教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/13 NHK ガッテン「気にしてますか?"かむ力"脳卒中・心臓病との意外な関係SP」

かむ力が弱いと脳卒中や心臓病になる!?

 今回注目するのは「かむ力」。これが脳卒中や心臓病と関係があるというのである。今年の4月に発表された最新研究によると、吹田市で50才から79才の1547人の男女のデータを集めたところ、かむ力と4年後に脳卒中や心臓病になった人数の関係を調べたところ、かむ力が弱いほどこれらの病気の確率が増加することが分かったという。かむ力が弱い人は強い人の5倍もリスクが高かったという。

 番組では20代から70代までの100人を集めてかむ力を測定しているが、その結果は必ずしも年代で決まるわけでなく、20代と60代で平均値以下の人数は変わらなかったという(さすがに70代は多かったようだが)。ちなみにかむ力が12キロ程度の人がいたのだが、このレベルになると赤身のステーキをかみ切るのが不可能とのこと。

 さらに番組ではかむ力の弱かった人14人の食生活について調査している。その結果、彼等の食生活は基本的に柔らかいものが多いのだが、さらに問題点として脂質の比率が多いことが分かったという。総カロリーの中で脂質の占める割合は20~30%が好ましいとされているが、14人中8人がそれを越えており、中には50%越えという人も。

 結局は脂質が増えることで動脈硬化が生じ、そのことによって脳卒中や心臓病を発症したのではないかと考えられるという。脂身の多い肉の方が赤身よりも柔らかくて食べやすいので、柔らかいものを食べている内に自然に脂質の量が増加してしまうと考えられるという。

 

 

柔らかいものを好むようになるメカニズム

 ではなぜ柔らかいものを好むかだが、ここで大食いユーチューバーなる人物を実験に使用している。彼女は大量のもやしのラーメンは見事に間食していたのだが、大量のネギのラーメンは途中で食べられなくなったらしい。その原因であるが、ネギの方が噛み応えがあるので大食いしにくいのだという。さらにもやしを食べているところと、ネギを食べているところの映像を見てもらって、その時の脳のファンクショナルMRIを調べたところ、もやしの時には快感にかかわる右扁桃体が活発になっていたのに、ネギの時には反応しなかったという。彼女はネギは好きらしいのだが、かみ切りにくいことで無意識に苦手意識が出たのではとの分析(今ひとつ煮え切らないな)。

 まあとにかく、かむ力が弱いことで無意識に柔らかいものを食べ、柔らかいものには脂質が多いので動脈硬化になり、それが心臓病や脳卒中のリスクを高めたのではと推測されるという。

 

 

かむ力を鍛える方法

 ではかむ力を鍛えるにはどうするかだが、要は食事で筋トレするのが一番。つまりは食事に噛み応えのあるものを一品加えるだけでかなり変わるという。番組では先の14人に噛み応えのある食材を与えて食事に1品足してもらうようにしたのだという。すると4週間後には全員のかむ力がアップして目出度し目出度しとの結果。つまりは筋肉なので鍛えれば強くなるということ(逆にいうと使わないと衰える)。

 なお人類は進化と共に明らかにかむ力が弱まる方向に向かっているとの話。これは道具などを使うことになったことと関係あると推測できるという(火を使うようになったことも関係すると私は思うが)。

 

 

 以上、かむ力に気をつけましょうという話。番組最初にグミが登場したので、今回はグミの健康効果でも取り上げるのかと思ったら、結局グミもそもそも子供のかむ力を鍛えるのに導入された食品でしたというお話で、何もグミ限定の内容ではなかったということで、何か少しズレてるなということを感じずにはいられなかったというのが本音。

 なお人類は進化と共にかむ力が弱まっているというが、そもそもあご自体も小さくなって後退して行っているので、かむ力が強いはずが無い。なお私は以前に人間のあごが小さなくなった経緯については、かむ度に前頭葉に衝撃が伝わるのを避けるためって聞いた記憶があるのだが、今ではその説はなくなったのか? 最近は確かに言っているのを聞いたことがないが。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・1547人のデータについて調査した結果、かむ力が弱い人は脳卒中や心臓病のリスクが高くなるということが判明したという。
・番組で100人の老若男女について調査したところ、かむ力の弱さは年代と無関係に若い人でも多くいることが分かった。
・さらにこの中からかむ力弱かった人の食生活を調べると、脂質の割合がかなり高いことも判明した。
・柔らかい食べ物は一般的に脂質が多く、柔らかい食べ物を好むことで脂質が過多になり、結果として動脈硬化が進行して脳卒中や心臓病のリスクが高まったと推測される。
・かむ力を強化するには、食事に一品噛み応えのあるものを加えると良い。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・私は測定したことがないですが、弱いということはないだろうと思います。番組で上がっていたするめやお香々や味醂干しとかはいずれも好きですから。ガキの頃からおやつに丸干ししがんでいたんで。

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