道をテクテク歩くんだから、これもある種のずらし旅だな。もっとも最近はコロナで外出自体が憚られるので、完全にご無沙汰で再開にはまず体力作りから始めないといけないが。

 キャンピングカーが最近になって脚光を浴びているというのは私も聞いていた。確かにホテルをとらなくても車で泊まれるというのは機動力もあるし魅力的だ。ただこれまでそういう環境が日本ではなかなか整備されていなかったのだが、これからは状況が変わってくるかもしれない。もっともキャンピングカーでもRVパークに大勢が大挙してたら結局は密になるのだが。

 最後の無人島ツアーはある意味で少年の夢です。なぜか子供の頃ってそういうのに憧れるんですよね。私もそう言うのに対する憧れを持ちながらも、一度も経験することなく人生の半分以上を終えてしまいました。これからはさらに体力が落ちていくことを考えると、恐らく一生無理でしょう。

 

忙しい方のための今回の要点

・コロナ禍で旅のスタイルが変化しつつある。
・JR東海では混雑を避けて時間や場所をずらすという「ずらし旅」を提案している。特に大阪や京都よりも観光客の少ない愛知に力点を置いて、ずらし旅の企画を練っている。
・また最近になって注目を浴びているのがキャンピングカー。特に軽トラなどを改造した軽キャンが手軽さで人気となっている。番組ではキャンビングカー製造販売を行っているダイレクトカーズ社長の百田雅人氏に密着取材。新型車開発から新店舗オープンまでを紹介している。
・密を避けての無人島ツアーを企画しているのがジョブライフの社長の梶海斗氏。梶氏はツアー先の無人島を探しているが、このツアーをきっかけに地方の活性化にもつなげられたらとの考えもあると言う。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・とにかくコロナを避けて旅行するとなると、徹底的に個人や少人数で移動するしかないです。すると必然的に車主体で人の少ないところにということになります・・・やっぱり山城巡りかな。ただ本当に山城登るだけなら大抵は人がいないが、その後に飯食ったり風呂入ったりってところが危ないんだよな。それを完全に省いてしまったら、まるで求道者かお遍路さんのようなハードすぎるツアーになるしな。

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