教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

8/22 TBS系 世界遺産「新たな世界遺産誕生! 奄美・沖縄」

新しい世界遺産を紹介

 この度新たに世界遺産に登録されることになった奄美大島・徳之島、沖縄島北部、西表島を2回に分けて放送するとのこと。


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多くの固有種が棲息する珊瑚礁の島・西表島

 西表島は亜熱帯の島で面積は東京23区の半分ほど。島のほとんどはサンゴ礁に囲われている。島の周囲には干潟が広がり、水辺にはマングローブ林が存在する。潮が退くとマングローブの一種であるヤエヤマヒルギのタコの足のような根っこが地上に現れる。満潮時にはこの根元は小さな魚の格好の隠れ家となる。マングローブ林の間にはいくつもの川が流れ、名前がついているだけで40の川があるという。また沖縄最大の落差55メートルのピナイサーラの滝が存在する。このような滝は西表島には多数あるという。豊かな水による深い森は亜熱帯照葉樹林で、ここには珍しい生き物が暮らす。

 らせん状のつるで他の木に絡みつくコウシュンモダマ。これには巨大な豆がなり、最大の莢は1メートルを超えるという。この地域周辺の固有亜種であるカンムリワシはこの森で子供を育て、水に流れた小石によって削られたポットホールという水たまりにはオタマジャクシが。これはヤエヤマカジカガエルという全長3センチの固有種となる。

 この地に固有種が多いのは150万年以上前に大陸から切り離されたから。その後、取り残された生物が固有の進化を遂げたのだという。こんもりした甲羅が特徴のヤエヤマセマルハコガメは大陸と陸続きだった頃の生き残り。何でも食べることで生き延びたのだという。西表島周辺の小島とは1~2万年前は地続きだったという。この時代に大陸から渡ってきたのがイリオモテヤマネコ。生息数はわずか100頭ほどで絶滅が心配されている。大陸のヤマネコよりはやや小振りの体長50センチほど。

 

沖縄島のやんばるの森

 西表島よりも古い時代に大陸から分かれたのが沖縄島。ここの北部のやんばるの森が世界遺産となったこの島が大陸から分かれて600万年以上、多くの固有種が棲息する。亜熱帯照葉樹の森には固有種コバノミヤマノボタンのピンクの小さな花が咲く。そしてこの森に生きるのが飛べない鳥・ヤンバルクイナ。足を発達させたので、夜には夜行性のハブなどを避けるために木に登るという。さらにはノグチゲラに、ホントウアカヒゲなども棲息している。さらにケナガネズミは沖縄と奄美にしかいない。大陸と陸続きの頃の生き残りの日本最大のネズミで尻尾を含めると50センチほどになるという。

 西表島では夏の夜に一晩だけ咲くサガリバナが鮮やかな花を咲かせる。特に満月の夜には多くの花が咲くという。この花は湿地帯に棲息しており、受粉を終えると花は水面に落ちる。さらに鮮やかな黄緑色のサキシマカナヘビというトカゲの仲間が生きている。乱獲で絶滅が心配されたが、この周辺の島で生き延びているという。

 

忙しい方のための今回の要点

・西表島は珊瑚礁の島で、周囲にはマングローブの森が広がる。また小さな島にもかかわらず多くの川が流れており、沖縄最大の滝も存在する。
・大陸から15万年前に分かれたので、取り残された生き物が固有の進化を遂げ、多くの固有種が存在する。その代表であるイリオモテヤマネコは生息数100頭ほどで絶滅が心配されている。
・一方沖縄島は大陸から600万年以上前に分かれた。ここの北部のやんばるの森には多くの固有種が棲息する。
・特にここにしかいないのがヤンバルクイナ。肉食哺乳類がいないために飛行が必要となくなって足が進化した。夜になると夜行性のハブを避けるために木に登るという。
・西表島では夏の夜に一晩だけ花を咲かせるというサガリバナが鮮やかな花を見せる。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・こうしてみると、やっぱり沖縄諸島って亜熱帯なので本土とは根本的に生態系が異なるのを感じますね。雨が多いせいか生態系が豊かです。ただそれだけバランスが精妙で壊れやすい気もしますが。

次回の世界遺産

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前回の世界遺産

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