教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

12/8 NHK ガッテン「乾燥肌改善!"極上美容液"を体内で作り出す秘策」

乾燥肌の真の原因

 冬になると乾燥肌で悩む人も少なくないが、そのような乾燥肌の多くは実はある問題から発生しているという。

 まずは実験。どちらか言えば脂性で、乾燥肌とは無縁という宮森氏を二週間で乾燥肌にしようというのである。彼のために用意されたのはとあるマンションの一室、ここで彼は完全に隔離生活を送ることになるのだが、ある一点に注意することでものの見事に乾燥肌になってしまうのである。実際に実験前には44だった肌の水分量が実験後には15に激減している。これはグミぐらいの水分量がするめレベルにまで落ちたことを意味するという。

 さてここで彼に何をするなと言ったかが肝なんだが、それは「汗をかかないでくれ」だったのだという。だからこの間、彼は汗が出ないように18℃に管理された室内で過ごし、また飲み物や食べ物もすべて汗をかかないように生ぬるい状態で提供され、風呂も湯船は禁止でシャワーのみに限定されたという。

 実際にこの生活で、彼の汗をかく能力が低下したという。実験前にサウナでテストをしたところ15分で90ミリリットルの汗が出ていたのに、実験後は全く汗が出ず25ミリリットルの汗しか出ないようになっていたという。

 

 

汗に含まれる天然保湿因子

 では汗の何が乾燥肌を防ぐかであるが、その成分は乳酸ナトリウムだという。番組ではこれを餅に塗って放置する実験をしているが、水を塗った餅はすぐに表面にヒビが入るのに対して、乳酸ナトリウムを塗った方はしっとりと潤っている。汗にはこのように乳酸ナトリウムや尿素などの天然保湿因子が含まれており、これが皮膚の潤いを保つ働きを持っているのだという。

 なお大量の汗をかき続けなくても、基礎発汗と呼ばれる微量の汗が全身から出ているので、これが保湿効果を持つのだという。しかし普段汗をかかない生活をしていると、汗腺が休眠状態になってしまい、基礎発汗がしにくくなるのだという。実際に乾燥肌に悩んでいるという被験者3人の基礎発汗量を調べると基礎発汗量がかなり少ないことが分かった。

 

 

汗かき訓練で乾燥肌が改善

 ではどうすれば改善できるかであるが、汗をかくようにすれば良いと言うことになる。そのための方法は入浴の時には浴槽に浸かるとか、運動をするとか、辛いものや温かいものを食べるなどでも良いと言う。こうして汗をかく生活を続けて二週間後、彼らの基礎発汗量が上がり、肌の水分量も増えて目出度し目出度しという結果である。なお発汗が上手く出来ない人がいきなり負荷の高いことをすると体に支障が出ることがあるので無理はしないようにとのこと。なおかいた汗はふいたりして放置しないように(放置するとあせもなどのトラブルも起こる)とのこと。

 なおアトピー性皮膚炎の患者は汗をかくと症状が悪化するとして汗をかかないようにと指導されていたが、最近の研究では汗をかかなくても症状が改善していないことから、ライフスタイル合わせた発汗指導をするようにガイドラインが変化しているとのこと。

 

 

 以上、汗を上手にかきましょうという話でした。なお番組には出てませんが、乾燥肌の原因になりやすいものに刺激の強い洗剤(ボディソープなど)で体を洗いすぎることも挙げられています。もっともこれは洗剤メーカーの思惑でなかなか一般に広くは言われていませんが。

 保湿クリームなどに尿素が含まれているものが多いのは有名で。いわゆるカサカサ肌用クリームなどはほとんどが尿素配合です。要はこういう成分は本来は汗から分泌されるというわけであり、そこのところは人間はよく出来ているわけである。

 今まで汗を上手くかける訓練をするというのは夏バテ防止の観点から言われることが多かったが、今回はそれを乾燥肌防止の観点から扱ったということ。つまりは汗を上手くかけるということは夏だけでなく冬にも重要であるということらしい。まあ日頃から健康な汗をかけるようにしておく方が良いのは間違いない。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・乾燥肌で悩んでいる人は多いが、その原因は汗をかいていないことだという。
・汗の中には乳酸ナトリウムなどの天然保湿因子が含まれているが、日頃から汗をかかない生活を送っていると、汗腺などが休眠状態となり、これらの保湿因子を皮膚に散布するための基礎発汗の能力が低下するという。
・改善するには、湯船に浸かる、運動する、熱いものや辛いものを食べるなどで汗をかく習慣をつけること。すると発汗の能力が回復し、肌の乾燥も改善されるという。なお大量の汗をかいた時は放置しているとあせもなどのトラブルになるので、拭き取ったりシャワーで洗うなどをすること。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・乾燥肌については化粧品や洗剤などによる肌のバリア機能の破壊も原因として有名です。化粧品メーカーは肌を乾燥させる剤を販売しておいてから、保湿のための製品をさらに売りつけるというマッチポンプ商法をしているわけです。昔から化粧品業界や製薬業界はこういうマッチポンプが多いです。

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