教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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番組リスト

8/29 TBS系 世界遺産「新たな世界遺産誕生! 奄美大島・徳之島」

亜熱帯の森林に固有種が棲息する奄美大島

 前回に続いて奄美・沖縄の特集。今回は奄美大島と徳之島を紹介。


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 亜熱帯の奄美大島は海に迫るリアス海岸で変化に富んだ海岸の内陸はほとんどが山岳地帯である。ここでは大量の雨が亜熱帯の森林を繁茂させている。巨大なシダ植物が育ち、空気は湿っている。内陸には落差100メートル以上の滝もある。年間の降水量は3000ミリにも達する。黒潮が大気の温度と湿度を上げ、それが風で運ばれて大量の雨となるのだという。

 固有種のアマミイシカワガエルが棲息し、ツツジの仲間の幻の花・アマミセイシカが小さな花を咲かせる。日本で一番小さいすみれのアマミスミレもここで生える。その中でも特に珍しい固有種がアマミノクロウサギである。耳が短く原始の兎に近いので生きた化石と呼ばれる。クロウサギは子供のために自分用とは別の巣穴を掘って授乳の時だけここに来るという。そして子供が戻ると穴を埋めるのだという。ハブなどの天敵を避けるためと考えられる。大陸から分かれたこの島では独自の進化を遂げて固有種となった。その種類は分かっているだけで800はあるという。

 

山岳地帯で生き延びた徳之島の固有種

 徳之島は石灰岩が浸食された奇岩の海岸で覆われている。鍾乳洞も内陸に存在する。海とつながっている泉の中には鍾乳洞がのびている。元々は地上にあったものが7000年前に水没したのだという。

 この時に山岳地帯で生き残った生き物たちがいる。トクノシマカンアオイは徳之島が大陸と分かれる前から棲息していた植物である。その種子は鳥や風でなくてアリが運ぶのだという。夜になると固有種のオビトカゲモドキが地を這う。トクノシマトゲネズミは高く飛ぶことでハブの攻撃をよける。ハブが山にいたことで人が山に入らず、結果として生態系が守られたのだという。

 奄美大島の春の森は繁殖のシーズン。木のうろではルリカケスがひなを育て、地上では飛ぶのが苦手なアマミヤマシギがひなを育てている。

 

忙しい方のための今回の要点

・奄美大島は島の大部分が山岳地帯で、そこは黒潮の影響による大量の降水による亜熱帯の森林が藩もする。巨大なシダ類が多いために森の中は湿っている。
・ここには多くの固有種が棲息するが、その代表的なものがアマミノクロウサギである。クロウサギは子供のための巣穴を掘り、授乳が終わると再び埋める。これはハブなどを避けるためだと考えられる。
・石灰岩の島である徳之島は多くの鍾乳洞がある。かつてこの島が水没した時に、多くの生き物が高山に逃れた。それらの生き物はこの島が大陸と分かれる前から棲息していた生き物である。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・やっぱり本土の風景とは根本的に異なるな。巨大なシダが繁茂する森林は、通常の森林ともイメージが異なり、腐海を連想する。

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