地中海の火山の博物館
今回の世界遺産はイタリア。7つの異なる火山島からなるエオリエ諸島。それらの火山はそれぞれ特徴があり、火山の博物館とも言われている。
火山からなるエオリエ諸島はダイナミックな地形をしている。その中の円錐形をした島、ストロンボリ島は2000年の間噴火を続けてきた。この島には500人が暮らしているが、今も活発な噴火を繰り返している。標高924メートルの山頂では複数の火口から噴煙が立ち上っている。この山の中腹には火山見物のための展望台があるという。火山は1日中噴火しているので、それを見学するのである。轟音と共に空高く噴煙があがる噴火が数十分ごとに繰り返されており、日没時には夕闇の中に沸き上がる真っ赤な炎が見られる。2000年前から噴火しており、航海の目印にもされていたので地中海の灯台とも言われていたという。マグマの粘度が低いので爆発的な噴火はせず、小噴火を繰り返しているので近くで観察できるのだという。島の北西には溶岩が流れたことによって出来たなだらかな斜面がある。これが円錐形の島となった理由である。
純白の谷に火山の語源となった島
リパリ島は最大の島。海岸には溶岩が削られた奇岩が続く。そして白い岩山。これも火山で出来た。ここの溶岩は無色透明の二酸化硅素を多く含むので、光を通しやすく白く見えるのだという。純白の谷が延々と続くことになる。この白い岩は実は軽石である。
周辺の海の海底にも噴火口はある。潜水してみるとマグマが地下水を沸騰させて火山ガスが湧き上がっているのが見える。また海底噴火の火口の跡なんかも残っている。海の下に大量のマグマが存在するのである。海底からは3000メートルの高さのある山々の山頂だけが7つの島として海上に姿を現しているのである。
ブルカーノ島は巨大な火口が大噴火を繰り返してきた。火山を意味するボルケーノの語源は実はこの島の名である。山頂の火口は直径500メートルもある。溶岩の粘りが強いので一度噴火すると大噴火となるのだという。平均すると50年に1回大噴火をするのだが、最後の噴火は1888年4月20日でそれ以来不気味な沈黙を保っている。山肌のすぐ下にまでマグマが迫っており、あちこちに黄色い硫黄の結晶が見られる。世界中の火山学者を噴火予測のために研究を続けているという。
火山研究の発展に貢献したとして世界遺産に認定された。
忙しい方のための今回の要点
・イタリアのエオリエ諸島は異なるタイプの7つの火山からなる島で、火山の博物館とも言われる。
・ストロンボリ島では2000年前から噴火を繰り返している火山を、山の中腹の展望台から見学できる。溶岩の粘度が低いので大噴火しにくいのだという。この島は地中海の灯台とも呼ばれている。
・最大のリパリ島は、火山の噴火で出来た白い軽石による純白の谷の風景が広がる。
・周辺の海底にも噴火口はある。この島は火山の山頂が海上に出たものである。
・ブルカーノ島は巨大な火口が大噴火を繰り返した来た。実は火山を意味するボルケーノの語源はこの島の名である。平均すると50年に1度の割で大噴火するのだが、今は1888年の噴火以降不気味な沈黙を保っており、多くの火山学者が噴火予測のための研究を実施している。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・本当に火山の博物館みたいな島ですが、世界遺産になった理由が「火山研究の発展に貢献した」というものであるのは驚いた。こういうパターンもあるんですね。
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